バスde温泉

バスで行く温泉旅日記

孫九郎(温泉)@福地温泉

2019-10-02 07:57:20 | 温泉(岐阜県)

JR・高山駅から濃飛バスで1時間と10分ほどのところ。奥飛騨温泉郷のひとつに数えられる福地温泉は、標高が1000メートルに達する高地にある11軒の旅館・民宿からなる静かな温泉地です。


ここは平安時代には村上天皇が湯治に訪れていたという入湯伝説が残るものの、温泉街自体は昭和に入ってから形成された比較的新しい温泉街。山間の秘湯ながら、高山駅から1時間に1本毎に平湯・新穂高を結ぶ路線バスが通っているので、アクセスは良好です。


しかし福地温泉口のバス停で降車すると辺りには何もなく、山の中置き去りにされた気分で不安になります。アイスバーン状の道をツルツル滑りながらようやく福地温泉を代表する老舗旅館「孫九郎」にたどり着きました。


適度な広さを持つ客室の窓からは白銀の世界が広がっています。取るものも取りあえず、冷えた体を温めるために温泉へ向かいます。


露天湯は青緑の濁り湯で、少し硫黄臭。柔らかいお湯が広い露天に掛け流されています。この露天、東屋や水車小屋が配されるなど雰囲気造りにも気を配られています。


蹲には飲用の温泉が流れていて、マイルドで飲みやすい源泉を味わうこともできます。


露天の家族湯は、ここもやや白濁の濁り湯です。静かにじっくり浸かりたければこちらかな。


露天とは逆に、内湯はパワフルな感があります。色は透明だが、褐色の湯の花のせいでか、茶色く見える。感触はサラッとしているが、浸かっているうちにガンガン沁みこんでくるような気がします。


ここのお湯も飲むことができるが、露天と異なって少し塩気と金気を感じさせる濃厚な風味です。


内湯の家族湯は、雰囲気的にはイケてないが、実はここが最も泉質が優れているんではないかな。家庭用の人工大理石の浴槽ながら、表面に析出物がこびり付いていてザラザラ。浴槽が大きくない分、換水率がいいので、常に新鮮な状態が保たれています。


ここの温泉は湧出温度が高いので、この旅館では内湯も露天も加水せず熱交換で適温にしています。そして、熱交換された廃熱は給湯や暖房に生かされるとのこと。エコですね。


食事は温泉で温められて暖かい大広間でいただきます。ヤマメや飛騨牛が味わえます。

ほかほかの温泉に浸かりながら雪景色を楽しむ…夜は夜で、明かりが雪に反射して幻想的な情景を創りだします。


この滅多にできない経験を慈しんでいたら、意識が遠くなるほどのぼせてきました。

・場所:濃飛バス・福地温泉口BS
・泉質:単純温泉 67度36度混合(露天)、ナトリウム炭酸水素塩泉 81度(内湯)
・訪問日:2011年1月28日


湯の花ふわり湯元館@平湯温泉(奥飛騨温泉郷)

2019-09-28 14:04:25 | 温泉(岐阜県)
JR・高山駅から濃飛バスで1時間ほどのところ。平湯温泉は海抜1,250mの高地にある奥飛騨温泉郷で最大の温泉街です。


宿泊することにした「湯の花ふわり湯元館」は、大きな旅館が建ち並ぶ中心街から少し離れたところ、アカンダナ駐車場へ向かう旧国道に面したところにある旅館です。


旅館に近づくにつれ、硫黄の香りがぷんぷん漂ってくる…旅館の目の前に源泉がありました。匂いの発生源はこれですね。


今回、「山の中の温泉でのんびり~節約プラン」という、廉価版で宿泊することにしたので、部屋はトイレつきではあるが6畳間。やや狭いかな。また、この旅館の立地では、ほぼどの部屋からでも景色は大したことありません。


