先日、NHKのテレビで、アインシュタインの脳という番組をやっていました。なんと、脳を切って、世界のあちこちの研究者(所)が持っているのだそうです。
なんとも気持ちが悪くなる番組でしたが、
アルバート・アインシュタインは、【受験成績がよく、そのトップになる人は頭が優れている】、というわが国の物差しで言えば、ただの落ちこぼれに過ぎません。
いまある既存の勉学システムに乗った脳、いまる既存問題の正解への到達時間が早い脳、いまある既存の関心事や目的に敵った脳、要するに既成の勉強や学問の枠内で優れた【従順脳】がよい、というのが、東大病ー東大教の人たち(日本人の大多数!)の判断です。
アインシュタインは、規則だらけの小学校が大嫌いで、スポーツも大嫌い。妹のマヤやその友達と遊んでいました。ギムナジウムに入っても自分のすきな数学や物理学などの他は勉強はせず、成績は中の下。ノイローゼの診断書を書いてもらい休学届を出し、結局は中退しています。翌年に別のギムナジウムに入学し、大学はチューリッヒ工業大学に進学しましたが、講義をさぼって図書館にこもることが多く、教授たちからは、怠け者と見られていました。大学卒業後は就職に困り、家庭教師をしましたが、子どもを自由にさせ過ぎるというので、すぐにクビになりました。
伝手を頼って特許局に入ろうとし、紹介状を書いてもらいますが、採用試験の成績が悪くて落ちました。翌年、再度挑戦して、ようやく特許局審議官のいすにすわることができましたが、役所の仕事は大嫌いで「役所なんて俗物の修道院だ」というのが口癖でした。ここでの仕事の合間に数学や物理学の家庭教師をし、教え子の大学生と共に人間の価値、生きる意味を考え、宇宙の謎を考え続けたのでした。役所に入って5年目の26歳のとき(1905年)、光速度は超えられず、光速度に近い運動では、質量不変の法則は成立しないという結論に達し、特殊相対性理論を発表したのでした。
こういうわけで、こどもの頃から優しい両親やおじさんに囲まれ、知的好奇心を刺激され、母のピアノに癒されて、自分が納得するまで考えるこどもだったアインシュタインですが、学生時代に彼のことを天才だと思った友人も先生も一人もいませんでした。
受験塾で、自分の興味や関心とは無縁の受験勉強をし(させられ)、東大に入る【従順脳】と、天才アシンシュタインの脳は、元から異なるのです。もちろん、ユーモアに溢れたその人間性も、です。
東大病ー東大教の超がつくおバカ国家の日本も、そろそろ目を覚ますべきです。
武田康弘