ROSE POSYのハンドクラフト・ブログ

”手仕事”の楽しさをお伝えできればと思います。ROSE POSYオリジナル作品もどうぞお楽しみ下さい。

ジュエリークリエーターの道 ~ワックスは楽しい(2)~

2007年05月01日 | ジュエリーよもやま話
ちまちまと独学でワックスを彫る日々を過ごしていましたが、独りでやっているとだんだん煮詰まってきて、飽きるし、モチベーションが下がってきます。自分が何を目指したいのかもわからなくなってきました。

そこに、ひょっとしたきっかけで、ある宝飾作家の方と出会いました。その方は、一点物のオーダージュエリーの制作が中心ですが、「何でもワックスで作れますよ~!」という非常に独創的な面白い方で、その方の人柄に惹かれてご自宅まで押しかけていき、何度かワンポイントレッスンをしていただきました。

授業というよりは、こちらの「これはどうやって作るのですか」「この場合はどうしたらいいでしょうか」といった疑問に対して、先生が一つ一つ自分のやり方を答えていく、という形でした。

 まずびっくりしたのが先生はリングを作るのに、チューブワックスを使いません。先生は、「ワックス・ディスペンサー」という、ワックスを電熱で溶かしながら線状にたらしていく特殊な器具を使い、芯材にワックスを盛ってリングベースを作っていくのです。

廃盤となったHARP製ワックスディスペンサー

この方法だと、ワックスの削りカスが少なくて済み、ベースとなるリングを作る時間がかなり節約できます。

残念ながら、先生が愛用のその器具は、今はもう製造中止していましたので、私もまねして、似たような機能を持つワックスガンというのを購入しました。でも、ちょっと使い勝手が違います。それなりに便利で楽しい道具ではあるのですが、”弾”は専用のワックスでないとだめなんで不経済です。ワックスの端材やクズが再利用できるディスペンサーはやっぱりエコで魅力的。HARPさん!ぜひ復活させてくださーい!

ワックスガン(左:HARP製 右:matt製)

すみません、話がずれてしまいました。(「ワックスガンという道具に出会えたのはこの先生のおかげです」ということを言いたかった)

この先生には、ワックスを使った技法をいろいろ教えていただきました。先生がオリジナルで編み出したアイデアばかりです。しかし、そのどれもが高度な技術は必要としません。まさに「オバアチャンの知恵」的な”目からウロコ”のものばかりなのです。


エタニティリング 試作品

たとえば、上のエタニティリングは、彫り留めの技術を使わずに作成した試作品です。(ごめんなさい、初めてなものですから、はっきり言って下手です。ベースはワックスガンでつくりました。) 先生は、彫り留め風だけでなく、メレダイヤがビッシリと面を埋め尽くすパヴェセッティング風リングもワックスで簡単に作ってしまわれます。きっと彫り留めや洋彫りこの道ウン十年と言う石留め職人さんが見たら、「そんなやり方は邪道だ!」と怒り出しそうですが、先生の作品は素人目から見ても、実に完璧で美しい仕上がりです。

先生はとてもおおらかな方で、「なーに、光ってりゃいいの!」とか、「要するにキラキラして見えればいいの。」「だって、それでお客さんが気に入って買ってくれるんだから。」と豪快に笑っておられます。

そして、私のようなよそ者に、「みてみて、こんなこと思いついたんだ!」と本当に子供のように屈託なく自分が考えた新しいアイデアを人に教えてしまいます。心から創作活動を楽しんでおられるようでした。

そう、ジュエリー制作の世界もやり方は人それぞれ。代々受け継がれた方法はあるにはあっても、正攻法だとか、正規の方法だとか、決め付けてはだめなんですよね。いろんなやり方やプロセスがあっていいんだということを、この先生は教えてくれました。

モノ作りの楽しさは、遊びの中から新たなアイデアを発見することにある

ということを今日は言いたかっただけです、はい。



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3 コメント

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Unknown (fra)
2014-11-23 10:56:38
初めまして、こんにちは。
ワックスガンを探していたらこちらの記事に出会い、コメントさせていただきました。

ワックスでジュエリー作りに挑戦し始めたばかりです。
ちまちま彫っていたのですが、もっと面白くデザインできたらと思って、試行錯誤していました。

天然石がとても好きなので、石留めの技法など教えていただけたら嬉しいです。

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亀レスごめんなさい! (ROSE POSY)
2014-12-09 00:40:37
投稿もご無沙汰になっていまして、コメ見るのが遅くなりました。こんな古い記事にもかかわらず見てくださってありがとうございます。私も天然石が大好きです。
石留めは学校に行ってプロから基礎を教えていただくのが早いと思います。

私は、今しばらくワックスやメタルから離れて、ワイヤーワークやらビーズやら、アクセサリー作りのさまざまな手法を学ぶ長い旅を続けています。自分に課している最後のお題(組み紐)をクリアしたら、またメタルジュエリーに戻ってくる予定で、これまで学んできた手法やさまざまな素材を組み合わせて、ユニークなアクセサリー作りに挑戦したいと思っています。
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とんでもないです~ (fra)
2014-12-09 21:11:09
ありがとうございます、嬉しいです。
なるほど、やっぱりプロですか。
ちょっと弟子入りも検討中なんです。

私も小さい頃からビーズとかで色々作ってました。
楽しいですよね、作るの。
紐も数年前ハマりにハマって色々アレンジを楽しみました。
好きな系統が似ているなあと、親近感を感じてしまいました。

私は以前ジュエリー販売の仕事をしていたのですが、自分のデザインで石ちゃんたちを使ってあげたい欲求がMAXになってしまって、走り出したばかりです。

私も長い旅になりそうです(笑)

また拝見させていただきますね。
いつも素敵なのを作っていらっしゃるので、楽しみにしてます。

長文失礼致しました。



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