しろくま日記

読んだ本の感想を記録してみたいと思います。
なんだか忘れてしまうので。

シカゴ・ブルース フレドリック・ブラウン著 青田 勝訳 創元推理文庫

2012-10-11 | 海外ミステリ
この本を買った経緯につきましては、先日書きました。
最初に読んだのは多分小学校5、6年から中学生の頃(1980年代前半)

作品自体は1947年に書かれたもの、創元推理文庫での初版は1971年。

この本を読みだしてまず考えたのが、「本屋に行けば面白そうな新作が山ほど詰まれているのに、過去に読んでいて少なくとも不朽の名作というわけではない作品を読み返すのは時間の無駄なのではないか?」ということ。

でも読み進めていくうちにそんなことは頭から消えてすんなり作品の中に入って行けました。
ブラウン特有の軽妙な展開で今読んでも飽きさせないテンポの良さがあります。

ストーリー展開やら、ミステリーとしての仕掛けはいまどきの2時間ドラマ風の展開で安直といえば安直ですし、トリックやら動機もちょっと首を傾げるものです。(この辺も2時間ドラマ風)
今回読んでみても「素晴らしい感動が味わえる」とか「名作だ!」としみじみ感じる作品とは思えませんでしたが、ちょっとした謎解きを交えた、主人公エド・ハンター青年のビルディングノベルとして軽~い気持ちで読むと結構楽しめます。
皮肉の効いたブラウンですのでハード・ボイルドのパロディ的なものを狙ったということもあるかもなぁとも思いました。

しかしこの作品ブラウンの処女長編とのことですが、非常にこじゃれた小説に仕上がっています。
ブラウンに重厚な作品を求めるのは無理な気もしますので、そういう意味では持ち味を生かした仕上がりです。

この「軽さ」が短編の評価が高く、長編の評価が今ひとつなところに繋がっているのかとも思いますし、この「エド.ハンターシリーズ」もほぼ忘れ去られているシリーズになっている原因でもあるのかなぁとも思います。

しかし、この「軽い作品」が発表から65年経過しても全然古臭く感じない!!(いまどきの2時間ドラマ風)これはこれですごいことなんじゃないかとも感じました。

あと内容はすっかり忘れていた気でいたのですが、昔読んだ本はけっこう覚えているものですね~。
細かいところは忘れていますが、読んでいるといろいろ思い出しました。

読んだ時には中学生だった自分が、いまは40オヤジ。
同じ内容でも感じ方が違います。
エドが父親の意外なエピソードを聞く場面など子持ちのオヤジとしては感じ入るところがありました。

これはこれで自己発見だなぁなどということも感じたりしました。

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2 コメント

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この作品との出会い (ダムダム人)
2017-12-26 20:00:44
初めまして。
「シカゴ・ブルース」で検索してこちらにきました。

この作品とであったのはかれこれ40年くらい前です。
いとこが持っていた学研のコースの付録についていた
のを読みました。
**この付録としては他に「セイント・イン・ニューヨーク」や
「ドノヴァンの脳髄」「下宿人」などがありました
(今も持っています)
長い時間を掛けて原作をあつめてました
全部では無いですが**

ずーと後になって創元社のを買い、今も持っています。
蒸し暑い夏の夜明けから始まって、また暑い夏の夜明けで終わると言うのが良かったです。
**おじさんと一緒にシカゴを出ると言う終わり方は
ちょっと驚きましたが…**
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Re:この作品との出会い (しろくま)
2017-12-27 08:01:29
ダムダム人様
はじめまして。
コメントありがとうございます。
文中にもありますが私が本作読んだのが約35年前。
それより前に読まれてるんですねぇ。
学研にそんな結構な付録がついていたとは知りませんでしたが(^^)「シカゴ・ブルース」が付録とはなかなか古いですね。
シカゴを出たエド青年とおじさんはその後探偵となりますが...。
シリーズでは本作が一番面白かったような記憶があります。
エド・ハンターシリーズ全作持っているはずなので機会があれば読み返してみたいのですが...いつになるやら(^_^;)
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