迷宮映画館

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カルメン

2004年06月21日 | か行 外国映画
フランス人の作家、プロスペロはスペインを旅する間にお尋ね者のホセと、絶世の美女・ジプシーのカルメンに会う。貴重な時計をカルメンに盗られてしまったが、自分に下心も少々あったので、見ぬふりをしていた。その後、捕まった盗賊がプロスペロの時計を所持していたことから、ホセが捕まったことを知る。次に逢ったときに自分のことを話すと言ったホセ。葉巻を持って逢いに行ったプロスペロに、自分とカルメンのことを話し出す。

私たちがよく知る歌劇「カルメン」とは違い、プロスペロが書いた原作「カルメン」に忠実な映画になっている。熱情の女・カルメン。幼いときから苦労を強いられ、自らの足で生きなければならなかった女。彼女にあったものは美貌となればおのずと生き方は決まってきそうだが、その中でもいやなものはいやと主張する強さが男にとっては憎たらしいんだろうな。そしてたまらなくいとおしいのかもしれない。その彼女の虜になってしまったのが、無骨男のホセ。典型的な【男】。

世紀の【ファム・ファタール】と究極の普通【男】の愛の物語がどうなるかは火を見るより明らかだ。強く自分の足で生きようとした女は迫害される。今でさえそうだ。自分の思い通りにならない女に業を煮やす男。彼が救いを求めた聖マリアは、あたたかく見守ってくれる慈母なのに、どうして自分が愛を捧げたのはこの女なんだろうという究極のジレンマが見える。ホセの心の内が痛いほどに描かれていて、カルメンというよりは「ホセ」とも言えるような物語になっている。ホセの深い表情に比べると、カルメンに若干深みが感じられなかったのもそう。

『カルメン』

原題「Carmen.」 
監督・脚本 ビセンテ・アランダ 
原作 プロスペル・メリメ「カルメン」 
出演 パス・ヴェガ レオナルド・スバラグリア 2003年 スペイン=英=伊作品


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