出家して全成と名乗るようになった今若が姉の屋敷にたびたび現れるようになったのは
それから数年たってからのことである。
この頃長成は閑院流公能の娘皇后忻子に仕えていた。
公能の娘を母とし、皇后忻子の妹太皇太后多子に仕える一条能保
とは顔見知りの関係だった。
二人はともに「閑院流藤原氏」に出入りするもの同士であった。
長成が常盤を娶ってから数年後能保が義朝の娘と結婚したことも
二人の間をより親密にした。
そのような関係からより長成一家と親しくなった、
能保とその妻(つまり範頼・全成の姉)は
常盤と全成の冷えてしまった親子関係を知ることになる。
能保の屋敷と長成の屋敷はそれぞれ一条大路に面していて近くにある。
ある日、長成の屋敷の近くを所在なさそうにうろついている
若い法体の男の姿を能保は見かけた。
能保は妻と共にその男を自邸に引き取りに来た。
最初は、戸惑っていたその僧侶も
迎えにきた人物が異母姉とその夫であることを知って
おずおずとその屋敷に入った。
その後全成は姉夫婦の屋敷に頻繁に現れることになる。
最初は遠慮がちだった全成も訪れるにつれてと能保には
心を開くようになっていた。
そして、母に対する複雑な思いを徐々に吐き出すようになった。
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それから数年たってからのことである。
この頃長成は閑院流公能の娘皇后忻子に仕えていた。
公能の娘を母とし、皇后忻子の妹太皇太后多子に仕える一条能保
とは顔見知りの関係だった。
二人はともに「閑院流藤原氏」に出入りするもの同士であった。
長成が常盤を娶ってから数年後能保が義朝の娘と結婚したことも
二人の間をより親密にした。
そのような関係からより長成一家と親しくなった、
能保とその妻(つまり範頼・全成の姉)は
常盤と全成の冷えてしまった親子関係を知ることになる。
能保の屋敷と長成の屋敷はそれぞれ一条大路に面していて近くにある。
ある日、長成の屋敷の近くを所在なさそうにうろついている
若い法体の男の姿を能保は見かけた。
能保は妻と共にその男を自邸に引き取りに来た。
最初は、戸惑っていたその僧侶も
迎えにきた人物が異母姉とその夫であることを知って
おずおずとその屋敷に入った。
その後全成は姉夫婦の屋敷に頻繁に現れることになる。
最初は遠慮がちだった全成も訪れるにつれてと能保には
心を開くようになっていた。
そして、母に対する複雑な思いを徐々に吐き出すようになった。
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