静岡空港利用者数(搭乗者数)の推移
(注)開港初年については月ごとの発表のなかった上海便各月推計データを加味した上で5か年を比較したグラフです。
開港からはや5年が過ぎた。
一度も初年の63万人を超えることなく、5年目は初年の72%に当たる45万5,031人の利用者数にとどまった。
他空港が海外路線の盛況で過去最高を記録する中で、取り残された感がある。
この5年間、県は何もしてこなかったわけではないが、先を見ない場当たり的な対応に終始した。
ゆえに、麻薬に等しい様々な補助金は、路線が縮小する中でもその規模を維持し続け、中には震災を口実に補助条件がアップした例もある。
<補助例:ターミナルビル補助>
県は当面の目標を利用者数70万人(=35万人往復)に置いたが、一度条件を優遇した補助金は後戻りできず、補助額は路線が増えるごとに増加するであろう。
県は当面の対策として、運用時間の拡大を目論むが、路線・便数拡大につながるかは不透明だ。
一時的に便数が増えても需要がなければ便数は元どおり、遅い時間に1便がずれただけで終わるのが落ちだろう。
それよりも問題なのは、運用時間の延長で税金の出血が止まらなくなることだ。
もちろん人件費の増もあるが、延長とバーターで地元自治体に交付され続ける補助金こそが問題だ。
静岡県民は、東中西部で性格が違うといわれ、「遠州泥棒」「駿河乞食」「伊豆餓死」などと形容されるが、浜岡原発の地元の補助金目当てでの受け入れや空港周辺自治体の補助金付けでの運用時間延長受け入れなどは駿河の性格を、一方で、沼津の鉄道高架化での貨物駅移転での金で動かぬ住民の対応は伊豆の性格を表しているのかもしれない。
さて、以下、開港5年目の最終月となる5月実績に基づき傾向を概観する。
<傾向等>
5月実績は、先月同様国内線が各路線震災後の急落から復調基調の中で過去2位(とはいえ、いまだ平成22年時の7割に留まる)の実績となった反面、国際線は過去最低こそまぬかれたものの、国内線同様ピーク時の7割程度にとどまった。
路線ごとに見た過去5年間の3月実績のみで比較した順位と比率は以下のとおり。
札幌線6,062人 4位/過去5年(1位の平成22年9,426人に対して64.3%)
福岡線10,128人 1位/過去5年(2位の平成22年9,872人に対して102.6%)
鹿児島線1,852人 3位/過去5年(1位の平成22年3,099人に対して59.8%)
沖縄線5,480人 1位/過去5年(2位の平成25年5,313人に対して103.1%)
ソウル線4,972人 5位/過去5年(1位の平成22年16,383人に対して30.3%)
上海線3,440人 1位/過去4年(2位の平成24年2,050人に対して167.8%)
台湾線4,072人 1位/過去2年(1位の平成25年3,970人に対して102.6%)
また、総利用者は36,913人で過去5年間で第3位、ピークの平成22年(52,364人,利用者数不明の上海便除く)に比べて70.5%であった。
国内線と国際線の過去5年間の推移を見ると、
依然、国内線が頭打ち、国際線は低下傾向にある状況が見て取れる。
うち、国内線の内訳を見ると、
鹿児島線が長期低迷、残り3路線はその全てで伸びが鈍化して需要の頭打ち傾向がはっきり見て取れる。
国際線についてはソウル線の大韓航空撤退の影響が大きく、上海線、台湾線が過去最高を記録したものの、いずれも機材が小さいためソウル線の低迷をカバーできず、結局は5年間で4番目の記録に終わった。
6月から10月は補助金優遇の天津航空のチャーター便が貢献するであろうが、これがずっと続くのかは不透明だ。
ちなみに、県の発表ではこの天津航空のチャーター便ツアーは、主な観光先が京都、大阪、富士山周辺、東京などで、最終日に静岡県内に宿泊予定となっているが、現実には17:30に静岡空港に着いてから宿泊して(中には県内宿泊一切なしで)西日本に移動し、最終日はお決まりのように東京泊後に東京お台場観光して、静岡空港に直行して帰国のパターンが多く、県内にほとんどお金を落とさないチャーター便で、 補助金の費用対効果が疑われる実態だ。
いずれにしても、今後も空港が税金だけでなく県行政資源の集中投下の対象となることは確実だろう。
ゆえに県政の衰退もまた間違いないだろう。
では以下、今月の実績を記す。
<平成26年5月の実績:対前年同月比>
路線:搭乗者数対前年同月比(H26.5/H25.5):搭乗率[H26.5;H25.5](赤文字は搭乗率が65%を下回っているもの)
札幌線:97.9%(6,062人/6,189人):[44.0%;45.5%]
福岡線:105.2%(10,128人/9,631人):[67.7%;69.1%]
沖縄線:103.1%(5,480人/5,313人):[50.2%;49.0%]
鹿児島線:119.7%(1,852人/1,547人):[78.7%;78.3%]
国内定期便計:103.7%(23,522人/22,680人):[56.0%;56.2%]
国内線チャーター便計:-%(409人/0人):[76.9%;-%]
国内線計:105.5%(23,931人/22,680人):[56.3%;56.2%]
ソウル線:50.8%(4,972人/9,787人):[66.6%;47.4%]
上海線:375.1%(3,440人/917人):[56.5%;30.9%]
台北線:102.6%(4,072人/3,970人):[68.0%;69.8%]
国際線定期便計:85.1%(12,484人/14,674人):[63.9%;50.1%]
国際線チャーター便計:81.5%(498人/611人):[95.4%;96.7%]
国際線計:84.9%(12,982人/15,285人):[64.7%;51.1%]
全路線計:97.2%(36,913人/37,965人):[59.0%;54.0%]
