つれづれ読書日記

SENとLINN、二人で更新中の書評ブログです。小説、漫画、新書などの感想を独断と偏見でつれづれと書いていきます。

記事のためならえ~んやこ~ら♪

2006-10-22 13:50:20 | 恋愛小説
さて、どんな作品でも最後まで読むぞの第691回は、

タイトル:ラスト・ワルツ
著者:盛田隆二
出版社:角川書店 角川文庫(初版:H17 単行本初版:H5 新潮社刊)

であります。

18歳で上京してきた青年の「ぼく」は、12年後のいまはある情報誌の編集の仕事をし、妻と2歳になる娘がいる男だった。
あるとき、新宿のバーで、花菜子さんに再会した。

12年前、上京したときに3週間ほど一緒に暮らしたことがある花菜子さんは、上京したばかりのときに出会ったメグが所属するアングラ劇団のメンバーとして出会った。
3歳の息子がいる花菜子さんと暮らすようになったとき、花菜子さんは犬の首輪をつけて帰ってきた。
それはある男と他人のままつながっている証だった。

それをきっかけに、様々な事情から同居生活を解消した「ぼく」は、12年ぶりに再会した花菜子さんと、いまの家庭生活の中とで揺れ動く。

あー、おもしろくない小説の作品紹介ほどどーでもいーことはないなぁ、マジで。

構成は、1985年と1973年のふたつの時間の「ぼく」が主体となっており、最初の1985年はプロローグのようなもの。
花菜子さんとの再会が描かれ、次に1973年の「ぼく」が上京したとき、そしてまた12年後に再会してからの物語が描かれている。

まずはひとつ。
これはまぁ、男が書いた男のための恋愛小説、と言えるだろう。
しかも何となくもしかして……と思っていたら、「ぼく」は著者がモデルの小説だと堂々とあとがきで書いてあった……。

私小説かよ……最悪……

まぁ、私小説嫌いにはこの時点で評価はがた落ちだが、読みにくさもまた評価を下げる。
著者の初期作品で、あとがきでも自分の文章の稚拙さに愕然としたとあるが、ほんとうに、下手だ。

何はともあれ、とにかく「間」が悪い。
場面転換などでの「間」や、行間の「間」など、想像力がそのシーンを描き、流れていく、そんな流暢さはほとんどない。
特に前半部分はそれが顕著で、キャラの行動、言動すべてにおいて激しくコマ落ちするアニメでも見ているようなもの。

そのせいで作品の世界には入っていけないし、読み進めるのには苦労するしでいいとこなし。

ストーリーも、世界に入っていけないとなかなか同調することは出来ないし、だらだらと進むだけでメリハリもない。
読みにくいだけで、物語そのものがおもしろければまだいいのだが、私小説であることを差し引いても、まったくおもしろいと思える余地はなかった。

もっとも、これは他の作品を含めて「恋愛小説三部作」と言うことになっていると言うことで、別の作品を読んでいれば、また違った評価になるかもしれない。
ストーリー面においてのみ、だが。
総評、落第。