食事はお食事処の半個室でいただくことになるので、この部屋は寝るだけ。文句ないですね。



大浴場には旅館の規模にしては立派な内湯と露天があって、それぞれ強い硫化水素臭の漂うお湯が贅沢に掛け流されています。湧出は毎分393リットルとのこと。豊富です。


舐めてみると、匂いは強いものの味はない。澄明なお湯の中には少なからず湯の花が漂っています。


この旅館、貸切露天風呂が空いていれば無料では入れるのがいいですね。各露天の中央部の底から、ボコボコ空気を送り出していて、少しジャグジーっぽい。理由を聞けば、お湯を攪拌して温度を均等にするためとのこと。


これだとせっかくの源泉を劣化させてしまうんではないかと少し心配だが…ともあれ、森の中の露天は自然と一体となったような感覚を味わえていいですね。

・場所:濃飛バス・平湯BT
・泉質:単純硫黄温泉 68.2度
・訪問日:2012年9月12日

平湯の湯(平湯民俗館)@平湯温泉(奥飛騨温泉郷)

2019-09-27 22:20:53 | 温泉(岐阜県)

乗鞍の山懐に抱かれた平湯温泉は海抜1,250m。平湯・新平湯・福地・栃尾・新穂高などから形成される奥飛騨温泉郷のなかでいちばんの歴史を持ち大きな旅館街です。


以前は山間の鄙びた温泉地だったのだが、安房トンネルの開通で松本方面からのアクセスが大きく改善、東京方面からの観光客が一気に増加しました。


さらに、上高地や乗鞍のマイカー規制が実施されたことにより、この平湯の駐車場に車を置いて、シャトルバスに乗るという観光パターンが定着し、たったひとつのトンネルの開通で秘湯から山岳観光の大拠点へと大きく変貌しました。


平湯温泉地内には約40もの井戸・源泉があり、全部あわせて毎分13,000リットルという膨大な湯量を誇るとともに、源泉ごとに微妙に異なる泉質を楽しむことのできる、温泉好きにはたまらない温泉地ですね。


この平湯の温泉街から少し離れたところ、平湯神社のすぐ横にある、飛騨地方の旧家を保存した平湯民俗館に併設された温泉を伺ってみました。


このお湯、入浴料は「寸志」…脱衣所と露天風呂ひとつのプリミティブなお風呂で、脱衣所には棚があるだけの実にシンプル。


早速浸かってみると、過度の加水のためやや温くはなっているが、茶褐色で少し金気臭のあるお湯が掛け流されています。舐めてみても無味ではあるが、うっすら硫黄臭が漂います。


お湯の質もさることながら、森林浴と温泉浴が同時に楽しめる極上の雰囲気。自然を慈しむことができます。


このすぐ近くの旅館の源泉は硫黄臭がもっと強いものの金気臭が全くしない。ほんの数十メートルしか離れていないのにこの違い。平湯のお湯の底力を感じますね。

・場所:濃飛バス・平湯BT
・泉質:炭酸水素塩泉・ナトリウム-炭酸水素塩泉、塩化物泉(緩和性低張高温泉)75.2度
・訪問日:2012年9月13日


神の湯@平湯温泉(奥飛騨温泉郷)

2012-09-18 21:52:49 | 温泉(岐阜県)

JR・高山駅から濃飛バスで1時間ほどのところ。奥飛騨温泉郷の中でも最も古く、歴史ある温泉とされている平湯温泉は、今や乗鞍や上高地観光の玄関口として大いに賑わっています。


この温泉街の中で、唯一秘湯の雰囲気を漂わせるのがこの神の湯です。ここは中世の頃、甲州の武田家臣が高山に攻め入ったときに、この辺りの有毒ガスにやられ動けなくなった兵卒たちを、ここの霊泉に浴して元気を取り戻した…とされる平湯のルーツと言っていい温泉です。


平湯のバスターミナルと大きな旅館が建ち並ぶ中心街から、アカンダナ駐車場へ向かう旧国道を遡って、安房トンネルの平湯側の坑口近くまで登り、そこから脇道の山道でかなり上の方にきたところに現れました。車ならあっという間の場所だが、歩きだとけっこうきついな。


受付で入浴料の500円を支払い、そこからさらに50メートルほど遡ったところに男湯があります。女湯はさらに50メートルほど登ったところですね。


簡素な脱衣所で服を脱いで温泉へ。そこは森林のなか、清らかな空気と木漏れ日に包まれた露天風呂です。苔むした岩に囲われたひとつだけだが大きな浴槽には、その一部に屋根が架けられ雨でも大丈夫ですね。で、雪深い真冬はどうするかというと…閉めてます。


