迷宮映画館

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オール・アバウト・マイ・マザー

2000年06月16日 | あ行 外国映画
母一人、子一人で生きてきた17年間、息子はちょっと寂しげな目をしているけれど、好青年。母は移植コーディネーターをして働き、息子をこよなく愛している。17歳の誕生日に父親のことを話してくれといわれ、話そうと決意したときに息子は目の前で、自動車にはねられてしまう。親にとって何よりつらいことは、子供の死を見取ることだ。ここだけでもきついのに、次にまた過酷な選択が母親をまちうけている。それは死を見取ることよりもつらいことだったかもしれない。それは、彼女の仕事にかかわってくる。本当にきつい、つらい、止め処もない悲しさが次々と襲ってくるのである。母にしてみれば、本当に、死ぬよりつらい。しかし、悲しいかな人間は生きていかなければならない。日々の人生を歩んでいくしかないという現実が伝わってきた。

もう自分に二度と笑う日なんか訪れないだろうと思っても、必ず笑う日々が戻って来る。やっぱり泣く日だってある。悲しみも喜びも困難もすべて受け入れていくのがオ・ン・ナ・・・かな。無理に乗り越えていこうとするのではなく、自然に歩んでいこうという姿勢がとっても好感が持てました。

父について語ろうと振り返ったとき、自分のすべて、自分の秘密を見せずには語れなかったことにもきづいていく様子がまた痛いのですが、そこに題名の意図するところがわかります。

きつく、痛く、つらい話だが、母親はそこから目をそむけてはならない。母親の愛の重さは計れない。見返りを期待してはいけない。でも、母の喜びは母親になった人は絶対にわかるはず。

なまじっか、想像のもとで女を描いて、顰蹙を買う監督があまた居ますが、ペドロ・アルモドバル監督は真に女性の思いと痛みがわかる人だなあと感じました。

父親あたりから反論がきそうだけど。

「オール・アバウト・マイ・マザー」

原題「All About My Mother」 
監督 ペドロ・アルモドバル
出演 セシリア・ロス マリサ・パレデス ペネロペ・クルス 1999年 スペイン作品



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