木造で像高70センチ。片膝を立て、右手に衣を握った奪衣婆の像で、頭から肩
にかけて頭巾状に綿を被っているため「綿のおばば」とも呼ばれています。奪衣婆
は閻魔大王に仕え、三途の川を渡る亡者から衣服を剥ぎとり、罪の軽重を計ったと
されます。
しかし、この木像は咳止めに霊験があるとして、幕末の嘉永2年(1849)頃た
いへん流行り、江戸中から参詣人を集め、錦絵の題材にもなっています。当時、綿
は咳止めのお礼参りに奉納したと伝えられます。
像底のはめ込み板には、元禄十四年と墨書されており、元禄年間から正受院に安
置されていたことが判ります。この像は新宿区指定有形民族文化財になっていま
す。(新宿区教育委員会)