バスde温泉

バスで行く温泉旅日記

椿はなの湯@椿温泉

2015-03-07 23:53:13 | 温泉(和歌山県)

関西を代表する大温泉リゾート地、南紀白浜温泉。そこから国道42号線を20分ほど南に進んだところに、小規模の温泉旅館が数軒あるだけで、歓楽街らしきものが一切存在しないひっそりとした温泉が、この椿温泉です。

紀州藩の地誌『紀伊続風土記』(天保10年)には名湯として紹介されているぐらいだから、それなりの歴史を持つとともに、バブル期には巨大なリゾートマンションが次々と建設され、一時はかなり賑わったであろうが、今はその片鱗も見せていません。

おまけに、この温泉街で最も老舗の湯元旅館の椿楼が廃業し、手頃な宿泊料金で自家源泉のアルカリ泉を満喫できた冨貴も閉館。現在は小規模な旅館が4軒と温泉民宿2軒だけの小さな温泉地、実に寂しくなってしましいました。

そんな凋落傾向の温泉地に、2010年、日帰り入浴施設と無料足湯を備えた道の駅「椿はなの湯」が開業しました。今回ようやく訪れることができました。

館内は道の駅にしては小規模、小さい食事処と休憩所があり、並ぶ商品はごく限定的。施設の半分以上が温泉で占められています。

浴場の扉を開けるとプーンと硫黄臭が漂ってくる。この匂いだけでも興奮してきます。浴室はタイル張りの大きな浴槽と、槇の小さな浴槽があるのみで、露天はありません。どちらも椿温泉特有のぬるぬるっとしたアルカリ性・単純硫黄泉が掛け流されていて、大浴槽は加温、小浴槽は源泉そのままの状態で掛け流されています。

この源泉浴槽が秀逸。源泉温度が33℃なので、冬場のなら冷たく感じるはずだが、加温浴槽でしばらく温もった後に入ればそれほど寒くない。湯の花の舞うお湯にしばらく使っていると、僅かに気泡がまとわりついてきます。なんといってもこのぬるぬるの浴感が他では味わえない独特なもので、これは大変貴重です。pH9.9という強アルカリの成せる業なんでしょうね。

湯の花の舞うお湯は、今は無き「富貴」程ではないもの気泡も見られ、舐めてみると甘露水が如く実に甘い。ほぼ体温と同じお湯に浸かっていると、だんだん意識が遠のき、魂が抜けていくかのような浮揚感。まさしく至福のひと時です。