さて、下巻に続くをホントに続けて第98回は、
タイトル:月の影 影の海(下) 十二国記
著者:小野不由美
出版社:講談社X文庫ホワイトハート
であります。
上巻でとことんどん底まで落ちてしまった陽子。
下巻は人間らしさを取り戻し、浮上する話。
まぁ、お約束っちゃぁお約束だけど(笑)
で、ここで鍵を握るのは、下巻の最初で行き倒れの陽子を助けたネズミの半獣の楽俊。
もちろん、完全に人間不信になった陽子にとっていくら助けてくれたとは言え、どうなるかはわからない。
自衛のために剣を握り、油断なく、けれど、行き倒れだったから動けない。
疑い、利用しようとする中で、小さく燻るもの……。
そんな中、異世界から来たのだからと別の国……治世500年を数える大国雁へ行くことを勧められ、楽俊とともに雁への旅路を選ぶ。
そんなときでも、実は楽俊はいまいる国……巧では半獣は一人前の成人として認められないから、そういう差別のない雁へ行きたい、と言う完全な善意でないことに酷く納得する陽子。
やはり、人間荒んでくるとそういう思考しかできないのだろう。
続いてある町で妖魔に襲われてしまい、それを撃退するけど、巻き添えになった旅人の中に楽俊の姿を見つけて、とどめを刺すべきか、それとも逃げるべきか、助けるべきかを迷う。
このあたりにいくら荒んでいても、最後の一線を越えられないところが見え隠れしてくる。
結局、逃げてしまい、楽俊を見捨ててしまったことに後悔しつつ、雁を目指し、ようやく雁に到着する。
そこでは実は楽俊が陽子が来るのではないかと港で待っていた。
そのことに愕然とする陽子。
自分は見捨てて逃げたのに、それでも楽俊は働きながら待っていてくれていた。さらに、見捨てたはずなのに、自分の落ち度だと言う。
ようやく見つけた信頼できる相手に、らしさを取り戻す。
まぁ、予定調和っちゃぁそのまんまだけど、そこまでの道のりがつらく、しかも描写が容赦ないから、読んでるほうもほっとしてしまう。
ここからは話がちょっと違う方向へ。
実は最初に出てきて陽子を主だと言った男……これがこの世界で各国の王を選定する麒麟。
慶国の麒麟で景麒で、いちばん最初のときにすでに王に選んでいた。
そこで今度は景王として慶へ戻る話になる。
まぁ、ここはわざわざ解説するほどのところではないので割愛。
やはり、上巻から続く陽子の描写がよい。
剣の見せる懐かしい日本の幻影、自分でも気付かない内心の思いを暴く青猿。
荒んでいく心と、らしさを取り戻すまでの楽俊の役割。
構成自体は独自性があるとは言えないとは思うけど、そこは陽子や楽俊、青猿のキャラクターとしての魅力や見せ方というのが、やっぱりうまいと思う。
ストーリーの流れもすんなりと入っていけるし、主人公を現代日本から流れてきたキャラにしたから、中国風の異世界ファンタジーでもカタカナ表現に無理がなくなっている。
100%素晴らしい、とは言えない部分もないわけではないけど、やはり無条件でお薦めできる小説には違いない。
ただし、上巻だけを買わないように。
あまりにも暗いので、下巻を一緒に買わないと読む気が失せる可能性あり(笑)
――【つれづれナビ!】――
◆ 『十二国記』のまとめページへ
◇ 『ライトノベル一覧表(その2)』へ
◆ 『つれづれ総合案内所』へ
タイトル:月の影 影の海(下) 十二国記
著者:小野不由美
出版社:講談社X文庫ホワイトハート
であります。
上巻でとことんどん底まで落ちてしまった陽子。
下巻は人間らしさを取り戻し、浮上する話。
まぁ、お約束っちゃぁお約束だけど(笑)
で、ここで鍵を握るのは、下巻の最初で行き倒れの陽子を助けたネズミの半獣の楽俊。
もちろん、完全に人間不信になった陽子にとっていくら助けてくれたとは言え、どうなるかはわからない。
自衛のために剣を握り、油断なく、けれど、行き倒れだったから動けない。
疑い、利用しようとする中で、小さく燻るもの……。
そんな中、異世界から来たのだからと別の国……治世500年を数える大国雁へ行くことを勧められ、楽俊とともに雁への旅路を選ぶ。
そんなときでも、実は楽俊はいまいる国……巧では半獣は一人前の成人として認められないから、そういう差別のない雁へ行きたい、と言う完全な善意でないことに酷く納得する陽子。