早速浸かってみる。お湯は茶褐色で、舐めてみると僅かに硫化水素臭があるものの無臭です。湧出温度が高いので加水しているがそれによって熱からず冷たからずの適温を保っていますね。これは癒されるなぁ…


意外にもリンスインシャンプーとボディーソープが置かれています。これは親切ではあるが、環境的にはどうか…一応天然由来の成分みたいですが…


この温泉、冬季閉鎖の理由は、ここに登ってくるまでの道の所為なんでしょうね。ここだけのために除雪はできないのでしょう。

・場所:濃飛バス・平湯BT
・泉質:ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩泉 75.2度
・訪問日:2012年9月12日


湯元長座@福地温泉

2011-02-04 00:02:40 | 温泉(岐阜県)

標高が1000メートルに達する高地、奥飛騨温泉郷のひとつに数えられる山間の秘湯、福地温泉。ここは平安時代には村上天皇が湯治に訪れていたという入湯伝説が残るものの、温泉街自体は昭和に入ってから形成された、比較的新しい、13軒の宿からなる温泉街です。


ここの観光協会が発行する「もらい湯手形」は、宿泊旅館以外のもう一カ所のお湯をいただくことができるもの。旅館孫九郎に宿泊した今回、せっかくなので、黒川の「新明館」、乳頭の「鶴の湯」と並ぶ、屈指の人気旅館として知られている「湯元長座」のお湯をもらうことにしました。


小ぶりな玄関を入ると長い回廊が続く。その奥に庄屋屋敷を移築した、実に重厚な建物が現れます。中に入ると高い天井、黒光りする柱や梁など、重厚感の中に洗練されたセンスも感じさせます。


内湯は木の質感を活かした造りで、長方形の大きな浴槽が横たわっている。温泉は自家源泉の数本を混合した単純泉。当然ながら掛け流しで溢れたお湯は浴槽の縁から流れ去っていくが、このお湯は回収されて館内の床暖房に活かされているようです。


澄明なお湯は匂いも希薄で無味無臭。単純泉のマイルドな浴感です。


露天は岩露天となっていて庭園風。温まった体に北アルプスからの颪が気持ちいい。ここでは泉質より環境を愛でるのが吉かな。正直、お湯に特徴がないので、温泉だけではこの旅館の良さは伝わってこないのが正直なところ。


恐らく料理やサービスなどの総合力がこの旅館の人気を支えているのでしょう。それでも「もらい湯」の儲けにならん客に対するスタッフの接客に、この旅館の質の高さを垣間見たような気がします。

・場所:濃飛バス・福地温泉口BS
・泉質:単純泉、塩化ナトリウム-炭酸水素塩泉 46℃~76.1℃
・訪問日:2011年1月28日


幸乃湯@下呂温泉

2010-01-23 16:16:53 | 温泉(岐阜県)

下呂温泉はおよそ千年も前からその存在が知られていた歴史のある温泉で、有馬温泉・草津温泉とともに、日本三名泉に数えられています。


JR高山本線・下呂駅で途中下車し、駅の近くにある温泉銭湯を訪ねてみました。


ここは下呂の旅館街から飛騨川を挟んで反対側に位置し、ここも本業は旅館のようだが、地元の人たちが利用する小さめのスーパー銭湯といった風情です。そのため、館内にはサウナや打たせ湯も備えられています。


内部は意外に広いが、温泉が満たされているのは小さい一つの浴槽だけ。ここには澄明な、少しヌルヌル感のあるお湯が浴槽に溢れています。冷えた体にはピリピリと染みてくるが、浴感は素直でインパクトに欠けるなぁ…


浴槽から溢れ出たお湯は排水溝に回収され、循環ろ過されるようです。しかし湯口にはコップが置いてあり、ここには新湯が流れ出ているみたいです。恐る恐る飲んでみたが、クセのない、飲みやすいお湯でした。


