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-空から見るからこそ見えてくるものがある-

関東の空を飛ぶ (21) - 城ヶ島

2009-10-26 | 関東


雨は降る降る 城ヶ島の磯に
利休鼠の 雨が降る
雨は真珠か 夜明の霧か
それとも私の 忍び泣き

舟は行く行く 通り矢のはなを
濡れて帆あげた 主の舟

ええ 舟は櫓でやる
櫓は唄でやる
唄は船頭さんの 心意気

雨は降る降る ひは薄曇る
舟は行く行く 帆がかすむ




大正2年5月、白秋は、家族とともに東京から神奈川県三浦三崎に移り新居を構えた。
ときに白秋27才の春であった。

「桐の花事件」による挫折、傷心から再起をはかるには、三崎の地が白秋の心を深くとらえたのだ。
それは、白秋が人妻である松下俊子と恋愛関係に陥ったことに始まる。
白秋の行為は厳しく非難され、後に拘留されるに至る。
また同じ頃、生家の造り酒屋が破産し、白秋は神経をすり減らし、途方に暮れた。

三崎移住時には死を決意した白秋ではあったが、時が過ぎるにつれ、三浦半島の美しい風物が心を癒し、再度、創作に挑む決心が固まりつつあった。

「城ヶ島の雨」は舟唄として作詞し、これに梁田貞が曲をつけたもの。
住んでいた家の対岸に城ヶ島があり、白秋はそこから見える風景を元に詩を書いた。

白秋には、この三崎滞在期は、生涯で最も充実した創作期となり、「城ヶ島の雨」の他、「真珠抄」「白金之独楽」「雲母集」などの歌集を刊行している。

大正3年3月、三浦半島を離れた白秋は、小笠原諸島に向かい、以後、千葉県葛飾、神奈川県小田原など点々と転居を繰り返すことになる。

しかし、白秋は自らが再生した三崎を晩年まで懐かしんだという。



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4 コメント

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Unknown (芋焼酎)
2009-10-28 07:08:18
sogoさん

 おはようございます。
 毎日素敵なバードビュー、楽しんでいます。
三浦半島がこんなに変化に富んでいて、美しいとは・・・驚きです。畑が織りなす景色って、気持ちが和みますね。どの写真を観ても美しく感じるのは、あの虫食いゴルフ場がないのいのがその理由の一つですかね。

 三浦半島は妻と時々ドライブに出かける事があります。やさしい海風にひかれてと言いたいところですが、実は私が通っている病院が葉山にあり、通院のついでにおいしい魚を食べるという、あまり冴えないドライブです。とは言え、結構小旅行気分に浸れるのが、三浦半島の魅力と言えます。

 一度、思い切って久里浜からフェリーに乗って房総半島まで足を延ばしてみたことがありました。そんなに遠いところではないのに、地方に旅をした気分になれました。三浦半島は私にとって、気持ちを切り替える事が出来る身近な場所であります。

 そう言えば、今年私の娘が出産したのですが、「娘、娘の夫、私の妻、私」の4人で葉山にある森戸神社に安産祈願に行きました。無事出産した後は、この世に新しくデビューした孫を加えた5人で、「お礼参り」に行きました。
森戸神社裏に広がる「森戸海岸」は中々いいところですよ。相模湾が一望でき、波も静かで砂浜も奇麗、もちろん海の水も透明でおまけにちょうどいい岩場があり、水と戯れるのには最高のロケーションです。

 もう少し書き込もうと思いますが、そろそろ出勤の時間です。中途半端な文になってすみません。sogoさんの素敵な写真を楽しみにしています。
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Unknown (sogo)
2009-10-28 20:26:22
芋焼酎さま。

こんばんは。
いつもご覧いただきありがとうございます。

また、心温まる、アットホームなコメントいただきありがとうございます。

三浦半島は、私にとっても、かつて生活圏だったこともあり、たいへん感慨深い想いで上空から眺めています。

“R134”沿いを何度も往復しました。
逗子からは、海岸に沿って旧道を、森戸海岸経由で葉山に抜け、長者ケ崎、秋谷海岸へと…
朝夕の景色は最高でした。

さて、芋焼酎さん、ご指摘のとおり、畑や水田の風景は、なぜか上空から見ても、美しく感じます。
それとは逆に、ゴルフ場やスキー場は、大地を傷つけたように見えてしまう…
偏見かな…
同じ人間が作ったものなのに、不思議な感じです。



朝夕、ずいぶん冷えてきました。
風邪などひかぬようおからだに気を付けてください。
では、おやすみなさい。
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Unknown (芋焼酎)
2009-10-28 22:00:24
sogoさん

 こんばんは。
 丁重なるレスポンス、ありがとうございます。おっしゃる通り、鎌倉材木座~逗子~葉山あたりの134号線は素敵ですね。ただし休日の渋滞には閉口しますが。

 私の好きなポイントは葉山の森戸海岸辺りの小さな店なんです。詳しく言うと、古い佇まいのお店です。店先に、浮輪や水中眼鏡、虫取り網等が吊るしてある店の風景を見ると、思わず車を降りてみたくなります。昔々、このような風景は海水浴場がある町ではどこにでも見られました。

 しかしながら、鎌倉の由比ヶ浜や藤沢の江の島海岸、鵠沼海岸はまるでアメリカの西海岸やハワイ(どちらも行った事はありません、あくまでも想像です)のように横文字の店が乱立し、海の家までもがどこかおしゃれなカフェのようにして営業しています。どうも好きになれません。

 そう言えば、森戸海岸近くに「げんべい」というビーチサンダル専門店があります。ともかくビーチサンダルだらけの店ですが、結構贔屓にしています。毎年、夏にはこの「げんべい」に行き、ビーチサンダルを買いに行きます。安くて、シンプルで履き心地も良好です。
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Unknown (sogo)
2009-10-29 19:13:33
芋焼酎さま。

こんばんは。
いつもご覧いただきありがとうございます。

くねくね曲がった、細い、「葉山の海岸通り」目に浮かんでくるようです。

残念ながら買い物はしたことはありませんが
「げんべい」と書いた店先の大きな看板。憶えています。

店の名前は忘れましたが、有名な“葉山コロッケ”の店、日影茶屋、ボンジュール… などなど。

とても懐かしいです!





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