バスde温泉

バスで行く温泉旅日記

しらさぎ@椿温泉

2021-11-08 14:45:59 | 温泉(和歌山県)
和歌山県白浜町にある南紀白浜温泉は、豊富な湯量と極上の泉質を誇る温泉地。しかも青く輝く太平洋と白い砂浜に恵まれ、次々にパンダが生まれる温暖な気候により、日本有数のリゾート地でもあります。



しかし同じ白浜町内にある椿温泉は、紀州藩の地誌『紀伊続風土記』(天保10年)に名湯として記されているものの、全国的に有名な南紀白浜温泉の陰に隠れてしまって、あまり知られてはいません。



歓楽街らしきものが一切存在しないこの椿温泉では、ここ数年の間に温泉街で最も老舗の湯元旅館の「椿楼」が廃業、温泉マニアに愛好された旅館「冨貴」も閉館。実に寂しくなってしまいました。



しかしここには異様なほど巨大な建物が林立しています。これは高度成長期からバブル期にかけて、投機の対象としてリゾートマンションが次々と建設されたからです。しかし、それらに住む人も少なく、人の姿を見かけることは稀な状況です。

長い緊急事態宣言が集結し、ようやく遠慮なく旅行ができるようになった今年(2021年)の秋。久しぶりに椿温泉の優しいお湯に浸かりたくなり、「バスde温泉」を実践することにしました。



白浜駅前から明光バス・日置行きに乗車し、海沿いを走ること20分足らず。椿温泉BSに到着しました。バス停の目の前が今回宿泊する旅館です。

昭和29年開業のこの旅館は、鉄筋4階建・平成2年築の本館と木造2階建の別館に加え、湯治専用棟を新設するなど、お湯の質にこだわるお宿。2食付いて一万円を切る値段が魅力で、ネット予約しました。



エントランスから中に入ると、小ぢんまりしたレセプションカウンターがあるとともに、喫茶店のような飲食スペースが設けられています。小さいレストランも兼ねているようです。



案内された部屋は3階の和室で、洗面、トイレの付いた6畳間。コンパクトにまとまっています。窓からは巨大リゾートマンションに邪魔されながらも太平洋が望めるオーシャンビュー!



お風呂は4階にある男湯と女湯に分かれる展望大浴場。浴場の扉を開けるとほんのり硫黄臭が漂ってくる。この匂いだけでも興奮してきます。



大浴槽には加温された温泉が掛け流されています。僅かに湯の花が見られる澄明なお湯で、浸かってみると、椿温泉特有のぬるぬるっとしたアルカリ性らしい感覚。単純硫黄泉の柔らかい肌触りがいいですね。

湧出温度が低いため加温はされているが、この特徴的な肌触りがなんとも心地よい。残念ながら窓が曇っているので、展望はそれほど期待できません。



一角にはふたつの小さい源泉浴槽があり、ここには非加温の源泉が満たされ、それぞれ日替わりのハーブが浮かべられています。



加温浴槽で充分体を温めてから源泉浴槽に浸かると、程よくクールダウンされて気持ちいい。源泉だけにぬるぬる感が強調され、僅かに気泡も付着します。ハーブは赤紫蘇とミカンです。

ここの温泉はもちろん飲むこともできる。これがまた不思議なことに甘露水が如く実に甘いんです。



青い海を眺めながら上質の湯に浸かるのは、まさしく至福のひと時です。そのうち日が落ちてくると、夕陽が海に落ちる絶景も楽しめる。



食事は2階の食堂でいただくことになります。部屋番号の掲示されたテーブルにはあらかじめほぼすべての料理がセットされています。



料理の詳細は食べログで
簡素ながらも上質な旅館料理@椿温泉

朝風呂は6時半から使用可能とのこと。昨日と同様、香しい温泉の匂いが充満しています。夕べと同様、加温浴槽で体を温めてから源泉浴槽へ。



お湯を少し足して、人肌程度に温まったらゆるゆると身を沈める。静かにぬる湯に浸っていると、魂が抜け出ていくような感覚が訪れます。睡眠と覚醒の間をさまよう浮揚感。これはなかなか得がたい贅沢です。

帰り際、宿のご主人が車で椿駅まで送ってくださいました。このお宿、宿泊客は基本的にほったらかしです。なので何の気遣いもなく良質の温泉に浸り続けることができるのです。