小さいながら露天もあるようだが、冬場は閉鎖していて、今回は恩恵に与ることができなかったのが残念です。


・場所:JR高山本線・下呂駅
・泉質:アルカリ性単純温泉泉 42度~50度
・訪問日:2008年2月25日


アルプス街道平湯・スカイガーデン@平湯温泉

2009-03-07 23:17:39 | 温泉(岐阜県)

濃飛バスは岐阜県高山市を拠点とし、その名前の通り「美濃」と「飛騨」に展開するバス会社で、正式社名は濃飛乗合自動車とする名鉄のグループ企業です。


JR・高山駅から濃飛バスで1時間ほどのところ、平湯温泉にある平湯バスターミナルは、「アルプス街道平湯」として、1階に土産物店とレストラン、2階に団体客用の大レストラン、3階に内湯と露天風呂がある複合施設。そしてここを運営するのも濃飛バスです。


かなり広い浴室には大きな浴槽が合って、源泉そのままの褐色のお湯が掛け流されています。お湯の質はサラサラしていて、入浴感は薄いが、上質なお湯であることがわかります。また、内湯の一部がジャグジーになっています。


浴室には大きなガラス窓があって、北アルプスの雄大な景色を見ることができる…これは貴重です。


また、バルコニーには露天風呂が設えられていて、開放的な気分で温泉に浸かることができます。ただ、無粋な目隠しのすりガラスによって、露天風呂に浸かったままでは北アルプスは望めません。せめて男湯だけでも目隠しを外せばいいのに。


ややスーパー銭湯的ではあるが、スキー客がここで汗を流して温まって帰るには丁度いいでしょう。


この施設の温泉名は「バスターミナルの湯」とのこと。そのまんまやがな…でもまあ、路線バスで温泉を廻ると「バスde温泉」テーマにはぴったりですね。


・場所:濃飛バス・平湯温泉BS
・泉質:炭酸水素塩泉 50度
・訪問日:2008年2月25日


荒神の湯@栃尾温泉

2009-02-01 22:13:42 | 温泉(岐阜県)

高山本線・高山駅から穂高への濃飛バスで80分ほど、奥飛騨温泉郷のひとつに数えられる栃尾温泉は、小規模な旅館・民宿からなる静かな、そして庶民的な温泉地です。


野趣あふれる露天湯狙いで栃尾温泉バス停で独り降り立ちました。しかし降りたものの周りに案内地図も何もない。地元の方に温泉を場所を聞くことにしました。


言われたとおりに来てみると温泉らしき建物があったが、たっぷり雪に覆われています。一人だけある通った形跡があるので辿ってみるが、かなり時間がたっているようで、新雪が覆いかぶさっています。新雪を掻き分け掻き分け進んで建物に近づきました。


お湯に入るには定まった料金はないが、200円程度の寸志をポストに放り込むようになっています。100円玉の持ち合わせがなかったので500円玉を…あのー、お釣りほしいんですが…


無人のほったらかしの温泉ではあるが、脱衣所も整備され、ちゃんと男女別になっています。最近はマナーの良くない客が多くなったせいで、いろいろ注意書き掲示されているが、今日はこの大雪、他のお客は皆無です。


実に開放的な露天風呂に手を浸けると少し温く感じたが、まあいいか…極寒なので大急ぎで服を脱ぎ、かけ湯をすると温いというより水に近い。急いでお湯に浸かるが、これはかなり温いぞ!


浸かってから気づきました。手を浸けたのは上面だけで、しかも手が冷えていたせいで適温に感じたが、本当の温度は低温だったのですね。


とき既に遅し。 新湯は女湯に投入されるようで、湧出口の様子は判らんが、源泉温度が高いはずなのにこの温さ、大雪で薄まるとともに温度が下がったかのでしょう。浸かっていてもだんだん寒くなってくるばかり。意を決して風呂から飛び出て大急ぎで身体を拭き、服を着こみました。なのでお湯の印象は一切残っていません。


この後、冷え切った体でバスを待つことになるのだが、あまりの寒さに、もう死ぬかと…よいこのみんなは決してマネしないでね!

・場所:濃飛バス・栃尾温泉BS
・泉質:アルカリ性単純温泉 72度
・訪問日:2008年2月24日