つれづれ読書日記

SENとLINN、二人で更新中の書評ブログです。小説、漫画、新書などの感想を独断と偏見でつれづれと書いていきます。

千手流星拳……ではない

2006-10-19 21:25:39 | 木曜漫画劇場(白組)
さて、これは勿体なかったと思う第688回は、

タイトル:仏ゾーン(全三巻)
著者:武井宏之
出版社:集英社 ジャンプコミックス

であります。

扇:四大天使は多いのに、仏教変身ネタって少ないよな~と思うSENでーす。

鈴:そもそも少年マンガで仏教ネタって、他にほとんど見んなぁと思うLINNで~す。

扇:渡瀬希美(かえんぐるま改め)の『薬師』ぐらいかなぁ。
あっちは、仏が人間に憑依するタイプだったがね。

鈴:あー、あったぞ、これこれ、「明王伝レイ」!
これも憑依して悪霊だのをぶっ飛ばすのだったが、不動とミカエルが一緒とか、激しく無茶苦茶なマンガだったなぁ。

扇:うわっ! 凄いの来たっ!
笑えた、って記憶しかねーわ、それ。

鈴:なに、すんげぇ笑えるマンガだったからな(笑)
ある意味、「聖闘士星矢」に匹敵するほどのギャグさだからな。

扇:格闘漫画って、時々ぶっ飛んだのが出てくるよなぁ。
変わり種だと、医者で格闘家なスーパードクターKなんてのもいたが。

鈴:それを格闘マンガにするかっ!(笑)

扇:あれは格闘マンガだろ?
つーかあの人、異常に戦闘力高いし。
怪我してる時の回で、筋肉ムキムキ男にバーベル上げで敗北したんだが、怪我が完治した後しっかりリベンジしてたぞ……確か。

鈴:医療マンガだっ!
まぁ、戦闘力の高さは認めるがね。いろんなキャラをいろんなところで殴ってた憶えはあるし(笑)

扇:さすが戦うブ×ック・ジ×ック。(禁句?)

鈴:禁句ではなかろう。
しかし、あのグラフィックで筋骨隆々を想像……したくないな……(笑)

扇:想像せん方が良い。
話を戻して、他に仏マンガってあったかねぇ。
『西遊記』ネタはあれで一ジャンルなんで、外したいとこだが。

鈴:ん~、他かぁ……。
仏教関係は地味だからなぁ、マンガにすると……。
天使とか、そういうほうがマンガとしてネタにしやすいんだよな。
まぁ、あとは「孔雀王」かな、有名どこは。

扇:真面目に仏教話をしてる漫画としては、諏訪緑の『玄奘西域記』がオススメ。
玄奘が、貧しさに生きる人々を見て宗教そのものに疑問を抱いたりとか、宗教が権力に利用されやすいことを学んだりする姿を描いている。
伝奇物で行くなら、星野之宣の『ヤマタイカ』で決まり。
前半の敵が仏教関係者で、法力使う四天王とか筋肉ムキムキの金剛兄弟とかが出てきてかなり楽しい。俺はこれで不動明王慈救咒と不動明王一字咒を覚えた。(笑)

鈴:あぁ、あれな……。
そらで言えるぞ、どっちも(笑)

扇:密教関係者だったのか……。

鈴:ちゃうわっ!
密教関係は、趣味だ(爆)

扇:作麼生!

鈴:……なにそれ……。

扇:説破と答えんか馬鹿者っ!
「そもさん」と来たら、「せっぱ」だ!
ちょっと密教が人気あるからって、禅宗舐めてんじゃねぇぞっ!

鈴:あぁ、「そもさん」だったのか……。
なんでいきなり中国語が飛び出すのかと思ったぞ。
……で、禅宗はなめてないぞ。だって、とんち小僧を排出したところだからな(爆)

扇:まぁ……ある意味排出だわな。
禅宗なのに、酒飲むわ、肉食うわ、ピーするわと、絵に描いたような破壊坊主。
ちゃんと認可状蹴った後でやってるあたり……義理堅い人だ。(笑)

鈴:まぁなぁ、禅宗というすんごい固い殻を破ったひとではある……が、「はかい」の文字が違う「はかい」がっ!!

扇:お互い、致命的な誤植をやらかしたところで、ストーリー紹介といくかね?

鈴:そーね。
では、仏の国からやってきた千手菩薩のセンジュくんが、相棒のミロクさまとともに、聖闘士星矢ばりの必殺技をひっさげて敵と戦う話であります。

扇:千手観音像に憑依した霊体が、たまたまそこにいた少女に弥勒の使命を与えてインドまで連れて行く話です。

鈴:をい、たまたまじゃないだろっ!
……つか、たまたまで弥勒の役目を与える仏ってどうよ!?

