波間にキラキラと月のこぼれたヒカリ。それを裂いていくように大きな難破船がどこかへ舵をとっているのです。
はてしない海のどこかをいつも漂いながらこの船がむかう先は・・。
蒼い海きらめく昼にも、遠い灯台の明かりが見え隠れする夜にも、難破船はとまることなく漂い続けているのです。
ぼろぼろになった船のデッキ。切れたロープ、まわらない滑車。たくさんの貝がついてまるで珊瑚のように・・。
デッキを下りたところには船長らしき人の亡がらが。風化してもまだ威厳を残したままで。
前の机には色あせた航海日誌のようなものが。もう使わなくなったような言葉で書かれているのは・・。
"これが最後のページになるだろうか。
今になってみれば港で別れを告げる人たちにもうすこし手を振っておけば良かったのか。
嵐は激しくなるばかり。若い船員たちは小船を出して近くの島を目指していったが・・。
雲に覆われたその上にある月よ。いつもわたしの夜の話し相手だった月よ。どうかあの者たちを無事に島へ導いてほしい。
わたしの愛する人よ。もう一度君の前でしあわせだったことを言葉にしたかった。
あの頃のふたりの絆を胸に、今も愛していることを伝えたかった。
君と逢えたことが゛わたしの奇跡。そう月にも何度話したことか。
そう、月と同じような大きな安らぎをもっていた人。
今でもこの思いはわたしを支えているから・・"
言葉は途中で途切れ、すべての時間がそこから止まってしまったかのように。
大きな船の中にはたくさんの財宝がかくされているが、いまだそれらを載せたまま、大きな海原を漂い続けているのです。
明るいうちは太陽がなにかを教え、暗くなれば月が潮の流れとともに誘って。
もしかすると、船長の愛する人が待つ港へ。ゆっくりとその船は舵を傾けているのかもしれません。
はてしない海のどこかをいつも漂いながらこの船がむかう先は・・。
蒼い海きらめく昼にも、遠い灯台の明かりが見え隠れする夜にも、難破船はとまることなく漂い続けているのです。
ぼろぼろになった船のデッキ。切れたロープ、まわらない滑車。たくさんの貝がついてまるで珊瑚のように・・。
デッキを下りたところには船長らしき人の亡がらが。風化してもまだ威厳を残したままで。
前の机には色あせた航海日誌のようなものが。もう使わなくなったような言葉で書かれているのは・・。
"これが最後のページになるだろうか。
今になってみれば港で別れを告げる人たちにもうすこし手を振っておけば良かったのか。
嵐は激しくなるばかり。若い船員たちは小船を出して近くの島を目指していったが・・。
雲に覆われたその上にある月よ。いつもわたしの夜の話し相手だった月よ。どうかあの者たちを無事に島へ導いてほしい。
わたしの愛する人よ。もう一度君の前でしあわせだったことを言葉にしたかった。
あの頃のふたりの絆を胸に、今も愛していることを伝えたかった。
君と逢えたことが゛わたしの奇跡。そう月にも何度話したことか。
そう、月と同じような大きな安らぎをもっていた人。
今でもこの思いはわたしを支えているから・・"
言葉は途中で途切れ、すべての時間がそこから止まってしまったかのように。
大きな船の中にはたくさんの財宝がかくされているが、いまだそれらを載せたまま、大きな海原を漂い続けているのです。
明るいうちは太陽がなにかを教え、暗くなれば月が潮の流れとともに誘って。
もしかすると、船長の愛する人が待つ港へ。ゆっくりとその船は舵を傾けているのかもしれません。