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キング・アーサー

2004年07月18日 | か行 外国映画
伝説のアーサー王、中世騎士の話として伝えられているが、実際はそれより1000年位前の、ローマ帝国支配の時代に、ブリテンに実在した王のことらしい。それにいろいろな肉付けがされて、私たちのよく知る『アーサー王と円卓の騎士』の言い伝えとなった。映画はその史実の部分をクローズアップして、シリアス部分を強調したもの・・・らしい。

5世紀のブリテンは、島に住んでいた【ウォード】族が、【ローマ帝国】の支配に苦しめられていたが、時代の趨勢に勝てず、帝国は島からの撤退を決意した。帝国は、アーサー王率いる騎士団に、最後の任務を与える。ブリテンを二つに分けていた壁の向うに取り残された一家を助けなければならない。そこに、侵略を狙っていた【サクソン人】の足音がひたひたと忍び寄る。

一家を助けた騎士には、念願の自由が与えられたが、【サクソン人】の攻撃を受けて風前の灯火の【ウォード】を助けるために、アーサーは一緒に戦うことを決意。自由を得た『円卓の騎士』達はどうする。

ブラッカイマーが作る歴史超スペクタクルロマン・・・。あちゃー、もうこれだけでやばいです。どんなトンでも映画になることやら。でもな、監督は「トレーニング・ディ」のフークワだからな。ちょっと期待するかな。いや、その後、とんでもの「ティアーズ・オブ・ザ・サン」、撮っちゃったからな。やっぱ勘違い映画かな・・とまるでとんちんかんの期待を持って見てまいりました。私の期待を、もしかしたら、いい方に裏切ってくれるかな、というかすかな望みを持って・・・。私の予感は、見事に当たってしまいました。大義も見えずに、どこかの遠い国で戦う軍隊のように、戦うアーサーたち。これがもっと違う時期に作られたのなら、違う見方もできますが、「ティアーズ・オブ・ザ・サン」に続いてですからね。こりゃ、参った参ったです、はい。

無敵の円卓の騎士たちは、戦いたくて戦っているのではない。やむを得ず戦いの場に組み込まれ、人質をとられたように、逃れることはできない。しかし、そこには信義に足る、ついていくに足る指揮官がいた(だれだろう?)。だから、私たちは戦うんだ、というとってもわかりやすい図式なのですが、どうしても映画にはイラクにいるアメリカ軍がちらちらとみえてしようがない。なんとか、戦いの正当性を訴えたいのかもしれないけど、ならば、ヨーロッパの最大の伝説アーサーをわざわざ登場させちゃ、アーサーに申し訳ないでしょう。

映画は『七人の侍』と『グラディエーター』と『武士 MUSA』と『スパルタクス』と『フィフス・エレメント』と、もっといろいろな映画を混ぜたみたいな作り。アントワン・フークワ、よくわからない人だ。決定的なのが主人公。クライヴ・オーエンですからね。イギリスの地味な映画にこそ似合う彼なのに・・。濃いけど地味なクライブ・オーエンに、アメリカ系カリスマたっぷりのアーサーをやらせるということに根本的な掛け違えが・・。円卓の騎士はなかなか魅力たっぷりなのですが。そっか、騎士たちを際立たせるための配役だったのかとも思ってしまいます。「しあわせな孤独」の浮気医者、マッツ・ミケルセン、渋い、渋すぎ。でも、『七人に侍』のあの人!と言い切ることができちゃう。

ゲルマン系のステランとティル・シュヴァイガー、北欧系のサクソン人役にぴったりです。息子役のティル・シュヴァイガー、親父の迫力に負けてたぞ。まあ、この映画、戦いの場面の迫力を堪能していただくということで、勘弁して。

『キング・アーサー』

原題「King Arthur」 
監督 アントワン・フークワ 
製作 ジェリー・ブラッカイマー 
出演 クライヴ・オーウェン キーラ・ナイトレイ ヨアン・グリフィス マッツ・ミケルセン ティル・シュヴァイガー ステラン・スカルスゲルト2004年 アメリカ作品


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4 コメント

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ナニゲに (miyu)
2009-11-11 21:32:30
この映画を観ていて、sakurai先生はどう観たのかしら?
と気にはなっていたのですが、
ん~そうですかぁ~やっぱりそうでしたかぁ。
まぁエンターテインメントだけど、そこに徹しきれてないところが
かえってイマイチって感じだったのでしょうか?
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>miyuさま (sakurai)
2009-11-12 21:16:56
また、いちゃもんつけながら見てたんじゃないか!!なんて思ったんでしょう。
あはは、お察しの通りです!
うーーん、この監督の微妙な立ち位置が、いまいちよくわからんです。
これからも要チェックですな、きっと。
たぶん、エンターテイメント性の強い作品を作ろうと思ったんじゃないと思います。
妙に、自分のこだわりがある人のように感じますわ。
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こんばんは! (なな)
2010-07-11 01:39:21
>濃いけど地味なクライブ・オーエンに、
>アメリカ系カリスマたっぷりのアーサーをやらせるということに根本的な掛け違えが・・。
あはは!やっぱりそうですよね~
私はクライヴってどうしても役所広司に見えちゃうんですよ。
だからサラリーマンに見えてしまって
あの円卓の騎士たちの中では一番オーラがなかったような・・・。
彼らがついていきたくなるようなカリスマ性は感じなかったなぁ。
アーサー以外のキャスティングは素晴らしかったんですけどね。
マッツはほんと高倉健のように渋かったわ♥
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>ななさま (sakurai)
2010-07-11 17:47:03
まだまだ地味な役しか振られてなかったころに、こういうどんと大きい役で、違和感を感じたのを覚えてます。
あはは、役所さんっすか。
うん、似てるかも。サラリーマンにしちゃ、愛想なさすぎかもしれないですね。
一言で言うと、むっつりスケベ・・・かな。わーー、ファンの方、ごめんなさいって、いいながらクライヴさんのファンの人って、あったことないわ。
公開された頃って、時期が時期で、戦争もんはみなどっか生臭さを感じる作りになってたと思います。
特にこの監督は、二本続いたもんで、一層そんな感じがしたかも。
今見ると、また違ったものになりそうですが、映画って、その作った時期とか背景も結構な要素になってますよね。
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