迷宮映画館

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「WATARIDORI」

2003年07月21日 | わ行 映画
うちでは、小さい頃から動物を飼ったことがなかったので、私は、動物は全般に苦手だ。犬や猫を見て、目じりを思いっきり下げて「かっわいい!」という風には絶対にならない。犬や猫がいると、逃げ回った。それらが、動物がきらいな親から、「怖い」と刷り込まされたせいかもしれないと思ったのは、だいぶ経ってからだ。

小学生の時に通っていた習い事先に犬がいた。当初は刷り込まされたとおり、「怖い」と逃げ回ったのだが、だんだん通っていくうちに、全然怖くなくなってくる。さらには、私が行くと、さもうれしそうに、「ワンワン」と出迎えてくれる。犬が怖いなんて、うそジャン。バロン(その犬の名前)と私は親友になった。

犬や猫の話ではなかった。鳥である。猫もいきさつがあって、友達になったのがいるのだが、鳥に対してはどうしても愛着が湧かない。やはり、それも思い込みの一つで、かわいいのかもしれないが、なぜか、鳥は心を開いてくれないような気がする。鳥は生きる本能の塊のような生き物のような気がしてならない。彼らが持っているのは、究極の生きる術。いかにして、自分達の種を残すか、どんな事をしたら、自分達は生き残れるのか。そのためには、どんな過酷なことであろうと、厭わない。鳥というものはそのような生き物であると思っていたのだが、まさにそれを体現するような映画だった。

多くの種類のガンが出てきたが、必死で羽を動かし、目的地に向かう姿には、感情など一切ない、まるで求道者のようだ。移動距離、千キロ、3千キロ、キョクアジサシなどは、南極と北極を移動する。その姿は、感動とか言うよりも崇高さすら感じてしまう。そのような姿を、ひたすら撮ろうとした監督にまず、敬意を表する。

CG全盛の時代に、すべてアナログで、それも鳥と一緒に飛ぶところから始めたという徹底振り。フランスの監督ならではのことかも知れない。

心洗われるというものでもない。こんな風に頑張って撮りました、というものでもない。淡々と撮る、そしてただ見てもらう。そんな姿勢がとってもクールな映画だった。北半球のどこか真面目な鳥達に比べて、やはり餌に恵まれてるのか、アマゾン流域の鳥達のどこか余裕のある、お茶目な姿が楽しかった。

「WATARIDORI」

原題「LE PEUPLE MIGRATEUR」 
総監督 ジャック・ペラン
共同監督 ジャック・クルーゾ ミッシェル・デバ 音楽:ブリュノ・クレ 2001年 フランス作品


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