・泉質:マグネシウム・ナトリウム・カルシウム-炭酸水素塩泉 37.8℃
・訪問日:2010年1月25日
豊肥本線・豊後竹田駅から路線バスで40~50分ほどのところ。長湯温泉は街の中央に流れる芹川に沿って旅館や共同場が点在するとともに、ところどころに飲泉所が整備されている閑静な温泉街です。
この「万象の湯」は温泉の中心部より上流の位置、豊かな田園地帯にある入浴施設です。ここは以前は農協の米穀倉庫だったのだが、それを改造して造られた、ここでは比較的新しい施設のようです。
広い浴室の中央に大きな浴槽が横たわっていて、その中に褐色のお湯が掛け流されています。ここのお湯は、長湯のほかのお湯より温度が高く、色も臭いも味も、それぞれが濃いように感じる。
この浴槽の端っこに一人が入っていっぱいの小さな浴槽があり、ここには冷泉が底面から湧いています。お湯(お水?)はメインのお湯とは対照的に澄明で、金気臭とともに強力なシュワシュワ感。褐色の湯の華がひらひらと大量に舞っています。
この冷泉こそ白眉。最初は冷たいが我慢して浸かっていると、だんだん温かく感じるようになってくる。それはそうでしょう。その頃には体中に気泡がビッシリ張り付いているのだから…
しかも、もっと温かくなりたければ、すぐ横の温泉に浸かればいい。この交互入浴を繰り返していたら時間を忘れてしまいそうになります。
元農協だけあって地元食材を使ったバイキングレストランがあったりします。今回はいただくことができなかったが、次回ここを訪れるときにはぜひともお料理を味わってみたいですね。
・場所:大野竹田バス・桑畑BS
・泉質:マグネシウム・ナトリウム-炭酸水素塩泉 49.3℃
・訪問日:2010年1月25日
豊肥本線・豊後竹田駅から路線バスで40~50分ほどのところ。大分県竹田市直入町にある長湯温泉は、炭酸濃度、湧出量、温度から「日本一の炭酸泉」とされ、その効能から不便な立地にもかかわらず多くの宿泊客・湯治客が訪れています。
長湯の温泉街を流れる芹川沿いには、ところどころに落ち着いた雰囲気の宿が点在しています。この丸長旅館は芹川沿い、長湯温泉の象徴といえる「ガニ湯」の対岸にある2階建ての和風旅館です。
客室は6室の小ぢんまりした旅館ながら、長湯では大丸旅館と並ぶ老舗、創業90年余りとのこと。老舗とはいえ、最近になって全面的に建替えられていて、玄関から廊下、客室に至るまで上品な和風の内装になっています。
エントランスの囲炉裏や生け花が飾られた玄関ロビーには、お香が焚かれていて実にいい雰囲気を醸しています。また、ご主人手ずからの料理も実に洗練されています。
ここには大浴場はなく、大・中・小3室の貸し切り専用の内湯があるのみ。収容人数で考えたら必要にして充分。しかも各浴室に思わせぶりな名前がついてないのがいい。
どの浴室も浴槽がひとつと洗い場だけのシンプルなつくり。ここに褐色のお湯がこんこんと掛け流されています。大と中には若干の加温があるみたいで、共同湯にみられるような炭酸の質感はやや希薄になっています。
しかし、金気臭と浴感はここでも強力。小は加温なしの長湯向き。ぬるくても体の温まりやすい炭酸泉なんだから、加温しなくてもいいのでは?