ゑびす荘@十津川温泉

2021-10-14 14:08:23 | ☆バスde温泉(京阪神)
紀伊半島の最深部、国道が開通するまでは周囲とは隔絶した地域だったため、独特の文化・気風を持ち、南北朝時代や幕末の争乱期に狂言廻しのようにして現れる十津川郷士を輩出した奈良県十津川村。ここは全国で最も広い面積を持つ村としても知られています。



十津川温泉は、十津川温泉、湯泉地温泉、上湯温泉から成る十津川温泉郷の中核で、十津川村のやや南部、二津野ダム湖畔の平谷集落に10軒足らずの旅館と村営の入浴施設などが点在する実に静かな温泉街です。もちろん日本百名湯にも選ばれています。

この実に小規模な温泉街の一角にある「ゑびす荘」は、十津川温泉では老舗旅館のひとつで、すぐ近くの「湖泉閣吉乃屋」とは対照的に庶民的な値段が魅力のお宿です。



客室は小ぢんまりしていながらも、手入れされていて清潔で快適。湖から少し離れているのでエメラルドブルーの湖水を見ることはできないが、果無山脈を望むことはできます。

この旅館を営んでいるのはまだ若いご夫妻です。祖父が営んでいたこの旅館をこの若夫婦が都会からUターンして引き継いだとのこと。



この旅館の温泉は1階に貸切湯、2階に露天湯が設置されています。1階の貸切湯はいささか古びた感じではあるが、ぷうんと漂うアロマの芳しさにまず悩殺されます。お湯に浸かるとトロリとした濃厚な浴感があります。



2階の露天湯は新しく設置されたようで割と広々。浴槽には十津川特有のまるで上質の白ワインのような淡麗なお湯が掛け流され、広い空を眺めながら上質のお湯に浸かる至福を味わえます。

この旅館の食事は極めてヘルシー。夕食は十津川産の野菜を使ったお料理が並びます。



料理の詳細は食べログ



若夫婦だからこその工夫を凝らした新感覚の料理の数々。美味しくてヘルシーなこの料理を食べて、十津川のフレッシュな温泉に浸かったら、帰った翌日はすっかり体が軽くなりました。

HOTEL HOLIDAY HOME@京丹後市

2021-07-08 20:23:46 | 景勝地
京都丹後鉄道・かぶと山駅から車で10分ほどのところ。久美浜湾に接する特徴的な鐘型の山・兜山(かぶとやま)の麓、かぶと山公園内に、その名の通り、自然の中で休暇を楽しむことのできるホテルがあります。



ここは神戸を拠点にして、国内各地に33店舗(関連店舗含む)のセレクトショップ「Bshop」を展開する株式会社ビショップの運営するホテルです。



緊急事態宣言の明けた7月、久しぶりに妻殿とちょっとリッチな休暇を楽しもうと、このホテルに宿泊することにしました。

交通手段はレンタカーで、このホテルには温泉は無い。バスでもなければ温泉でもない(しかも一人旅でもない)という、ワタシのポリシーからはかなり遠ざかっているが、妻殿のリクエストなので仕方ない。

兜山の外周道路からオートキャンプ場のほうに曲がると、数棟からなるこのホテルの建物が現れます。駐車場に車を停め、エントランスから敷地内に入ります。



手入れされた庭の先にある建物が「Bshop久美浜店」。ここではセンスの良い服や雑貨が販売されています。ホテルで使用しているパジャマも販売されてるとのこと。



その左側にある建物がレストラン棟と一体になったホテル・レセプションです。こちらでチェックイン。ここには薪の暖炉があり、冬には実際に使用しているとのこと。本棚にある本を借りてゆっくり読書するのもいいですね。

ホテル・レセプションの奥の扉からプロムナードを少し歩いたところにある平屋の建物が1棟2室のスタンダードツイン。本日はここに宿泊します。



玄関ポーチから中に入ると、天窓から光の差し込む高い天井が特徴的な客室になっていて、2台のベッドと窓に向かったソファが並んでいるだけの、簡素ながらセンスの満ち溢れる空間です。



木のぬくもりを感じるベッドには、ナチュラルなリネンの布団が掛かり、柔らかな枕が置いてあります。見るからに気持ちよさそう。ベッドサイドにはブックライトが設えられていて、寝転びながらの読書も楽しめます。



