バスde温泉

バスで行く温泉旅日記

「ここに砂場ありき」@西大橋

2018-02-26 13:59:09 | まち歩き

市営地下鉄長堀鶴見緑地線・西大橋駅のすぐ近く、なんの変哲もない公園の片隅に、「ここに砂場ありき」と記された碑が拘留されています。

ここでいう「砂場」とは決して子供が遊ぶ砂場ではありません。ここは飲食業界、特に麺類にはたいへん縁がある場所なのです。
 
豊臣秀吉が大阪城を築城する際に、ここを砂の集積場としたため、多くの人足たちがここに集まりました。彼らの腹を満たすため、当時、ここに蕎麦屋が建ち並んだとのこと。これが本邦の飲食業の嚆矢と言われています。
 
 写真出典: mptakahyさん
  
江戸蕎麦の三大系統は「更科」「藪」「砂場」。現在、その代表店が全て東京で盛業されているが、そのうち「砂場」の屋号を持つお店のルーツは、大阪のまさしくこの場所なのです。虎ノ門の「砂場」の暖簾には「大坂屋」とも染め抜かれています。
 
蕎麦は東京、饂飩は大阪というステレオタイプな認識があるが、蕎麦屋の祖先は大阪だったのです。それも当然、当時の江戸は片田舎に過ぎなかったのですから。
 
現在の西大橋周辺には、オフィスビルやマンションが建ち並び、カフェやレストランも点在しているが、残念ながら蕎麦屋は見当たりません。
折角の由緒なのだから、誰かここで蕎麦屋を開いてみては如何でしょう?

十津川荘@湯泉地温泉(十津川温泉郷)

2018-02-20 22:22:48 | 温泉(奈良県)

奈良交通・十津川村役場BSから国道168号の旧道を十津川に沿って上流に向かうと、川沿いの崖っぷちに身を寄せ合うように旅館や民家が十数軒、ここが十津川温泉郷の中のひとつ、湯泉地温泉です。


ここは十津川温泉郷では最も歴史のある湯泉地温泉のなかで、大正年間から代々宿屋を営んでいる老舗です。1階は帳場と食堂、客室は2階となっていて、古びてはいるものの、部屋には花が活けられ、清掃も行き届いています。


余談だが、二・二六事件のフィクサーとされる荒木貞夫が戦後、十津川郷士に関する講演のため十津川村を訪れた際、宿泊先のこの旅館で倒れて翌日この世を去ったとのこと。翌年、 十津川村は湯泉地温泉の入口付近に、佐藤栄作の揮毫による「荒木貞夫終焉之地碑」を建立しています。


温泉は1階から階段を降りた階下にあり、男女それぞれの内湯と貸切の家族風呂および露天風呂があるほか、玄関を出て道を挟んだ向かいに、かなり広い露天風呂「十六夜の湯」が設置されています。


内湯では湯泉地温泉特有の硫黄臭が満たされ、澄明で僅かに湯の花が漂うお湯が掛け流されています。泉質を愛でるには内湯の方がいい。まとわりつくような上質な肌触りが味わえます。


しかしここの白眉は貸切露天風呂でしょう。十津川の清流が眼前にできる露天ぶろは、さほど広くはないが、日本庭園のように植栽が整えられ、鳥の声、十津川の清流の音に包まれて湯に浸かる至極。ま さに心の解放が得られます。


この旅館では山峡らしい素朴な料理がいただけます。春から秋にかけては、地元の山菜、きのこ、川魚をあしらった山里料理となり、冬は十津川で放し飼いをしているイノシシを使用したぼたん鍋が楽しめます。
 
料理の詳細は食べログで。
 

上質のお湯と上質のお料理、冬の十津川は魅力に溢れています。

・場所:奈良交通・十津川村役場BS
・泉質:単純硫黄泉 55.6℃
・訪問日:2018年2月16日