つれづれ読書日記

SENとLINN、二人で更新中の書評ブログです。小説、漫画、新書などの感想を独断と偏見でつれづれと書いていきます。

学園妖怪バスターズについて書いてみる

2008-05-29 20:03:46 | ゲームブック
さて、ふと思い立ったので、な971回目は――。

タイトル:学園妖怪バスターズ ~天魔が来た!~
著者:尾崎克之
出版社:双葉社 双葉文庫―冒険ゲームブックシリーズ(初版:'88)

であります。

唐突ですが――つい先日、ブログピープルに参加しました。
で、ついでに『ゲームブック』の話題を探したのですが……ない。(爆)
なので、作ってみました。

『ゲームブック』
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ゲームブックの記事を書いたら、トラックバックしてやって下さい。
もっとも、ディープなアドベンチャラーの方々は既にゲームブック専用のページを持ってらっしゃるようなので、わざわざトラバ入れる必要ないかも知れませんが……。

気を取り直して――今日紹介するのは、一部の方々から粗製濫造と揶揄される双葉文庫―冒険ゲームブックシリーズから、三作続いた人気シリーズの第一作『学園妖怪バスターズ ~天魔が来た!~』です。

ストーリーは、ひょんなことから地元・袖ヶ浦町に天魔を解き放ってしまった悪ガキトリオ(タダシ、ケン、鏡太郎)が、怪しすぎる男・アベノ骨董品店店主の協力を得て、天魔を再び封印するために街中を奔走するというもの。
タダシ達三人が三種の神器の化身だったり、敵の本拠地が彼らの通う袖ヶ浦小学校だったりと、設定はモロに御当地ロールプレイング。(笑)
さらに、敵天魔の中にケンと因縁があるキャラを入れるなどして、単調になりがちなストーリーにちょっとしたアクセントを加えていました。

アドベンチャー部分は、双方向移動可能な袖ヶ浦町を歩き回り、敵を倒して天魔の肝(お金のようなもの)を奪って装備を調え、街の人々から情報を集めてゴールに近付いていくという、これまたRPGを意識した作り。
特筆すべきは巻末に掲載されたマップで、他の双葉社の作品群に比べて異様なまでに広いです。
強敵が待ち受ける地点、重要アイテムを入手できる地点、一定の条件を満たさないと通行できない地点など、イベントポイントも多く、これだけでも作者がいかに凝り性かが解ります。

しかし、こんなのは序の口。

本作最大の特徴は、その戦闘システムにあります。
双葉文庫冒険ゲームブックというと、かの悪名高きバトルポイントシステムが真っ先に浮かんでくるのですが、幸いにして本書はそれを採用しておりません。
代わりに、戦闘開始時にフォーメーションを選び、所持アイテムと使用する魔法によって結果が変化する選択式戦闘システムを搭載しています――これが実に面白い。

登場する敵キャラは何と二十一種類!
主人公達のアイテム(三種の神器)は初期装備も含めて各人四~五種類存在し、所持する品によって戦闘結果が大きく変わってきます。
たとえアイテムが弱くても工夫次第で勝てたり、逆にどんな強い武器を装備していても選択を間違えるとあっさり負けてしまうなど、とにかく力が入っており、鬼のように遊び尽くしました。いや、本当に面白かった。

以下、戦闘絡みの話を中心に、主人公達についてちょっとだけ書いてみます。(各敵に関して細かく語り出すとキリがないので、そちらは割愛……)


◆多摩村タダシ
本作の主人公で玉の化身。これといった特徴がなく、ストーリー面での扱いも低い薄幸な少年。
専用アイテムのまがたまは四種類(石、水晶、ヒスイ、エメラルド)存在し、ランクが上の装備ほど使える術が多い。
『気デッポウの術』(水晶のまがたま以上のランクで使用可)は、破壊力こそ低いが、敵を怯ませる効果があるため中盤戦で大いに御世話になる。さすがに、終盤は殆ど無効化されてしまうが、ツマミギツネやヒノエドラといった大天魔に効く場合もあるので侮れない。
『ダキニテンの術』(エメラルドのまがたまのみで使用可)は、術力消費が激しいものの、効けばほぼ確実に敵を葬り去れる強力な破壊呪文。ただし、意外な敵が弾き返してきたりするので過信は禁物である。
残る二つの術は回復系だが、戦闘中しか使えないため有効利用は難しい。ただ、ケンの体力消費が激しいので、弱敵と出会った時はマメに使っておくのが吉。
なお、呪文を使う以外に、身を守るという選択肢もあるが、大抵死ぬので選ばないのが無難であろう。

◆鏡太郎
頭脳担当で鏡の化身。一人称は「僕」だが、語尾に「~ぜ」を多用するため、どこかアンバランスな印象を受ける。ちなみに次作ではキャラが完全に変更され、容姿端麗で礼儀正しい優等生と化す。
卓見力を消費して敵のランク(堕天魔~天魔主)、持っている肝の数、その他の特徴を分析するアナライザー。専用アイテムの鏡は五種類(銅、鉄、雲母、銀、ダイヤモンド)あり、ランクが上がるほど調べられる敵の種類が増える。ただし戦闘システムの性質上、彼を選んだ後は自動的にタダシに順番が回るため、術が効かない敵の場合は逃走するしか手がなくなるのが悩み所。(「なんてこった! これより強い鏡だけがこいつを倒せると出た!」の台詞は笑った)
他の二人に比べると役回りは地味だが、鏡でしか倒せない敵も存在するため放置すると地獄を見る。最低でも雲母とダイヤモンドの鏡は入手する必要があるだろう。
なお、唯一『逃げる』コマンドを使用出来るキャラであり、強敵と出会ったら迷わず彼を選んで逃走するのが本作のセオリー。

◆ケン
名前の通り剣の化身でパーティの主戦力。天魔を解き放つ札をはがしたり、女天魔ニャンニャコとの絡みがあったりと、ストーリー面でも優遇されている。
専用アイテムのつるぎは五種類(鉄、オオクニ、虎牙、ユニコーン、スサノオ)。1ランク違うだけで戦闘結果が大きく変わるので、手に入れた肝は優先的にこちらに回すべきだが、最初に買うのは『水晶のまがたま』をオススメする。これを買っておかないと、タダシが戦力として役に立たないからだ。
正面切って敵と戦うため体力消費が激しく、死ぬ回数も他の二人に比べて格段に多い。の割に、剣技などは習得しない上、専用コマンドもないため、目立ちはするものの使っていて面白みはなかったりするいかにもな古典RPG的戦士キャラである。


何となく、どんなゲームかイメージは掴んで頂けたでしょうか?
三人パーティと言うと、私は真っ先に『ドラクエII』が頭に浮かぶのですが、本作もそれぞれの個性を上手く引き出した良作だと思います。
RPG好きにはかなりのオススメ。運良く発見したら、ちょいと手に取ってみてやって下さい。

最後に一つ注意。このゲーム、バグがやたら多いので、プレイされる場合は下記のサイト――

MANATさんのページ『マナティの浜辺』

にある、バグ修正表を必ず参照して下さい。



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