掃出しの窓の外はウッドデッキのテラス。あいにくの雨のため、久美浜湾は鉛色なので判りづらいが、天気がよければ木々の間から青い海が見えると思います。



室内には海側に窓のあるバスルームと、洗面台、流し台、トイレがあり、ゆったりとしたバスタブに浸かる至福を味わえます。温泉ではないのが非常に惜しいが、こればっかりは仕方ないですね。



食事は、レセプションの先にあるレストラン「Reception Garden」に用意されます。広いホールと通路のような細長いスペースにテーブルが並ぶ全50席足らず。



料理の詳細は食べログで。

フレンドリーで気さくなホテル・スタッフのホスピタリティーにも台満足。緑豊かな雑木林から垣間見える久美浜湾の景色を眺めながら、ゆったりとした休日を過ごすことができました。




橋本屋旅館@湯村温泉

2020-08-13 09:24:07 | 温泉(兵庫県)
JR山陰線・浜坂駅から路線バスで20分ほど、また大阪・神戸から高速バスで2時間ちょっとのところ。春来川の畔にある湯村温泉は、平安時代(848年)開湯という歴史ある山峡の湯治湯です。


吉永さゆりが主演するNHKのドラマ「夢千代日記」で一気にその名を知られるようになったこの湯村温泉は、高温の噴出泉・荒湯を中心に、その周囲に飲食店やお土産物店も建ち並び、閑静ながらも宿泊客数の多い旅館街です。


荒湯の直近にあるこの旅館は、いささか古びていて客室も狭いが、宿泊料金が格安で、しかも部屋の窓から荒湯や春木川の流れが一望の、抜群のロケーションを誇ります。


旅館のお風呂には新鮮なお湯が満たされています。掛け流れている訳ではないが、温くなったり湯量が減ったときなど、必要に応じて集中配湯の新湯を足す方式。蛇口のコックをひねるとえげつない水圧のお湯が噴出します。


満たされているのは僅かに臭気がある澄明で素直なお湯。ほんのりぬめりを感じる優しい肌触りは湯村温泉らしい質感です。


利用した日はワタシのほかに他のお客さんがおらず、敢えて掛け流していないものだと思います。広い浴槽に温泉水をジャブジャブ掛け流していたら資源の無駄だし、それ以前に熱すぎて浸かることなどできないでしょう。


この旅館の朝食は同じフロアーの別室に料理が並べられました。豆腐、ヒジキ、切干大根、鮭、海苔などオーソドックスなスタイルです。


橋本屋旅館(食べログ)

親切な女将さんのいるアットホームなお宿、高級旅館では味わえない、ほのぼのとした温かみを感じることができます。

場所:全但バス・湯村温泉BS
泉質:炭酸水素塩泉 98℃
訪問日:2020年7月28日


豊岡市出石伝統的建造物群保存地区@出石

2020-08-11 16:22:40 | まち歩き
山陰本線八鹿駅、江原駅 および豊岡駅から全但バスでそれぞれ20分ほどのところ、豊岡市出石町は、旧出石藩の城下町。城下町として整備された町割が碁盤の目状で、美しい街並みが風情を残していることなどから、「但馬の小京都」と呼ばれています。


有子山城の北麓に慶長9年(1604年)、外様大名小出吉英により出石城とその城下町が築かれ、江戸時代には仙石家の城下町となって発展しました。江戸時代三大お家騒動の仙石騒動は有名です。


明治時代、出石城は廃城令によってその多くが取り壊されたが、堀、石垣などが現存、また隅櫓、登城門・登城橋などが復元されるとともに、お堀の一帯は公園として整備されて、観光客を集めるとともに、市民の憩いの場となっています。


出石のアイコンとなっているのが日本最古の時計台とされる辰鼓楼です。当初は城主登城を知らせる太鼓を叩く楼閣として1871年(明治4年)に完成たものであるが、1881年(明治14年)、旧藩医の蘭方医、池口忠恕がオランダ製の機械式大時計を取り寄せ寄贈したことによって現在の姿の時計台となったものです。


出石城の内堀の近く、内町通りは江戸時代後期の上級武士の居住区であったところ。ここには家老屋敷が残されていて、現在、仙石騒動の資料をはじめ、無形文化財の大名行列諸道具など出石藩に関する資料を展示し、「豊岡市立出石家老屋敷」として公開されています。


