和歌山県の川湯温泉は河原を掘ると温泉がポコポコと湧いてくるという、関西ではおそらくここだけの珍しい温泉で、エメラルド色の大塔川で温泉浴を兼ねて水遊びを楽しむこともできます。
奈良交通、熊野交通、龍神自動車の各路線バスで「かめや前」BSで下車して目の前、亀屋旅館は家族経営の小さな、しかしかなりの老舗旅館です。
重厚な母屋は昭和初期に建てられた木造2階建ての和風建築で、平成20年3月に国の有形文化財に登録されたとのこと。何よりも目の前のバス停が「かめや前」となっているのが老舗であることの証左です。
旅館のお料理は薬膳料理です。料理の詳細は食べログで。
この旅館の温泉は自家源泉。高野槇の浴槽に澄明なお湯が掛け流されています。湧き出たばかりのお湯が掛け流されているので浴槽の中はけっこう熱い。ほんのり匂いたち微発泡です。
すぐ近くの湯の峰温泉に比べたら個性に欠けると感じるが、浴感がマイルドなので湯あたりは起こしにくいし、微炭酸なので保温効果もある。これは湯治に丁度いい湯質ですね。
本当の川の中から湯が湧いてくる野趣を味わいたいなら、各旅館が目の前の川原に掘っている専用露天風呂がいい。川底から湯がプクプク沸いてきて、ときどき熱い湯が身体に当たってびっくりするのも楽しいですね。
しかし川の中では泉質を実感することはできません。やはり温泉は旅館のお風呂のほうがじっくり味わえます。
川面に隣接するこの旅館の宿命として、台風や大雨で大塔川が増水すると、頻繁に浸水してしまうことです。関西を襲った2018年8月の台風20号では1階の床上1.8メートルまで浸水し、営業できなくなってしまいました。
クラウドファンディングにより復旧費用をかき集めて、ようやく翌年3月に一部ではあるが営業再開に至ったところです。クラウドファンディングが成功するというのは、よほどこの旅館のファンが多いのでしょうね。
・場所:奈良交通、熊野交通、龍神自動車・かめや前BS
・泉質:ナトリウム・炭酸水素塩・塩化物泉 63℃
・訪問日:2016年2月26日
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