拝啓 夏目漱石先生

自称「漱石先生の門下生(ただのファン)」による日記

いなくなった人たちの話

2010-05-09 19:06:42 | 音楽
かなり今更だが、カリガリの新作『≠』が良すぎて困る。「こ、こんなに自分好みな音楽あっていいんすか?」と戸惑ってしまう。ラルクの「True」を初めて聴いた時を思い出すな。ミニアルバムなので全6曲。このコンパクトさが良いね。軽量で高性能なノートパソコンみたいで。思えばカリガリのアルバムって色々なタイプの曲がありすぎて「全曲好き!名曲!」と自信を持って言えるやつが殆ど無かった。どのアルバムにも最低1、2曲、理解不能な曲があるのだ。去年のアルバム『10』は例外で全曲好きだけど。全体的に石井秀仁色が強くて、青さんの曲もアレンジが石井っぽかったりして、過去作に当たり前のようにあったとっ散らかってる感が無く、逆に異様なまでの統一感があった。青さんより石井派の私としては満足なアルバムだった。その分青さん派、往年のガリストは当然、不完全燃焼だったようだが。
新作『≠』は、石井曲、青さん曲それぞれ「らしさ」全開で、そこに再結成後のカリガリの勢いが加わったノリノリな一枚。武道館ライブで初披露された時から「初期のマッドカプセルマーケッツっぽい」と言われ続けていた青さんのパンクチューン「マネキン」には初期のようなアングラな雰囲気が充満してるし、意味不明過ぎる呪文のような歌詞がのった石井曲の「散影」は、バンドの演奏とうさんくさいシンセの音色とセクシー過ぎな石井の声が渾然一体となった、活動休止開けのカリガリの魅力を凝縮したような名曲だと思う。そして青さんの「オーバーナイトハイキング」!無機質なリズムトラックと哀愁漂いまくりのメロディー&シンセが最高だ。歌詞も良い。あー良い。ここに「続・冷たい雨」が入ってたらマジで完璧な名盤だったと思う。
タワーレコードのサイトには、復活~武道館ライブまでの活動を振り返った石井のインタビューが載っている。これ読んで、カリガリのメンバー間の絶妙な距離感が素敵だなぁと思った。武道館ライブでの「エロトピア」の演出の話。新宿二丁目在住の青さんの提案で、ドラッグクイーンの方々がステージにぞろぞろと登場。一方石井はステージから消え、楽屋から中継で歌った。その事に関しての石井の弁を引用。

「ギタリストが、ああいうおかしな人でね、ああいうことを始めちゃった時に、俺、真ん中に立ってますからね。すごく難しいわけですよ」
「青さん、目立ちたいならどうぞ好きにやってよ、俺、楽屋行くから、って(笑)。そのバランス感覚がすごいいいんです。俺と青さんの間は。そういうところでバンドはすごい揉めるわけですよ。ホントは。そういうのがないですからね。」

ドライ過ぎ。また、アルバム制作時、青さんが作ってた80年代後半の歌謡感全開のアーバン(苦笑)なロック「クロニックダンス」を聴いて、石井は「これはちょっと…」と思いつつも、「まぁ、作ってきたもんは仕方ない」と、文句言わず大人しく歌ったという…。いい関係だね。でもバンドは再び沈黙。あんな素敵なアルバム作っといてツアーやらないなんて、あんまりですよ、青さん。会場が青さん好みのイケメンで埋まるように布教するからさ、ツアーやってよ…(笑)  


追記
東方神起の韓国語の曲を空耳。もう永遠に新譜出ないわけだし、せっかくだから韓国のアルバムも母さんに借りてみよっかねぇ。