拝啓 夏目漱石先生

自称「漱石先生の門下生(ただのファン)」による日記

先生、西暦2000年の事少しだけ書きます

2006-02-21 16:48:29 | 音楽
ここ数日ずーっと聴き続けている曲の話。
L'Arc-en-Cielのアルバム『REAL』に「TIME SLIP」という曲がある。甘く、折れそうなくらい繊細なメロディーに乗せて倦怠期の憂いがけだるく歌われる一曲。
hydeの書く詞は、死の匂いと比喩・隠喩の嵐である。ファンタジーの世界を設定して、その中で幻想的で退廃的な単語をちりばめる、という手法が多用されていて、数回聴いただけでは意味を掴めないものが多いが、2000年に発売された『REAL』では、その手法が少しだけ緩められている。タイトルが示す通り、現実世界に不時着してしまったかのような、思わず出てしまった本音のような曲がファンタジーの中に混じっているのだ。2000年といえば、ラルク全盛期の最後の年(失礼か?でもどうみてもそうだよね)であり、活動休止直前。「そんなに精力的に活動し続けちゃって、ラルクこの先大丈夫かな…」と不安な気持ちにもなった頃だ。覚えてる人はいるだろうか?PVで合成ダンスを踊り、見るものを震撼させたのもこの頃だ。幻想的な世界観を以って突っ走ってきたラルクが一瞬だけ現実に落っこちてきた、そんなアルバムだと思った。で、「TIME SLIP」は「はぁ…疲れたね…」的な、ため息が漏れそうな切ない香りが漂う、個人的には『REAL』で一番名曲だと思ってる曲。歌詞を全部載せるのはアレなので一部だけ。

もうどれくらい君と笑ってないかな
離ればなれは距離だけじゃない
気づかないふりしてるけど遊び方を
忘れてしまったのさ

Running through without your help
Running through without your vibes
それでもうでを伸ばして
ささやかな夢を僕は辿っていく


なんてことない歌詞にも思えるが、派手な活動が目立った当時のラルクにこういう曲をやられたら嫌でも心に引っかかるし、何よりドキドキしたな。「バンド飽きてきた?もうしんどい?」と聞きたかった。で、実際ラルクは長い沈黙に入っちゃうし。二回目になるけど本当にこのメロディー、甘くて繊細で。けだるくて。百聞は一聴にしかずです。
とにかく全体的にいつも以上にシリアスな匂いが充満していた「REAL」。対して、このアルバムのCMでは、藤原組長がデコトラに乗って暴走する、というカラっとしたバカバカしいものだった。当時のラルクはいつもギリギリな所で世間やファンに対してボロを出さないように自らを気遣ってたような。


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