ハノイ便り

久しぶりの海外転勤、日々の記録として書き綴ります。

タンロン遺跡送別ツアー

2010-10-29 18:04:54 | Weblog

10月29日

ハノイの「タンロン遺跡」がベトナムで6つ目の世界遺産に今年選ばれた。

調査研究中のため公開されていないが、遷都1000年のイベントの一環として、期間限定で今月中のみ一般公開されている。

本帰国されるヘリテージのメンバーの方の希望で企画された、「タンロン遺跡送別ツアー」に参加させてもらった。

2002年に国会議事堂を建て直そうとしたところ、たくさんの建築機構が折り重なった巨大な遺跡が出土したことから発見された遺跡である。


このタンロン遺跡は7~19世紀の間ハノイの行政中心地域だったところで、リタイトーが1010年、ハノイに遷都し、都の名まえを「タンロン」としてから、1831年に都がフェに移るまでの間、ベトナム王朝の都として栄えていた場所である。


この遺跡ツアーで面白いと思ったことは、

7世紀ごろからの遺跡が残っていて、王朝が変わるたびに、前の王朝のお城を壊して、その上に建て直しをしているので、7世紀から19世紀までの遺跡が地層のように折り重なっていること。
これは、遺跡発掘現場

そして、20世紀にはいっても、フランス軍との独立戦争やベトナム戦争の時の地下の秘密基地とかもここに作られていたので、1400~500年もの長い間、ベトナムの政治、軍事の中枢の歴史が詰っている地域であること。

「なぜ、新らしい王朝は都を遷都しないで、古いお城を壊した上に新たにお城を建てたんだろう」、という疑問に、ハノイは湿地帯なので、瓦礫が土台になって土地が高くなり、新たに湿地帯を埋め立てして基礎工事する手間が省けたのではないかとか、雑談的発想で盛り上がった。

また、出土品が新品のようにきれいなのでレプリカかとおもいきや、遺跡が湿地帯というか水の中で保存されていたので、保存状態が非常にいいらしいが、逆に、空気に触れると腐食がはじまるので、遺跡も土のなかに埋めておかなければならないという悩みもあるらしい。

こんなことから、もしかしたらほかに類のない遺跡として価値があるのかもしれないと、興味深い。
  これはタンロン城北門

いつも通りすがりにみているフラッグタワー
    
全体の印象として、この遺跡が世界遺産としての価値を生み出すには、まだまだ時間がかかりそうだ。