やはり、人間荒んでくるとそういう思考しかできないのだろう。
続いてある町で妖魔に襲われてしまい、それを撃退するけど、巻き添えになった旅人の中に楽俊の姿を見つけて、とどめを刺すべきか、それとも逃げるべきか、助けるべきかを迷う。
このあたりにいくら荒んでいても、最後の一線を越えられないところが見え隠れしてくる。
結局、逃げてしまい、楽俊を見捨ててしまったことに後悔しつつ、雁を目指し、ようやく雁に到着する。
そこでは実は楽俊が陽子が来るのではないかと港で待っていた。
そのことに愕然とする陽子。
自分は見捨てて逃げたのに、それでも楽俊は働きながら待っていてくれていた。さらに、見捨てたはずなのに、自分の落ち度だと言う。
ようやく見つけた信頼できる相手に、らしさを取り戻す。
まぁ、予定調和っちゃぁそのまんまだけど、そこまでの道のりがつらく、しかも描写が容赦ないから、読んでるほうもほっとしてしまう。
ここからは話がちょっと違う方向へ。
実は最初に出てきて陽子を主だと言った男……これがこの世界で各国の王を選定する麒麟。
慶国の麒麟で景麒で、いちばん最初のときにすでに王に選んでいた。
そこで今度は景王として慶へ戻る話になる。
まぁ、ここはわざわざ解説するほどのところではないので割愛。
やはり、上巻から続く陽子の描写がよい。
剣の見せる懐かしい日本の幻影、自分でも気付かない内心の思いを暴く青猿。
荒んでいく心と、らしさを取り戻すまでの楽俊の役割。
構成自体は独自性があるとは言えないとは思うけど、そこは陽子や楽俊、青猿のキャラクターとしての魅力や見せ方というのが、やっぱりうまいと思う。
ストーリーの流れもすんなりと入っていけるし、主人公を現代日本から流れてきたキャラにしたから、中国風の異世界ファンタジーでもカタカナ表現に無理がなくなっている。
100%素晴らしい、とは言えない部分もないわけではないけど、やはり無条件でお薦めできる小説には違いない。
ただし、上巻だけを買わないように。
あまりにも暗いので、下巻を一緒に買わないと読む気が失せる可能性あり(笑)
――【つれづれナビ!】――
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元がX文庫ホワイトハートなので、読み応えがなさそうだけど、小野不由美だから、軽く読んでみるかーと購入。
読み始めて、主人公の陽子があまりに過酷な状況に追い込まれていくのに、感心しました。
これだけの目にあえば、人間も成長するよねと納得しちゃいました。
波風を立てないよう、周囲に妥協して生きてきた陽子が、慶王としてやっていくには必要な試練だったと思います。
そうそう、講談社文庫だと、カタカナ表記はなかったと思うのですが(漢字だらけ)、X文庫とはだいぶ違うのかな。
講談社文庫は文庫のカラーの関係で,カタカナ表記はしなかったのでしょう。
X文庫のほうは漢字を使ってもいいようなところでも,ひらがなだったりしますから,読者層に合わせてってところでしょうね。
それにしても,確かにあれだけの苦労をして,いい王様になれない道理はないと思いますね。
それに慶は女王に冷たいから,そういうところも払拭するくらい長い王朝を築いてもらいたいですね。
コメントありがとうございましたw
TBは上巻にしてしまったのですが、コメントはあえてこちらに書かせていただきます。
十二国記は私の一番好きな小説のひとつなので、いろんな友達に(無理やり?)貸しているんですが、この『月の影 影の海』はいつも上下巻セットで貸しています。なぜなら、上巻だけだとあまりの暗さに途中で投げ出してしまう可能性があるので。でも貸した友達はみんな面白かったといってくれるのがうれしいです。
新刊なかなかでないですが、出たらまた魅力的な文章でブログを書いてください。楽しみにしてますw
いまのところ、ほんとうに掛け値なしに薦められるのはこれだけですので、私も結構薦めてます。
ただし、上下巻セットで買うように、って(笑)
新刊は、出たら速攻あげますよ。
ここはふたりでやってますが、ふたりともにオススメの作品なので。