ONCE ダブリンの街角で

アイルランド、ダブリンのストリートでギターケースを置いて歌う男の人。
そのちょっとかすれ気味ながら、魅力的な声は、力強く、とっても心地いい。

夜も、そこに立って歌うのだが、夜の歌は、オリジナル。自分がどうしても歌いたい歌。しかし、人は立ち止まらない。

そこに10セントのコインを入れた女が一人。彼の歌に引き込まれた。

男は恋人にふられて傷心。歌には、その切ない思いが込められている。

女は、チェコの夫と遠く離れて、ここダブリンで母と娘と３人で暮らしている。

孤独でさびしげな二人は、音楽で見事なコラボを見せる。力強い男のボーカルに重なる、女の澄んだ美しい声とピアノのハーモニー。

高め合う二人の才能は、次々と曲を作りだし、男は再起を誓って、レコーディングに挑戦する。

ストーリーは、ないに等しいくらいのほのかなラブストーリーだが、この際、この映画の主人公は楽曲。これに尽きる。

知ってる曲はないが、何度も予告で聞いてるうちに耳について離れなかった曲が、すでに耳になじんでいた。さすがのプロの才能。曲の完成度の高さと、ボーカルの力強さ、コラボのうまさは、見事。

そう、見ていて、違和感を感じたのが、ストリートミュージシャンにしてはうますぎるところかな。そんなにうまかったら、街角では歌ってないだろう・・・と表しまうくらいの完成度の高い音楽たち。

いちゃもんつけたくなる私の悪い癖ですが、音楽に浸りました。素敵でした。

◎◎◎○

『ＯＮＣＥ　ダブリンの街角で』

監督・脚本 ジョン・カーニー
出演 グレン・ハンサード　マルケタ・イルグロヴァ