檜の浴槽は析出物でコーティングされていて木の感触はなくなっているが、砥石程度の滑らかさになっていて肌触りが実にいい。これは独特の気持ちよさです。洗い場にも全面的に木のスノコで覆われているが、これも析出物で石化しています。足が滑らないのでいいですね。
長湯の特徴的な泉質が際立っているわけではないが、実に繊細なお料理と、優雅な癒しの時間を過ごすことのできる上品な雰囲気で、長湯温泉の上質のお籠り宿といえます。
・場所:大野竹田バス・長湯温泉BS
・泉質:マグネシウム・ナトリウム・カルシウム-炭酸水素塩泉 41.9度
・訪問日:2010年1月24~26日
豊肥本線・豊後竹田駅から路線バスで40~50分ほどのところ。長湯温泉は奈良時代初期の『豊後国風土記』に記述が残り、江戸時代には岡藩主中川家の御茶屋が建設されるなど、歴史ある温泉です。
街の中央に流れる芹川に沿って旅館や共同場が点在するとともに、ところどころに飲泉所が整備されています。特に河原にある露天風呂の「ガニ湯」の周辺には、情緒ある和風旅館が建ち並ぶが、そこには歓楽的要素は一切ありません。
長湯温泉は何と言ってもその泉質に特徴があります。そこここに湧きだす源泉の炭酸濃度、湧出量、温度が際立っていることから「日本一の炭酸泉」と言われています。
この「長湯温泉療養文化館 御前湯」は、長湯の温泉街の中心から芹川沿いに少し下流に下ったところにある、竹田市営の入浴施設です。
ドイツ・バーデンバーデン州バード・クロツィンゲンと友好都市となるなど、ドイツ流の温泉保養地を目指そうとしている長湯を象徴し、この建物もドイツ風を意識したモダンな建物になっています。
玄関にある飲泉口をはじめ、必ずお湯の出口に飲泉用のコップが置いてあり、飲泉が主流の欧米の温泉文化を一部取り入れようとしています。
館内ももちろんドイツを意識した造りで、家族湯や広い休憩所などかなり充実しているが、畳敷きの休憩室など、日本の共同湯の雰囲気も残っており、意外に違和感はありません。
この日の男湯は1F。曲線を生かしたデザインの浴槽に褐色、というかオリーブ色のお湯が掛け流されています。サウナの近くには冷泉があって、こちらももちろん掛け流し。
舐めてみたらここでも強い金気臭。舐めてみたら金気臭とともに若干のエグ味とシュワ感があります。さすがの炭酸泉、それほど熱くないのに身体がほかほか温まってきます。
露天は芹川に沿ったバルコニーのところにあって、眺望も抜群ながら、お湯の質も文句ない。朝の光が降り注ぐ浴槽にじっくり身を沈めていると、時間が止まったような気がしてきます。
・場所:大野竹田バス・長湯温泉BS
・泉質1:マグネシウム・ナトリウム-炭酸水素塩泉 45.8℃
・泉質2:マグネシウム・ナトリウム・カルシウム-炭酸水素塩泉 46.8℃
・泉質3:マグネシウム・ナトリウム-炭酸水素塩泉 29.7℃
・訪問日:2010年1月26日
JR久大本線・由布院駅から温泉街の方向に延びる「由布見通り」や「湯の坪街道」には、しゃれた雑貨屋やレストランが並び、周辺には各種の美術館が点在するなど、由布院は今や軽井沢と並ぶほどの人気の観光地です。
「湯の坪街道」の先にある金鱗湖は、周囲約400メートル、水深は約2メートルと、池と見紛う程のあまりにも小さいが湖。湖底から温泉と清水が湧き出す自然の産物で、温泉が成す透明な湖面が細かく波打ち、まさしく金鱗のような美しさを湛えています。
この金鱗湖周辺にもさまざまな観光施設が立地するようになってきているが、メジャーな観光地にもかかわらず、昔ながらの共同浴場が存在しています。
金鱗湖の畔に佇む茅葺屋根の小屋がこの「下ん湯」です。ここは地元の人たちが共同管理する浴場のひとつで、地元の人たちはすぐ近くの専用浴場を使い、ここは外来の客に一般開放しているもの。料金は200円を賽銭箱に入れる方式。
引き戸を開けて中に入ると、左右に衣服を置く棚と、その間に三畳ぐらいの広さの内湯。そしてその奥の湖に面したところに半露天風呂があります。至ってシンプルで、もちろん混浴です。
掛け流しのお湯は臭いもなく、澄明で肌触りもツルツルしている…クリアーな感じですね。温度ややや高めだが適温の域で、口に含むと僅かに苦みが感じられる。単純温泉なんだが芒硝泉のような感じがするのは錯覚かな?
