職業紹介所で働くシングルマザーのアンジー。地に足がついた感じはしない。
いわゆるセクハラとパワハラで、仕事を辞めさせられるが、ここで頑張ろうとしなかったところで、違和感を感じた。辞めさせられるんなら、最低何日前とか、映画の中でも言ってたように、訴えることもできる。
でも、アンジーはクビを受け入れ、自分で紹介所を立ち上げてしまう。
ここで、マイナスポイント二つ目。最初から非合法であることが前提だ。儲けたら税金をいくらでも払うから、と言ってどんどんと先に進んでいく。
儲けたあとも税金を払う気配はとんと見えない。マイナスポイント3つ目。
移民で立場は弱いとは言え、崖っぷちに立った男たちを相手に、右に左にさばいて、仕事をあっせんして行く。この辺の度胸と気風の良さは、プラスポイント。
アンジーを強く行動させた根っこは母としての気持ちだが、それは何より大きい。その大きさが、もっとより大きなものを求めようとしてしまう・・・・。
ケン・ローチが作る三つのパターンのうちの一つ、シングルマザーや、シングルファザーの貧乏物語。イギリスならではの階級、格差が生み出すなんともやりきれない生活を送る人々を描く。総じてマイナスポイントが多くなるのは必然だ。
サクセスストーリーという言葉はイギリスには似合わない。貧乏な階級に生まれたら貧乏を生きる。そのすぐ隣には、豪奢な館に何百年にもわたって住む慇懃な人々がいる。
その不条理とも思えるような世界がイギリスそのもので、その中であがき、うごめき、なんとか這い上がろうとしても、また叩きのめされる。でも、また立ち上がる。彼はそういった人たちを浪花節的に描く。愛情をではなく、哀情がかかっている。
内紛を巻き起こしてしまった現代史的紛争と、少々無軌道な少年の生き方を描くあとの二つのパターンがあるが、貧乏物語のパターンは、ドキュメンタリーと見まごうリアルな物語となる。嫌いかというと、そうでもない。「レディバード・レディバード」や「マイネーム・イズ・ジョー」みたいにいつまでも印象に残る作品だ。
この世界は、わずかな自由すらも許されない世の中なのだろうか。題名には、何十年と描き続けてきたが、生きにくくなる一方の世の中に対する監督の嘆きが表わされてるような気がした。
◎◎◎○●
『この自由な世界で』
監督 ケン・ローチ
出演 キルストン・ウェアリング ジュリエット・エリス レズワフ・ジュリック ジョー・シフリート コリン・コフリン
いわゆるセクハラとパワハラで、仕事を辞めさせられるが、ここで頑張ろうとしなかったところで、違和感を感じた。辞めさせられるんなら、最低何日前とか、映画の中でも言ってたように、訴えることもできる。
でも、アンジーはクビを受け入れ、自分で紹介所を立ち上げてしまう。
ここで、マイナスポイント二つ目。最初から非合法であることが前提だ。儲けたら税金をいくらでも払うから、と言ってどんどんと先に進んでいく。
儲けたあとも税金を払う気配はとんと見えない。マイナスポイント3つ目。
移民で立場は弱いとは言え、崖っぷちに立った男たちを相手に、右に左にさばいて、仕事をあっせんして行く。この辺の度胸と気風の良さは、プラスポイント。
アンジーを強く行動させた根っこは母としての気持ちだが、それは何より大きい。その大きさが、もっとより大きなものを求めようとしてしまう・・・・。
ケン・ローチが作る三つのパターンのうちの一つ、シングルマザーや、シングルファザーの貧乏物語。イギリスならではの階級、格差が生み出すなんともやりきれない生活を送る人々を描く。総じてマイナスポイントが多くなるのは必然だ。
サクセスストーリーという言葉はイギリスには似合わない。貧乏な階級に生まれたら貧乏を生きる。そのすぐ隣には、豪奢な館に何百年にもわたって住む慇懃な人々がいる。
その不条理とも思えるような世界がイギリスそのもので、その中であがき、うごめき、なんとか這い上がろうとしても、また叩きのめされる。でも、また立ち上がる。彼はそういった人たちを浪花節的に描く。愛情をではなく、哀情がかかっている。
