山陽本線・福山駅からトモテツバスで約30分、終点の鞆港BSでバスを降りると、そのあたりは雁木のある古い港と江戸時代の面影を残す建物が点在する鞆の浦です。
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鞆の浦は、沿岸航海が主流の時代には、潮流が変わるこの鞆の浦が瀬戸内海を横断する舟の拠点で、鞆港が潮待ちの港として賑わいました。
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そのため、ここには古い町並みが残り、1992年には都市景観100選に、2007年には美しい日本の歴史的風土100選に、2017年には「福山市鞆町伝統的建造物群保存地区」の名称で重要伝統的建造物群保存地区として選定されました。
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宮崎駿がここに滞在して「崖の上のポニョ」の着想を得たというのは有名な話だが、宮城道雄が光を失う前、目に焼き付いていた海の情景がこの鞆の浦で、そのイメージから生まれたのが箏曲『春の海』だったのはあまり知られていません。
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今回、この鞆の浦の、仙人も酔ってしまうほど美しいことから名づけられた仙酔島や、島内に弁天堂が建てられている弁天島を真正面に望む旅館に宿泊することにしました。
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トモテツバスの終着点のあるバス通りから狭い路地に入り込んだところ、文人墨客に愛された「遠音近音」の前身、「宿屋籠藤」の木造本瓦葦べんがら塗りの建築物を再生したエントランスが現れます。
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エントランスからは庭園を横切る渡り廊下を抜け、本館に入ります。本館にはレセプションとともに海の見えるロビーラウンジがあり、そこでお茶とお菓子をいただきながらチェックインを済ませます。
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全室が部屋付き温泉露天風呂を備えるこのお宿、その中でも最上級のアッパースイートルームが今夜のお部屋です。
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シーサイドデッキを含めて80㎡を越す広さを持つこの客室には、リビング、ベッドルーム、そしてウッドデッキには仙酔島が一望の露天風呂が備えられています。
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リビングには大画面のTVとロッキングチェア、重たそうな大テーブルが据えられ、天井からは多数の照明器具がぶら下がっています。化粧室にはフェラガモ社製のアメニティが用意され、質感を高めています。
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部屋付き露天風呂にはスライド式の鎧戸があり、これを開けると鞆の海と島々、行き交う船を眺めることができます。浴槽には澄明のお湯が満たされ、自動で適温に保たれています。
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これとは別に、最上階にふたつの貸切専用の大浴場があります。ここも仙酔島を見渡せる眺望を持ち、のびのびと足を伸ばして入浴を楽しむことができます。ふたつの浴場を男女別としていないところが贅沢ですね。
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泉質は放射能を含む単純線で、味も匂いもない淡白なお湯。しっとりとした浴感があり肌にも優しそうです。冷鉱線なので加温は必須。なので、放射能泉としての効能は期待できません。
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こちらの料理は独自な発想でモダンな日本料理の姿を見せてくれます。
この旅館ではユニークなサービスがあります。各客室に手挽きのコーヒーミルと豆が置いてあり、挽きたてのコーヒーを味わうことができるのです。
コーヒーは深いコクが特徴の「潮待ちの港ブレンド」なるオリジナルブレンドで、また、抽出した残りかすを部屋に置いておくと芳香が漂うだけでなく、消臭効果を得られるという副産物もあります。
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朝、東の空が赤みを帯びてきたころに起きだし、海の景色を眺めることにしました。さざ波を打つ海面と島並みに徐々に色彩が加わってくるとともに、時折、漁に出る漁船がエンジン音を響かせる…
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モーニングコーヒーを飲みながら、またはお湯に浸かりながらこの長閑な情景を眺めることができるのは、最高の贅沢かもしれません。