以前にここを訪れた時は、確か露天から金鱗湖が見渡せる絶景があったはずだが、今は目の前の生垣が邪魔して眺望が得られません。生垣が成長しただけなのかもしれないが…
この温泉では、観光客が次々に見物に訪れておちおち浸かってられないが、以前に訪れた頃には僅かに羞恥心が残っていて落ち着かなかったけど、今や見るなら見ろ!っといった心境。人間、成長するもんですね。
・場所:久大本線・由布院駅
・泉質:単純温泉 63.1℃
・訪問日:2013年9月25日
JR九州の観光特急「ゆふいんの森」で久留米からは1時間足らず、大分からは1時間半のところ。大分県日田市、久大本線・天ケ瀬駅からすぐのところにある天ケ瀬温泉は、玖珠川沿いを中心に約20軒の旅館・民宿が営業しています。
かつては河川敷を掘ればどこでも温泉が湧いたというこの温泉、別府温泉・湯布院温泉と並ぶ大分の三大温泉のひとつとされるものの、別府・湯布院と比しては、観光客も少なく、湯治場の雰囲気が漂う実に静かで落ち着いた温泉です。
ここの温泉街から少し離れたところ、合楽川が玖珠川に交わる手前で、豪快に水しぶきを上げる桜滝のすぐ上の川面。ここに静かに構えている一軒宿がこの山荘天水です。
ここは黒川温泉にある黒川荘の姉妹館で、黒川荘と同様に、自然な形に造営された植栽をはじめとする庭園の空間構成が見事です。
黒光りする柱や梁が特徴的な館内には客室が19室。和モダンの広々とした造りになっています。夕食は部屋でいただくが、朝食はバーラウンジに用意されます。
この旅館の温泉は、宿泊者専用の内湯・露天湯が男女それぞれ1か所、立ち寄り入浴の可能な露天湯が男女それぞれ1ヶ所、それに5種類の貸切湯があります。
宿泊者専用の内湯は男湯が「竹さんすいの湯」、女湯は「ひびきの湯」と名づけられ、それぞれ少し離れた場所に設えられているが、どちらも合楽川の渓流に面して実にいい雰囲気になっています。
この内湯の脇に渓流沿いの露天湯があって、ここはせせらぎのミストを浴びながらゆったりと湯あみを楽しむことができます。
立ち寄り入浴のできる露天湯の名称は「滝観庵」。ここは文字通り桜滝を観ることができるという滝見湯です。ただ、お湯に浸かりながら眺めるというわけではなく、露天湯の横の展望所から見れるという程度。やや誇大表示かな。
5種類の貸切湯のうち、「きり湯」と「ひのき湯」はやや大きく、「やま湯」「かわ湯」は小ぶり。「かま湯」には大きな釜が設えられ、これがジャグジーにもなっています。
それぞれ渓流のすぐ傍という絶好のロケーション。せせらぎを聞きながらゆっくり温泉を楽しむことができますね。ただ、かま湯のジャグジーは強力すぎて、とても落ち着いて浸かれるもんではありません。
それぞれもちろん掛け流しのお湯ではあるが、泉質は実にマイルドな単純泉。澄明で無味無臭、肌触りがなめらかでシルクに包まれてるかのような優しい風合いです。
ここは絶好のロケーションを味わいながら、温泉とともに空気感を楽しむところ。清流と木立から浴びせられる「気」とともに、上質のリラックスを得られる温泉といえますね。
・場所:JR久大本線・天ヶ瀬駅
・泉質:単純硫黄泉 81.6℃
・訪問日:2011年9月25日