建物は平屋建に見えるが、内部に隠し階段が仕組まれた二階建です。2階は刀を使い難くするため天井が低く造られ、屋根上への逃げ道も確保されているとのこと。

辰鼓楼の北側は商店や住宅が立ち並ぶ中心街になっています。ここにある「豊岡市立出石史料館」は、主屋、離れ、土蔵で構成される1870年代築の豪商の旧邸を旧出石町が譲り受けたもので、仙石騒動や藩政の記録をはじめとする出石藩関係の史料、古地図、武具、茶臼山古墳からの出土品等が展示されています。


生糸を商う豪商福富家の本邸として、遠く京都から職人を招いて工事に当たらせるなど、贅の限りを尽くして建てられた数奇屋風の近代和風建築も見ものです。


出石の名物で、出石の名を全国に知らしめているのが「皿そば」です。出石のアイコンたる辰鼓楼を中心にして約50軒ものそば屋が並ぶ関西屈指のそば処として知られています。


宝永三年(1706)に出石藩主松平氏と信州上田の仙石氏がお国替えとなり、その際に仙石氏と供に信州から来たそば職人が在来のそば打ちの技術に磨きをかけたとともに、出石焼きの白地の小皿に盛る様式が確立されたとのこと。


官兵衛

出石は「豊岡市出石伝統的建造物群保存地区」の名称で、国の重要伝統的建造物群保存地区として選定されています。歴史的建造物をはじめ数々の文化財によって歴史にふれることができる魅力ある街です。しかしそれだけではこれほど多くの観光客を呼び寄せることはできません。それができるのは「出石そば」というキラーコンテンツがあることだと確信しています。



白猿の湯@俵山温泉

2019-11-25 23:25:04 | 温泉(山口県)

サンデン交通バスで小月駅から70分、下関駅からは110分のところ。木屋川上流の山間部にある俵山温泉は、山口県を代表する温泉(「防長四湯」)のひとつで、1100年の歴史を持つ古くから湯治場です。


温泉街にある40軒ほどの旅館は、そのほとんどが個人向けの小さな日本旅館で、歓楽街は一切ありません。この地の旅館は内湯を持たず、温泉は外湯に通うという古くからの湯治場のスタイルが今も残る希有な温泉地です。


この「白猿の湯」は2004年にオープンした俵山の最新の温泉施設です。レストランや地元の物産店を備え、浴室も大きくて開放感があります。


広い浴槽は加水なしの掛け流し。この施設の近くに自噴する「町の湯」が惜しげもなく使われています。この温泉はpH9.9というアルカリ性のため、ぬるっとした肌触りが特徴です。


この施設では露天湯もあるが、こちらは一部循環のようで、内湯の方が明らかにお湯の質感が勝ります。洗い場も広くて気持ちがいいのだが、どことなくスーパー銭湯っぽい感じがします。


立ち寄りの旅行者向けの施設とは思うが、気軽に俵山のお湯に触れることのできる、上質の温泉施設です。

場所:サンデン交通・俵山温泉BS
泉質:アルカリ性単純温泉 41.2℃
訪問日:2006年4月5日


道後温泉本館@道後温泉

2019-11-23 22:31:12 | 温泉(愛媛県)

ここはもう説明の必要もないですね。日本三古湯のひとつ、道後温泉を代表する共同浴場です。道後温泉のシンボル的存在、いや、日本の温泉を象徴する建物といってもいいでしょう。


ここは戦前に建築された歴史ある建物(近代和風建築)で、国の重要文化財として指定されているとともに、共同浴場番付において、東の湯田中温泉大湯と並び西の横綱に番付けされています。


また、この建物が宮崎駿監督の映画『千と千尋の神隠し』のモチーフとも言われています。さらに、ミシュランガイド(観光地)日本編において2つ星に選定されるとともに、経済産業省の「近代化産業遺産」に認定されています。


この複合的に重なり合った建物の構造は、平面図でにわかに理解することは難しい。増築を重ねて現在の形になっているが、この形を保ちながら現代の保安基準に合わせるのは大変でしょう。


屋上にあるのが振鷺閣(しんろかく)。ここで朝6時の開館時、正午、午後6時に太鼓を打ち鳴らします。この音が道後温泉の風物詩。1996年に環境庁の日本の音風景百選に指定されました。