(注)開港初年については月ごとの発表のなかった上海便各月推計データを加味した上で5か年を比較したグラフです。
開港からはや5年が過ぎた。
一度も初年の63万人を超えることなく、5年目は初年の72%に当たる45万5,031人の利用者数にとどまった。
他空港が海外路線の盛況で過去最高を記録する中で、取り残された感がある。
この5年間、県は何もしてこなかったわけではないが、先を見ない場当たり的な対応に終始した。
ゆえに、麻薬に等しい様々な補助金は、路線が縮小する中でもその規模を維持し続け、中には震災を口実に補助条件がアップした例もある。
<補助例:ターミナルビル補助>
県は当面の目標を利用者数70万人(=35万人往復)に置いたが、一度条件を優遇した補助金は後戻りできず、補助額は路線が増えるごとに増加するであろう。
県は当面の対策として、運用時間の拡大を目論むが、路線・便数拡大につながるかは不透明だ。
一時的に便数が増えても需要がなければ便数は元どおり、遅い時間に1便がずれただけで終わるのが落ちだろう。
それよりも問題なのは、運用時間の延長で税金の出血が止まらなくなることだ。
もちろん人件費の増もあるが、延長とバーターで地元自治体に交付され続ける補助金こそが問題だ。
静岡県民は、東中西部で性格が違うといわれ、「遠州泥棒」「駿河乞食」「伊豆餓死」などと形容されるが、浜岡原発の地元の補助金目当てでの受け入れや空港周辺自治体の補助金付けでの運用時間延長受け入れなどは駿河の性格を、一方で、沼津の鉄道高架化での貨物駅移転での金で動かぬ住民の対応は伊豆の性格を表しているのかもしれない。
さて、以下、開港5年目の最終月となる5月実績に基づき傾向を概観する。
<傾向等>
5月実績は、先月同様国内線が各路線震災後の急落から復調基調の中で過去2位(とはいえ、いまだ平成22年時の7割に留まる)の実績となった反面、国際線は過去最低こそまぬかれたものの、国内線同様ピーク時の7割程度にとどまった。
路線ごとに見た過去5年間の3月実績のみで比較した順位と比率は以下のとおり。
札幌線6,062人 4位/過去5年(1位の平成22年9,426人に対して64.3%)
福岡線10,128人 1位/過去5年(2位の平成22年9,872人に対して102.6%)
鹿児島線1,852人 3位/過去5年(1位の平成22年3,099人に対して59.8%)
沖縄線5,480人 1位/過去5年(2位の平成25年5,313人に対して103.1%)
ソウル線4,972人 5位/過去5年(1位の平成22年16,383人に対して30.3%)
上海線3,440人 1位/過去4年(2位の平成24年2,050人に対して167.8%)
台湾線4,072人 1位/過去2年(1位の平成25年3,970人に対して102.6%)
また、総利用者は36,913人で過去5年間で第3位、ピークの平成22年(52,364人,利用者数不明の上海便除く)に比べて70.5%であった。
国内線と国際線の過去5年間の推移を見ると、
依然、国内線が頭打ち、国際線は低下傾向にある状況が見て取れる。
うち、国内線の内訳を見ると、
鹿児島線が長期低迷、残り3路線はその全てで伸びが鈍化して需要の頭打ち傾向がはっきり見て取れる。
国際線についてはソウル線の大韓航空撤退の影響が大きく、上海線、台湾線が過去最高を記録したものの、いずれも機材が小さいためソウル線の低迷をカバーできず、結局は5年間で4番目の記録に終わった。
6月から10月は補助金優遇の天津航空のチャーター便が貢献するであろうが、これがずっと続くのかは不透明だ。
ちなみに、県の発表ではこの天津航空のチャーター便ツアーは、主な観光先が京都、大阪、富士山周辺、東京などで、最終日に静岡県内に宿泊予定となっているが、現実には17:30に静岡空港に着いてから宿泊して(中には県内宿泊一切なしで)西日本に移動し、最終日はお決まりのように東京泊後に東京お台場観光して、静岡空港に直行して帰国のパターンが多く、県内にほとんどお金を落とさないチャーター便で、 補助金の費用対効果が疑われる実態だ。
いずれにしても、今後も空港が税金だけでなく県行政資源の集中投下の対象となることは確実だろう。
ゆえに県政の衰退もまた間違いないだろう。
では以下、今月の実績を記す。
<平成26年5月の実績:対前年同月比>
路線:搭乗者数対前年同月比(H26.5/H25.5):搭乗率[H26.5;H25.5](赤文字は搭乗率が65%を下回っているもの)
札幌線:97.9%(6,062人/6,189人):[44.0%;45.5%]
福岡線:105.2%(10,128人/9,631人):[67.7%;69.1%]
沖縄線:103.1%(5,480人/5,313人):[50.2%;49.0%]
鹿児島線:119.7%(1,852人/1,547人):[78.7%;78.3%]
国内定期便計:103.7%(23,522人/22,680人):[56.0%;56.2%]
国内線チャーター便計:-%(409人/0人):[76.9%;-%]
国内線計:105.5%(23,931人/22,680人):[56.3%;56.2%]
ソウル線:50.8%(4,972人/9,787人):[66.6%;47.4%]
上海線:375.1%(3,440人/917人):[56.5%;30.9%]
台北線:102.6%(4,072人/3,970人):[68.0%;69.8%]
国際線定期便計:85.1%(12,484人/14,674人):[63.9%;50.1%]
国際線チャーター便計:81.5%(498人/611人):[95.4%;96.7%]
国際線計:84.9%(12,982人/15,285人):[64.7%;51.1%]
全路線計:97.2%(36,913人/37,965人):[59.0%;54.0%]