さて、第955回は、
タイトル:ゆらぎの森のシエラ
著者:菅浩江
出版社:東京創元社 創元SF文庫(初版:'07)
であります。
なんか菅さんの本を読むのって久しぶりだなぁ、と思っていたら200回以上も前に読んだっきりでした(^_^;
しかも、2007年のとは新しいじゃん、と言うことで借りてみましたが……。
『都から多く離れた辺境の地キヌーヌ。
塩の霧に覆われ、作物も育たず、漁にも出られず、ひとびとの生活は困窮していた。
さらに霧によって枯れていく自然に反比例するように出現する異形の化け物たち。
そんなキヌーヌにある村にまた全身を甲冑に身を包んだ化け物が現れる。
ひとびとに手をかける化け物……金目は不意に不思議な声を聴く。
それによって失われていた自我を取り戻した金目は、自らが犯した所業に怖れ、自分を化け物に変えた主人パナードへの憎しみを募らせる。
そんな金目は、さまよい続けた森の中でひとりの少女シエラと出会う。
「騎士さま」と金目を呼ぶシエラは、不思議な少女だった。知恵遅れでまともに喋れないシエラは、自ら選んだあらゆるものと食べることによって、急速に成長していく。
成長を早めるシエラ……その背景には荒れていく自然、次々と現れる異形の化け物、その主であるパナード、そして昔話として忘れられつつあった妖精王と女王の伝説があった。
さらにそれは生物の根幹に関わる重大な出来事につながっていくのだが……』
読んでみて、まず「だいじょうぶか、菅さん!?」と思いました。
去年出版されたというのに……と思っていたら、もともとは89年に出たものの再版だということがわかって一安心。
まずはストーリーですが、流れだけを見れば単なるヒロイック・ファンタジー。
金目とシエラが出会い、パナードとの対決に向かう王道とも言えるもので、ストーリーそのものにはさして見るべきところはなし。
とは言え、煽り文句にはSFファンタジーとあるとおり、舞台は異世界ファンタジーだけど、その背景にあるものはきちんとSF的な要素が入っていて、そうしたSF要素が物語の重要なキーになっているところは、さすがにSF畑の人間と言ったところか。
ただ……読みづれぇ……。
もともと89年の作品だと知らなかったころは、ただひたすらにこの読みにくさ=下手さ加減はいかんともしがたい。
つか、菅さん、こんなに文章下手だったっけなぁ、って思うくらい情景が浮かばない。
比較的文章は簡潔なほうなのだが、簡潔な文章できっちりと読ませるのは難しい、というのがはっきりとわかるくらい。
これではストーリーがいくらよくても読む気が……。
まぁ、実際最後まで読むのにだいぶん苦労して、2週間以上読むのにかかっちまったんだけど~(笑)
さておき。
総じて、物語の背景となるSF的な要素やそれをファンタジーの中に溶け込ませて物語を進めるところはおもしろい。
ストーリーそのものは王道のヒロイック・ファンタジーだし、ラストもメインのふたり、サブのふたりとハッピーエンドに締めてくれているので、お話としては無難でオススメもしないが、「どうだ?」と訊ねられれば「悪くないよ」と返せるくらいだろう。
読みづらさという最大の欠点はあるものの、ここさえどうにかなればと言ったところか。
てなわけで、微妙~なところにいるのだが、ぎりぎり及第ってところかなぁ。
これがホントに最近書いたんならあっさり落第なんだけど、かなりの初期作品というところで甘めに。
タイトル:ゆらぎの森のシエラ
著者:菅浩江
出版社:東京創元社 創元SF文庫(初版:'07)
であります。
なんか菅さんの本を読むのって久しぶりだなぁ、と思っていたら200回以上も前に読んだっきりでした(^_^;
しかも、2007年のとは新しいじゃん、と言うことで借りてみましたが……。
『都から多く離れた辺境の地キヌーヌ。
塩の霧に覆われ、作物も育たず、漁にも出られず、ひとびとの生活は困窮していた。
さらに霧によって枯れていく自然に反比例するように出現する異形の化け物たち。
そんなキヌーヌにある村にまた全身を甲冑に身を包んだ化け物が現れる。
ひとびとに手をかける化け物……金目は不意に不思議な声を聴く。
それによって失われていた自我を取り戻した金目は、自らが犯した所業に怖れ、自分を化け物に変えた主人パナードへの憎しみを募らせる。
そんな金目は、さまよい続けた森の中でひとりの少女シエラと出会う。
「騎士さま」と金目を呼ぶシエラは、不思議な少女だった。知恵遅れでまともに喋れないシエラは、自ら選んだあらゆるものと食べることによって、急速に成長していく。
成長を早めるシエラ……その背景には荒れていく自然、次々と現れる異形の化け物、その主であるパナード、そして昔話として忘れられつつあった妖精王と女王の伝説があった。
さらにそれは生物の根幹に関わる重大な出来事につながっていくのだが……』
読んでみて、まず「だいじょうぶか、菅さん!?」と思いました。
去年出版されたというのに……と思っていたら、もともとは89年に出たものの再版だということがわかって一安心。
まずはストーリーですが、流れだけを見れば単なるヒロイック・ファンタジー。
金目とシエラが出会い、パナードとの対決に向かう王道とも言えるもので、ストーリーそのものにはさして見るべきところはなし。
とは言え、煽り文句にはSFファンタジーとあるとおり、舞台は異世界ファンタジーだけど、その背景にあるものはきちんとSF的な要素が入っていて、そうしたSF要素が物語の重要なキーになっているところは、さすがにSF畑の人間と言ったところか。
ただ……読みづれぇ……。
もともと89年の作品だと知らなかったころは、ただひたすらにこの読みにくさ=下手さ加減はいかんともしがたい。
つか、菅さん、こんなに文章下手だったっけなぁ、って思うくらい情景が浮かばない。
比較的文章は簡潔なほうなのだが、簡潔な文章できっちりと読ませるのは難しい、というのがはっきりとわかるくらい。
これではストーリーがいくらよくても読む気が……。
まぁ、実際最後まで読むのにだいぶん苦労して、2週間以上読むのにかかっちまったんだけど~(笑)
さておき。
総じて、物語の背景となるSF的な要素やそれをファンタジーの中に溶け込ませて物語を進めるところはおもしろい。
ストーリーそのものは王道のヒロイック・ファンタジーだし、ラストもメインのふたり、サブのふたりとハッピーエンドに締めてくれているので、お話としては無難でオススメもしないが、「どうだ?」と訊ねられれば「悪くないよ」と返せるくらいだろう。
読みづらさという最大の欠点はあるものの、ここさえどうにかなればと言ったところか。
てなわけで、微妙~なところにいるのだが、ぎりぎり及第ってところかなぁ。
これがホントに最近書いたんならあっさり落第なんだけど、かなりの初期作品というところで甘めに。