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関東の空を飛ぶ (22) - 小網代の森

2009-10-28 | 関東
三浦半島油壺湾の北、小網代(こあじろ)湾をつつむように広がる「小網代の森」。
湾の周辺には干潟が広がり、湿地にはアシが茂り、さらに森が広がり1900種の生物が共存していると言われている。

真夏の大潮の夜、ここを舞台にアカテガニの集団が一斉に産卵(放仔)を行う。

月明かりの下で行われるその神秘的な光景を支える70ヘクタールほどの小さな森は、幾度となく市街化のために消滅の危機に瀕してきた。現在、行政や市民団体などが保全活動を進めているが、いまだ課題が横たわる。

長さ約1.2キロの「浦の川」が森の真ん中を流れ、源流から河口に向かって“森林、湿地、干潟、海”へと続く。
1本の川を軸に森と干潟と海とがひとつになった「完結した集水域の生態系」が存在しているのは、関東ではここだけという。

三浦市で市街化にむけた開発が次々と進められた1980年代。
小網代の森にもゴルフ場を建設したり、鉄道を延長する計画(京急・三浦海岸 - 油壺間4.3km)などが浮上した。

しかし、豊かな生態系を守ろうとする地元の自然保全団体などが森の保全を全国に訴えた。
94年、三浦市は開発の断念を発表し、翌95年には当時の長洲一二神奈川県元知事が小網代地域72ヘクタールを保存し、開発は残りのエリアで行うようにと三浦市に提示し、市も保全対策検討会を設けた。97年には県が環境基本計画に「小網代の森の保全の推進」を盛り込み、県による土地の買い入れが始まった。

京急は小網代の森の約半分の緑地を所有していたが、そのうち約60%は県が買い取り、約5%を寄付。残りの約35%の大部分は 「かながわトラストみどり財団」と緑地保存契約を締結している。

すべての生物にとっての宝物である「小網代の森」をどう守り続けるか、今、我々人間の英知が問われている。



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