扇:あ~? 何言ってるんですかァ?
たまたま日本に弥勒の化身がいて、たまたまそれが寺に居候してて、たまたまそこにボケ役のセンジュ君が来ただけのことでしょ~? すべては偶然ですよ、偶然。仏の世界なんて、ないない。

鈴:……うわぁ、途中はいいが、最後がやばいな……。
これ以上やばくなる前に、CM行っとこ~っと……。


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鈴:じゃぁ、キャラ紹介ね。
すんげぇ少ないけど(爆)

扇:んじゃ、主人公のセンジュ君。
大日如来の命を受け、地上に現れた弥勒を悟りへと導くためにやってきた仏ゾーンの一人。
専用装備である千手天衣センジュアーマーを身にまとい、弥勒暗殺に動く魔羅マーラ達と戦う。
千本の手であらゆる衆生を救済しようとする千手観音らしく、かなりの甘ちゃんだが、それ故に多くのキャラに愛された。
見た目は子供だけど、しっかり説法するシーンもあったりする。

鈴:では、そのセンジュくんの友人でもある、けっこう貧乏くじを引くところがらしい地蔵菩薩のジゾウくん。
長らく人間界にいたために、けっこう世慣れた、世知辛い性格をしつつも、やっぱり地蔵らしく、捨て置けないところが、これまたらしいキャラ。
印ビームという、ビーム技を基本とするが、恐山の賽の河原では、地蔵天衣と言う、まんまその辺のお地蔵さんの天衣を着て戦っている。
ちなみに、その組成上、たいていは石(岩)製なので、かなづちなのが玉に瑕。

扇:んじゃ、ヒロイン(?)のサチ。
十年前、西岸寺の門前に捨てられていた孤児。
自分を救ってくれなかったことから当初は仏を嫌っていたが、センジュ君のすべてを救おうとする覚悟に呼応して、彼とともに悟りの道を歩むことを決意する。
ちなみに例の五十六億七千万年の話だが、年を念と読み替え、五十六億七千万人分の念が地上に満ちたという解釈をしていた。ここらへんは結構上手い。
キャラ設定はしっかりしてるのだが、他のキャラが濃すぎてちょっと印象が薄くなってしまったのは不幸かも知れない。

鈴:「?」じゃなくて、いちおう、ヒロインの予定だったろ>サチ
では、次に打ち切りにならなければラスボスにはならなかったアシュラ。
きちんと仏法守護神として登場しつつも、世の中に絶望してセンジュの「もれなく救う」ことに仏法の意味を見出そうとした悲哀のキャラ。
つか、なんのかんの言っても、他のキャラ差し置いて、いちばん目立ってんですけど(笑)
ちなみに、アシュラの天衣の顔を、ウォーズマンと言ってはいけない(笑)

扇:つーか……あれは下世話過ぎたんでやめて欲しかった。(>ウォーズマン)
読者から非難を喰らったのか、三巻の禅問答で言い訳してたしなぁ。
もっとも、アンナが、『ゴージャスアイリン』の真似をしてみたりとか、どうよ? と思える部分は他にもあるけどね。(毒)

鈴:まー、いーんじゃねぇの?
その禅問答のコーナーで、ぶっちゃけ、いきなりだったらキャラ作る間がなかったっつってるし。
でもまぁ、どうせパ○るなら、アシュラマンを○クってくれてもよかったけどな(笑)

扇:やったらやったで、死ぬほど叩かれただろうがな。
まー、そういう若さ故の突っ走りを大目に見れば、結構好きな作品ではある。
センジュ君の主張は一貫してるし、ジゾウ君格好いいし、最後はサチの成長も描かれていた。
打ち切りにせずに、もう一巻続けさせてあげれば、もうちょっとまとまった終わり方にできたかも知れん。

鈴:確かにねぇ。
もう1巻あれば、いかにも打ち切りですと言う感じにはならんかっただろうなぁ。
でもまぁ、打ち切りとは言え、少年マンガとしては、まったく読まない私が、けっこうおもしろく読めたマンガではある。
……というか、「キング・オブ・ザ・ハスラー」とか、お気に入りのマンガって、いつの間にか終わってるけど(爆)

扇:同じ宗教話だけど、『シャーマンキング』ほど説教臭くないしね。
って、ここで打ち切り打ち切りといってますが……どうにか、終わったという形にはしてくれてます。
荒さはあるけど結構読める作品だし、全三巻で終わってるので、未チェックの方は軽く手を出してみても悪くないかと。
と言うわけで、今週はこの辺で。南無!

鈴:そうね。
でも、ある意味、打ち切りとは言え、3巻でとりあえず終わらせているから、手に取りやすいマンガではあるわね。
実際、比較的オススメなほうの少年マンガではあります。
と言うわけで、今回はこの辺で、さよ~なら~