南海本線・泉佐野駅またはJR阪和線・日根野駅からバスで約20分、犬鳴山温泉は、泉佐野市の山間部、樫井川の上流の川沿いに数軒の旅館が並ぶ大阪府内で唯一の温泉郷です。温泉が湧出したのは戦後のことだが、この山域は1300年あまり前に修験道場として開かれた由緒あるエリアです。
犬鳴山の地名の由来はその昔、この山に鹿を追ってきた猟師が大鹿に遭遇。弓を引き絞ったその時、連れてきた猟犬がはげしく吠え立てて大鹿を取り逃がしてしまいました。せっかくの大獲物に逃げられた猟師は、怒りのあまりその犬の首をはねてしまったのです。そしたら、その犬の首がそのまま飛び跳ねて、草陰の大蛇の首に噛みつき、大蛇を退治したのです。愛犬に救われた猟師は、犬を殺したことを悔いて修験者になり、自分の畑地に「不動堂」を立てて、愛犬を供養します。爾来ここを「犬鳴山」と呼ばれるようになったとのことです。しかし、なにもそこまで怒らんでも…っとおもいますが。この猟師、カルシウムが不足してたのでしょうか。
この犬鳴山温泉センターは旅館街の少し奥にある温泉施設です。その名称から昔の「ヘルスセンター」みたいな施設を想像しがちだが、そうではなく、民宿に毛が生えたようなところです。
温泉は別棟となっており、ゴムぞうりに履き替えて屋外を少し歩く。温泉棟は年季が入って萎え、少々錆が回った脱衣棚にまた少し萎える。
ところが浴室の扉を開けると、光線が差し込み、神々しいほどの光景が…光の奥にはエンジェルが水壷を持って空を飛び交い、薄衣をまとったニンフが舞い踊っているに違いない。引き込まれるように入ってみたら、お湯が炭酸成分で少し白濁しているのと、炭酸がミストとなって浴室に広がっている。これらによってこの美しさを作り出してるのでしょう。泉質は…普通の単純泉で循環ろ過のお湯でした。
温泉センターには大広間があり、ここで食事もできるようです。名物らしい釜飯定食をいただくことにしました。釜飯が炊けるまでは定食のおかずをアテに湯上がりのビールをキューっと。
釜飯が炊けた頃合を見計らってオバチャンが蓋を取ります。炊き上がった飯はフカフカで旨い。
食べ終わって勘定をお願いすると、件のオバチャンに「おおきに。また来てなー(ニコリ)」。こういう大阪的な接客…大好きです!
・場所:和歌山バス那賀、南海ウイングバス・犬鳴山BS
・泉質:弱アルカリ性単純泉 26度
・訪問日:2006年11月13日