しろくま日記

読んだ本の感想を記録してみたいと思います。
なんだか忘れてしまうので。

夜明けのロボット上、下 アイザック・アシモフ著 小尾 芙佐訳 ハヤカワ文庫SF

2012-11-04 | 海外SF
最近SF熱が復活してきており、今回はど真ん中のアシモフです。

今回の「夜明けのロボット」はブックオフの105円棚で3、4年前に購入したもの。


クラーク、ハインラインと並びSF界の三大巨匠とされますが、あとの二人は当たり外れが大きい作家な気がします。
私的には安定感及び緻密な構成、論理的な破綻がなく面白くストーリーを展開できる力ではアシモフがダントツで一番だと思っています。

その分ほかの二人は当たると大きいので「幼年期の終わり」とか「夏への扉」など代表作かつ名作も生まれています(近くの本屋に行ったらこの2冊は並んでいたがアシモフ作品はなかった)がアシモフといえば「これ!」という代表作がないような気もします。

「われはロボット」「聖者の行進」などのロボットもの短編は最近も映画化されていて有名でしょうし「ロボットの三原則」はSF好きならだれでも知っているでしょう。
量でいえば「ファンデーションもの」でしょうがいまいち一般受けしてなさそう....。
これぞ「代表作」という感じがない。
なにせどれもこれも物語としてまとまっていて素晴らしいのでかえって印象に残らないんだろうなぁ。
良くも悪くも「くせ」もないし。

今回調べてみたらハヤカワ文庫のアシモフの著作はかなり絶版になっていました。
この「夜明けのロボット」もすでに絶版。
アシモフを出さないで、ハヤカワ文庫のSFの存在意義があるのか??などとも思いましたが、まぁなかなか売れないんでしょうね。

さてこの作品のあらすじ(裏表紙記載)
かつて銀河系へ進出した地球人の末裔が宇宙国家連合を形成し宇宙をわがものとしている現在、地球は孤立し、宇宙進出もままならない。その地球に、宇宙国家連合の指導者格である惑星オーロラが助けを求めてきた。人間そっくりのヒューマンフォーム・ロボットの破壊事件がおこり、その捜査を刑事ベイリに依頼してきたのだ。ただ一人の容疑者はそのロボットの生みの親ファストルフ博士。ベイリーはさっそくオーロラへ赴くが!?
というもの。

知らないで読み出したんですが、「鋼鉄都市」「はだかの太陽」に続く、ベイリ-ダニールのSFミステリシリーズの三作目だったんですね。
前二作が描かれたのが1950年代、この夜明けのロボットが刊行されたのが1983年、ハヤカワ文庫の初版が1994年ですからまったくノーチェックでした。
「鋼鉄都市」「はだかの太陽」を読んでから30年は経っていてほとんど内容は覚えていませんでしたが、この「夜明けのロボット」の世界にはすーと入っていけました。
(前二作を読んだのは中学生くらい、うまいもんだなぁとひたすら感心した記憶があります)
前二作を読んでいた方が楽しめるかとも思いますが、読んでいなくても楽しめると思います。

内容はさすがアシモフだけに素晴らしいの一言です。
「圧倒的感動」とは言いませんが、「物語」「フィクション」を読む幸せにずっぽりと浸れます。
読後感もなんともいえない...。

途中性的表現が出てきますが、読者サービスでなく「ストーリー上これも必然」と思わせる納得感を感じさせます。

ちらっと前述しましたがSFでミステリを書けるというのはアシモフならではの才能かと思います。
クラークやハインラインじゃファンタジー、フィクション過ぎて無理だろうなぁ..。
(アシモフに匹敵するSFミステリはJ.Pホーガンの「星を継ぐもの」くらいな気がする」
純粋ミステリとしては真犯人についてちょっとSF的過ぎるような気もしますが、伏線も書いてあるのでこれはこれでありだと思います。
ということでミステリファンにもお勧めです。

80年代~没年92年あたりまでのアシモフは、初期のロボットものファウンデーションもの、このベイリものをアシモフ的未来史観でつなげようとしていたようで、この「夜明けのロボット」も初期ロボットものと「鋼鉄都市」「はだかの太陽」をつなげ、ファウデーションの世界につなげる役割を果たしています。
ということで「夜明けのロボット」の200年後を描くいている「ロボットと帝国」上、下を読了後すぐにAmazonで衝動買いしました。
(まだ絶版でなかったので珍しく新品で)

ファンデーションものも読み返すとするとしばらくアシモフ漬けになりそうですがまぁこれも運命ということで読んでいくつもりです。
(挫折しなければですが...)

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