つれづれ読書日記

SENとLINN、二人で更新中の書評ブログです。小説、漫画、新書などの感想を独断と偏見でつれづれと書いていきます。

やはりこの流れに……^^;

2012-09-04 19:21:27 | ファンタジー(異世界)
さて、アニメ化される、またはされたことを知る→原作を読む、が定着してきたなぁの第1025回は、

タイトル:織田信奈の野望
著者:春日みかげ
出版社:ソフトバンク クリエイティブ GA文庫(初版:'09)

であります。

アニメ主体なのでどうしてもラノベばっかりになってしまって申し訳ないです。
いえ、ラノベ以外の普通の小説も読んでいるのですよ?
単に記事にしていないだけで。

まぁ、今は予約していたのが次々と借りれたのでラノベが続いていると思ってくださいな^^;

さておき、ストーリーは、

『戦国ゲームや戦国ネタが好きな普通の高校生相良良晴は、気がつくと何故か戦国時代の真っ直中にいた。
敵として認識され、攻撃されるもドッジボールで常人離れした「当たらない」能力を持つ良晴は何とか逃げ延び、とある本陣へ辿り着く。
そこは今川義元の本陣で……だが、決定的に違うところがあった。
今川義元が十二単を着た美少女だったことだ。

夢だと思っているとは言え、殺されそうになっている良晴は義元に家臣にしてくれと頼み込むが貴族趣味の義元はあっさり拒否。
逆に、家臣の松平元康(後の徳川家康)に殺されそうになる始末。
仕方なく、転がっていた槍を拾って応戦するも「避ける」こと以外にこれと言った能力も技能もない良晴にどうこうできるはずもなく……だが、そこへ織田軍に寝返ろうとしていた足軽が良晴を助けてくれたのだ。

その足軽は良晴を織田側の忍びと見て助けてくれたのだが、あいにくと良晴はそんな存在ではない。
だが、織田信長と言えば能力さえあれば足軽であろうと取り立ててくれる合理主義者。不埒な夢で意気投合した足軽――木下藤吉郎とともに織田領へと向かうが、その途中で藤吉郎は流れ弾に当たって死んでしまう。
木下藤吉郎――後の豊臣秀吉が死んでしまったことに愕然とする良晴の前に、藤吉郎の相方だと言う忍び風情の蜂須賀五右衛門と名乗る少女が現れ、死んだ藤吉郎との約束――ともにこの乱世で出世してみせる――を果たすため、ほんの短い時間、意気投合した藤吉郎の代わりに良晴に仕えると言ってくる。

とりあえず、何ができるかわからないが、織田家に仕官するため、織田軍の本陣へと向かう。
本陣は今川勢に囲まれていたが、五右衛門の助けもあり、信長を助けることに成功。
そして仕官を頼む良晴に下されたのは、「蹴り」だった。
曰く「わたしの名前は、織田信奈よ」』

さて、ストーリーだけど、何の脈絡もなく戦国時代に放り込まれた良晴が、信奈に仕官し、サルというあだ名をつけられ、現代の戦国ゲームなどで培ったそれなりに曖昧な知識をもとに、ツンデレでじゃじゃ馬な信奈と喧嘩しつつもサポートし、桶狭間の戦いで今川義元を討ち取るまでを描いたもの。
天下統一どころか、外国の宣教師から聞いた世界までを見据えた信奈に共感し、戦国時代の知識をもとに良晴が信奈をサポートし、困難を乗り越えていくのが基本的なストーリー展開。

まず言える印象としては、とてもテンポがいい、と言うこと。
はっきり言って、初っぱなから何の脈絡も――本当に何の理由付けもなく、戦国時代に飛ばされるという出だしに挫けそうになったけど、それさえ乗り切ってしまえば、このテンポの良さはかなりの好印象。
「トムとジェリー」ではないが(笑)、良晴と信奈の口げんかもテンポがいいし、他の戦闘シーンなどもこのテンポが落ちないのもいい。
ここまでテンポの良さを持続させられる小説は少ないのではないだろうか。
この点に関しては特筆に値する。

キャラは、まぁ、流行りの歴史上の人物を全員(じゃないけど)、美少女にしちゃいました系で特に見るところはない。
まぁ、それぞれの個性はしっかりしているほうなので、悪くはない、とだけ言っておこう。

あとは文章だが……半分以上が会話文で占められているのはいかがなものかと思う。
括弧付きの会話文だけではなく、地の文までキャラの台詞が入っているので、ほとんど会話文だけで成り立っているような印象を受けてしまう。
基本、良晴の視点で描かれるが、時々別の誰かの視点が唐突に入ってくるのもいただけない。
小説の文章と言うより、何かの脚本を読んでいるような感じがする。(脚本のほうがもっと簡潔できちんと状況説明されているかもしれないが、基本、台詞が主体という意味では脚本に近い印象がする)
まぁ、逆に言えばこの文章がテンポの良さを引き出していると思えば、悪くはないのかもしれないが……。

さて、総評だが、テンポの良さはかなりの好印象なのでいい点をあげたいところだが、結局は流行り物のひとつ。
キャラも個性はしっかりしているが特筆すべきところはないし、文章も地の文合わせて半分以上が会話文というのもどうかと思うので、良品の評価はあげられないなぁ。
なので及第とさせてもらうが、本当にテンポの良さだけは買う。
ハマれる人にはこのテンポの良さはさくさく読めていいと思うので、良品未満くらいの評価でオススメできるとは思う。
とりあえず、この1巻を読んでみて、テンポの良さにハマれば続きを買うのもいいだろう。

あ、ちなみに著者もあとがきで書いているが、時代考証などのアレンジや設定に現代風味が混じっているのはパラレルワールドなので勘弁してね(意訳)、と言っているので、そういうところにうるさい人には向かないだろう。


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