1階に「神の湯」、2階に「霊の湯(たまのゆ)」と、2種の浴室があり、その違いは石の程度だが、霊の湯には石鹸が備え付けられ、料金が高くなっています。


霊の湯は専用の休憩室付で、個室が1550円、大部屋が1250円と料金が異なります。リーズナブルな神の湯でも、休憩室ありが840円、入浴のみで410円となるなど、複雑な料金体系となっています。


霊の湯は小さいながら、高級感漂う落ち着いたお風呂です。こちらの方は人が少ないためゆったり入れます。また、こちらには石鹸が備え付けられています。お湯は澄明の無味無臭。やや滑らかな浴感で、一応掛け流しです。


神の湯の方は観光客とともに、地元の人たちの利用が多くて賑わっています。男湯は東浴室と西浴室との二つに分かれていて、合わせての収容人数はかなり多い。こちらにも霊の湯と同じお湯がコンコンと掛け流されているが、これほどの多くの浴槽で掛け流しを維持するのは相当の湯量なんでしょうね。


休憩所ではお茶とお菓子が付いています。霊の湯の個室では「坊ちゃん団子」、大部屋ではお煎餅です。なお、個室の利用時間は80分まで、大部屋は60分までとのこと。


個室の並ぶ3階一番奥の個室に「坊ちゃんの間」と呼ばれる夏目漱石ゆかりの資料の置かれた部屋があり、ここは貸し切りとはせず一般開放となっています。


霊の湯の利用者は、明治32年に増設された皇族専用の浴室「又新殿(ゆうしんでん)」の見学ができます。日本で唯一の皇室専用浴室とのことだが、現在は旅館を利用されるので、ここ50年ほど使用されていないとのこと。優雅な造りは、現在とは比較にならない皇室への畏敬が感じられます。


この温泉では、せっかくの掛け流しであるにもかかわらず、条例により塩素投入されるようになったことが問題になりました。湯の質にこだわる人は、こぞって非難をしています。しかし人気の温泉のこと、多くの人が入浴するし、これほど大きな浴槽では換水率も上がらないので、塩素投入はやむを得ません。


ならば、せめて小さい霊の湯では換水率を上げて塩素投入を止めるとともに、石鹸やシャンプーの使用も禁止してしまったほうがいいのではないかな?そうすれば、身体を洗うのは神の湯、湯治は霊の湯と棲み分けができ、日常使いの地元客も観光客も双方満足できると思うんだが…いかがでしょうか?

※2019年現在、改修工事のため一部利用できないところがあるのでご注意ください。

・場所:伊予鉄市内電車・道後温泉駅
・泉質:アルカリ性単純泉 43度
・訪問日:2010年9月27日


ガニ湯(カニ湯)@長湯温泉

2019-11-21 18:25:42 | 温泉(大分県)
豊肥本線・豊後竹田駅から路線バスで40~50分ほどのところ。長湯温泉は奈良時代初期の『豊後国風土記』に記述が残る由緒ある温泉です。


その温泉街の中心部、芹川の川原にある石組の露天風呂こそ長湯温泉のシンボル「ガニ湯」です。今でこそ人工の岩風呂ながら、昔は析出物から自然の露天風呂が形成されていたとのこと。


川沿いにある露天風呂のため柵や囲いもなく、橋の下にある脱衣所で着替えて入ることになります。周辺の道路や旅館からまる見えなので、入るのにいささかの勇気が必要だが、開放感は抜群。なお女性は水着の着用が可能とのこと。


訪れた時は真冬。オリーブ色のお湯に手を浸けてみるとかなり温く、入浴したら出るに出れなくなると思い、裸になるのは断念。手を浸けるだけにとどめました。


現在は別の源泉からパイプで引いてきているとのこと。そのため炭酸は抜けてしまい、温浴効果を高めるという気泡の付着はありません。なので冬場の入浴は危険です。


入浴こそ叶わなかったが、長湯温泉のシンボルを間近に触れることができて満足です。夏に訪れることがあれば、その時こそ実際に入浴してみたいと思います。

・場所:大野竹田バス・長湯温泉BS
・泉質:マグネシウム・ナトリウム・カルシウム-炭酸水素塩泉 37.8℃
・訪問日:2010年1月25日

長湯歴史温泉伝承館 万象の湯@長湯温泉

2019-11-21 08:31:24 | 温泉(大分県)

