ROSE POSYのハンドクラフト・ブログ

”手仕事”の楽しさをお伝えできればと思います。ROSE POSYオリジナル作品もどうぞお楽しみ下さい。

ユリの赤いタンブラー

2013年04月26日 | ガラス工芸・サンドブラスト

 

先週の土曜日、すみだガラス市にいってきました。 ガラス教室の先生にお供させていただきました。急に寒の戻りが来て、4月も下旬というのにあいにくのお天気でしたが、朝からかなりの人出で、 ”うすはり”グラスのブースには会場入り口からブースまでとても長い行列ができていました。うすはりは最近、大人気ですよね。 金麦、一番搾り、サッポロなどのビールのCMでも使われていますし、飲食店でもうすはりで出すところが多くなりました。電球をつくる技術で作られているそうで、究極に薄くて軽くて、シンプルな器で、飲み物や食べ物を美味しく見せてくれます。

さて、私たちのお目当ての被せガラスの生地のお店は2つしかなく、そのうち1店は大混雑でした。国内で被せガラスを生産している工場はバブル以降、廃業が相次いで、現在、数社しか残っておらず、そこで作られた製品を日本のすべての江戸切子の職人やサンドブラストの作家が利用するわけですから、完全に売り手市場です。

会場に来ていたお客さんたちの会話では、年々、出物が減り、掘り出し物もなく定番商品ばかりだそうで、面白くないと言っていました。それでも普段買うより安いから、とりあえず買っておく、ということだそうです。たしかに、売られていた被せガラスの生地の色や形のバリエーションは限られており、”あるものを使うしかない”状況のようで、半製品を利用した工芸というのは、作品が生地に制約されてしまうのがなんとも歯がゆい気がします。

すべての産業に言えることは、競争のないところに進歩はありません。競争があるからこそ、作り手は切磋琢磨し、意匠や工夫に努力し、よりよいモノづくりができていくものです。千年一日、同じものを作り続けて慢心しているといずれは人々に飽きられ、産業全体が衰退するのが鉄則です。素材に頼らざるをえない工芸は今後シュリンクしていくしかない運命なのかもしれません。こうした衰退しつつある日本の伝統工芸は、チェコやムラノのように無形文化遺産として国が支援して守るべきだと思います。

さて、相変わらずブログの更新が遅れておりますが、撮り溜めておいた課題作品を粛々とアップさせていただきます。

今回の課題は、『ユリ』です。 赤い生地は、前回の青(瑠璃)に続いて、難易度の高い色だそうです。色の生地に粘りがなく、油断しているとあっという間に色が飛んでしまいます。

恒例、手で持った感じ。 

もう少し、ハイライトをはっきりさせられたらよかったですが、欲をかくと失敗しそうなので、
なんとなく出来たかな?、といったところで止めました。
サンドブラストは、手を加えれば加えるほど良くなっていくものでもなく、ある種の潔さが必要で、手の止め時が難しいところです。

 



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