のんびり娘の謎

10円が2個で、、、12円?今日の前の日は、、、前の日?のんびり娘のお答えは、理解できない謎ばかり。さぁ、どうする?

義弟が残してくれたもの。

2009-10-17 11:14:09 | 母の作戦、考え
Ri-mamaさん、コメントありがとうございます。お返事後回しになってしまっていて済みませんが、もう少し書かせてください。


 義弟の実家では、以前から、奥さんのお母さんの行動を
「やってあげすぎじゃないの。自分でやらせてあげないと・・」
という話がよく出ていました。
(義弟は、決してそういう話をしません。奥さんのことについての愚痴も言ったことがありません。ですので、義弟実家の話と言っても、これは義弟一家を抜いた話と思ってください。)

そういう時、私は少し複雑な気分で話に加わっていました。
のんびりチャンに「自分でやらせる」ようにするための根気は、結構大変なものだということを他の誰より感じていましたから。
そして、奥さんの家には、奥さんより緊急を要することの多かったであろう、手をかける必要が高かったであろうお姉さんがいる。
母親としては、まずお姉さんを少しでも自立に向かわせる療育をと頑張ってきただろうということは想像できました。おそらく中度の知的障害だろうと思われるお姉さんの作業所への送り迎えなどもお母さんが請け負っています。
そうした中、なんの問題も起こさない奥さんにどれだけの手をかけられたか・・・
お母さん一人を責めてよしとする気持ちにはなれませんでした。

人間、誰でも持っているものは違います。
奥さんがその家のたった一人の子供であれば、お母さんももっと違った育て方をしたかもしれません。
また、奥さんの家庭がもう少し余裕のないうちであったなら(別荘を持っていたりして、結構お金はあるようです)、
奥さんを家で箱入りさせず、パートでも何でも出来そうな所にお勤めさせていただろうと思います。
或いは、お母さんが働きに出て、奥さんに家事を任せたかもしれません。

現在の結果は、それぞれの能力や考え方だけではなく、その人を取り巻くいろんなものから導き出されているのだと、私は思います。
それならば、私がむやみに奥さんとのんびり娘をつなげても仕方がない。
我が家には、のんびり娘を一生養っていくだけの余裕は生み出せそうもないし、
出産の遅かった私は、彼女が私の手を必要とするだけの間ずっと元気で生きていられるとは限らない。

そうであれば、そうであるなりの、我が家の人間育てをやっていく他ないんですよね。
当たり前と言えば当たり前のことなんですけど、揺れに揺れて、そうしてやっぱりそこにたどり着きました。

そうなってみれば、今回の一連の出来事も、のんびり娘成長の糧とすることが出来ると考えられるようになってきます。
我が家でも、「もしママが倒れたら・・・」のシュミレーションをやってみましたし、
どんな言動が人を温かい気持ちにさせ、どんな言動がそういう気がなくても人を傷つけるのか、義弟をめぐる動きの中で例をあげて感じてもらうこともできました。

一人の人間が死を迎える、しかも周囲が想定していなかった若さで・・・
そういう出来事は、人間の中のいろんな部分を浮き上がらせてくれます。
ここで深く触れるつもりはありませんが、きれい事では済まない、どろどろとしたものも出てきますし、ささくれ立った心と心が無用のいさかいを産むこともあります。

そうしたこと全てを、子供たちに見せて聞かせて、彼女たちが感想を持ったところで、
互いの立場と思いを解説し、そうしてなぜそうなるのか考えさせて・・
義弟を見舞う病院の行き帰り、義弟実家や告別式会場への行き帰りの車の中で、
子供たちといろんなことを話しました。
「自分」側のものの見方と、「相手」側のものの見方と、それから「傍観者」としてのものの見方と、そういう複眼的なものを少しは感じてもらえたのではないか。
それがこの後どうつながってくるかは、これも私の腹の括り方一つだろうと思っています。
途中であきらめるか、わかるまでしつこくしつこく、手を変え品を変え働きかけるか。
私は後者をとることにしました。


ありがたいことに、義弟の生き方は人間の温かい面をたくさん子供たちに見せる結果も残してくれています。

雨の中、心から義弟を悼み各地から集まってくれた大学時代の仲間たち。病院にも毎日誰かが顔を出して、義弟のために人目憚らずに泣いてくれました。
これまで何度も支店を変わっているのに、20年も前の支店で一緒だったと、わざわざいらしてくださって、私たちに一言残してくださった方。
生まれてまだ2カ月にもならないであろうお子さんを抱えて、「どうしても先輩に見ていただきたかったから」と言ってくださる前の職場の女性。
まだ、配属されて2カ月にしかならなかったのに、月末で大変忙しいというのに、
今の職場の方々も皆さん駆け付けてくれて、受付など快く引き受けてくださいました。
支店長さんは、通夜の日の夜遅くまで外の受付の前で頭を下げ続けていてくださいました。

「頑張っていれば、それを必ず見ている人はいるよ。」
「人にやさしくしていれば、それは必ず帰ってくるよ。」
私が繰り返しのんびり娘に伝えていることを、義弟は「そうなんだよ」と教えてくれているようでした。