豊肥本線・豊後竹田駅から路線バスで40~50分ほどのところ。長湯温泉は街の中央に流れる芹川に沿って旅館や共同場が点在するとともに、ところどころに飲泉所が整備されている閑静な温泉街です。


この「万象の湯」は温泉の中心部より上流の位置、豊かな田園地帯にある入浴施設です。ここは以前は農協の米穀倉庫だったのだが、それを改造して造られた、ここでは比較的新しい施設のようです。


広い浴室の中央に大きな浴槽が横たわっていて、その中に褐色のお湯が掛け流されています。ここのお湯は、長湯のほかのお湯より温度が高く、色も臭いも味も、それぞれが濃いように感じる。


この浴槽の端っこに一人が入っていっぱいの小さな浴槽があり、ここには冷泉が底面から湧いています。お湯(お水?)はメインのお湯とは対照的に澄明で、金気臭とともに強力なシュワシュワ感。褐色の湯の華がひらひらと大量に舞っています。


この冷泉こそ白眉。最初は冷たいが我慢して浸かっていると、だんだん温かく感じるようになってくる。それはそうでしょう。その頃には体中に気泡がビッシリ張り付いているのだから…


しかも、もっと温かくなりたければ、すぐ横の温泉に浸かればいい。この交互入浴を繰り返していたら時間を忘れてしまいそうになります。


元農協だけあって地元食材を使ったバイキングレストランがあったりします。今回はいただくことができなかったが、次回ここを訪れるときにはぜひともお料理を味わってみたいですね。

・場所:大野竹田バス・桑畑BS
・泉質:マグネシウム・ナトリウム-炭酸水素塩泉 49.3℃
・訪問日:2010年1月25日


丸長旅館@長湯温泉

2019-11-18 21:37:22 | 温泉(大分県)

豊肥本線・豊後竹田駅から路線バスで40~50分ほどのところ。大分県竹田市直入町にある長湯温泉は、炭酸濃度、湧出量、温度から「日本一の炭酸泉」とされ、その効能から不便な立地にもかかわらず多くの宿泊客・湯治客が訪れています。


長湯の温泉街を流れる芹川沿いには、ところどころに落ち着いた雰囲気の宿が点在しています。この丸長旅館は芹川沿い、長湯温泉の象徴といえる「ガニ湯」の対岸にある2階建ての和風旅館です。


客室は6室の小ぢんまりした旅館ながら、長湯では大丸旅館と並ぶ老舗、創業90年余りとのこと。老舗とはいえ、最近になって全面的に建替えられていて、玄関から廊下、客室に至るまで上品な和風の内装になっています。


エントランスの囲炉裏や生け花が飾られた玄関ロビーには、お香が焚かれていて実にいい雰囲気を醸しています。また、ご主人手ずからの料理も実に洗練されています。

ここには大浴場はなく、大・中・小3室の貸し切り専用の内湯があるのみ。収容人数で考えたら必要にして充分。しかも各浴室に思わせぶりな名前がついてないのがいい。


どの浴室も浴槽がひとつと洗い場だけのシンプルなつくり。ここに褐色のお湯がこんこんと掛け流されています。大と中には若干の加温があるみたいで、共同湯にみられるような炭酸の質感はやや希薄になっています。


しかし、金気臭と浴感はここでも強力。小は加温なしの長湯向き。ぬるくても体の温まりやすい炭酸泉なんだから、加温しなくてもいいのでは?


檜の浴槽は析出物でコーティングされていて木の感触はなくなっているが、砥石程度の滑らかさになっていて肌触りが実にいい。これは独特の気持ちよさです。洗い場にも全面的に木のスノコで覆われているが、これも析出物で石化しています。足が滑らないのでいいですね。


長湯の特徴的な泉質が際立っているわけではないが、実に繊細なお料理と、優雅な癒しの時間を過ごすことのできる上品な雰囲気で、長湯温泉の上質のお籠り宿といえます。

・場所:大野竹田バス・長湯温泉BS
・泉質:マグネシウム・ナトリウム・カルシウム-炭酸水素塩泉 41.9度
・訪問日:2010年1月24~26日