内紛を巻き起こしてしまった現代史的紛争と、少々無軌道な少年の生き方を描くあとの二つのパターンがあるが、貧乏物語のパターンは、ドキュメンタリーと見まごうリアルな物語となる。嫌いかというと、そうでもない。「レディバード・レディバード」や「マイネーム・イズ・ジョー」みたいにいつまでも印象に残る作品だ。
この世界は、わずかな自由すらも許されない世の中なのだろうか。題名には、何十年と描き続けてきたが、生きにくくなる一方の世の中に対する監督の嘆きが表わされてるような気がした。
◎◎◎○●
『この自由な世界で』
監督 ケン・ローチ
出演 キルストン・ウェアリング ジュリエット・エリス レズワフ・ジュリック ジョー・シフリート コリン・コフリン
なさないのかなぁ~って感じですよね。
アンジーの父親の世代の監督からすれば、
彼こそが監督の代弁者なのでしょうかね~。
今も厳然とある階級社会が垣間見えるのが、彼の作品だと思います。
今晩は☆★
コメントありがとうございます。
ケン・ローチ監督も労働者階級の家庭で育った
方だそうですね。やはりその影響も大きいの
のでしょうね。確かにサクセスストーリーでは
だめなのでしょうね。監督はアンジーとローズ像
を観客がその立場で共感できる2人のキャラに配
したみたかったそうです。あまり極端な人物設定
にすると観客が最初の1~2分で、その人物を
受けつけなくなると考えたようです。できるだけ
現実から遠のくような設定は避けたのかと思います。
そうなると貧乏物語はもっとリアルに?なんて・・・。
それでも描き続けないといけない・・・と、またきっと、こういう世界を見せてくれるんでしょうかね。
うーん、でもあまり共感はできなかったなあ。
最初から非合法な道を選んだ、と言うのがどうしても共感できなかった要因ですかね。
ケン・ローチらしい簡単に答えが出ない、
問題の解決策がすぐに出てこないようなものがテーマで、心に重くのしかかりましたが、見て良かった・・と思えた映画でした。
アンジーに共感できるところは少なかったですが、自分さえ良ければ良いのか?というお父さんの質問にちゃんと答えられなかった彼女の気持ちもわからないではないな、と思ったり。
まずは自分とその家族・・という気持ちは、誰の心の中にもあるものだと思われ、それを責められないな、と。
でもです、他人を不幸に陥れてまで手に入れた幸せ・お金で本当に心から自分の幸せを味わうことが出来るのか?・・それは無理ですよね~。
自分だったら、やっぱり良心の呵責に耐えかねて、全然幸せだと思えないだろうなぁと。
そうそう、記事のラスト、sakuraiさんが書いてらっしゃる”生きにくくなる一方の世の中に対する監督の嘆きが表わされてるような気がした。”というの、まさしくそうだな、って思いました。
できれば見たくないような・・・でお、見なさいと言われてるものを避けてはいけない・・というようなジレンマを感じます。
主人公は、大体共感できないような人物が多いですよね。その脇にいる人物が、大事だったり。
でも、その主人公になる人物こそ、この現実を生きてる私たちが投影されている。
人間なんて、あくまでも自分が可愛いいもんですが、ちょっと引いて、周りを見なさいと、言われてるような気がします。
監督の初期の作品の「ケス」から、多分私のケン・ローチは始まりましたが、その頃から何も変わってない。人間は、ますます世の中を歪んだものにして行ってる・・・ように見えます。
アンジーのめちゃぶりは驚きの連続でしたよー。
オトコ並みの度胸は見習いたいですが。笑
イギリスの貧乏話でも、リトル・ダンサーとかほんわかする話もあるんだけどね。
でも思ったよりおもしろかったわ!
いや、ああいう度胸は女ならでは!だと思います。
母としての強さが、そうならしめてる・・・とも思えましたが、もともとイリーガルですからね。ま、そこも監督の意図でしょうが。
「リトル・ダンサー」みたいな、すっきり終わるタイプのは絶対撮らないですからね、この監督は。
特に、こういう貧乏物語は、いつまでも後味悪いのばっかです。