ROSE POSYのハンドクラフト・ブログ

”手仕事”の楽しさをお伝えできればと思います。ROSE POSYオリジナル作品もどうぞお楽しみ下さい。

CAD vs 手作りの話

2008年09月19日 | ジュエリーよもやま話
”手作り”派生ネタです。

ジュエリーCADで制作した作品の写真を、CADで作ったとは言わずに知人に送ってみて反応をうかがってみました。

『なんか、今までのROSEっぽくない感じのデザインだね。工業製品みたいですが、誰かに機械で作ってもらったの?』

”作ってもらった”という言葉に、複雑な心境でした。友人は、私が旋盤工とかプレス工とか、精密機械の工場の人に作ってもらったと思ったようです。私のデザインを評価してもらう前に、出来上がりの精巧さに目が言ってしまい、”これは機械で作ったんだろうナァ。”というネガティブな印象を持たれたことが、ちょっと意外でした。一般の人が見ても、”機械で作った”ように見えるような作品を作った私が悪いんですけども・・・。

せっかく、ジュエリーCADを使うのだから、手では出来ないもの(デザイン)をCADにやらせたいと思うのが人情。でも、ジュエリーに期待するものは人それぞれで、”機械で作った”っぽいものに価値を見出さない人もいるのですね。

やっぱ、普通の人は、TVショッピングとかみたいに、”熟練した職人さんが1つ1つ心を込めて手作りでおつくりしたものです!”、がいいのかなぁ・・・。

   

一方、彫金をやってる人にも見せてみました。『これ、すごいじゃん。よくやったね。どうやってつくったの?』ていわれたので、”実は、CADなんです。”、って後出しで言ってみら、『なーんだ、どうりでね~。出来すぎと思ったわ。』(CADだとすごくないんかい。むむぅ、しつれいな~!)

『でも、ROSEはまたなんでCADなんかはじめたの?CADなんてメーカーが量産品作るためのもんじゃん?』というコメント。いわれてることはごもっともですけどね。でも、『あなたも一度CAD体験してみたら?超面白いよー!』って返事しときました。

   

今時は、Web、DTP、グラフィックデザイン、動画など、パソコンを駆使してモノづくりをする人は、”デジタルクリエーター”と称され、何かとパンピーに尊敬される存在なわけなのですが、これがジュエリーの世界だと、『これ、ROSEが作ったの?』っていわれて、『パソコンでデザインして機械で造形しました。』って答えると、返ってくる反応は、『すげ~!カッコイイ!』ではなく、なんか手抜きとかズルしてるみたいな、トゲのある視線を感じるので、もう正直に言わないことにします。(笑)

でも、いいのです。わたしは、『自分の手じゃ、どーーーしてもできないところはコンピュータと機械に手伝ってもらう!』って決めてCADに手を出したんですから。いってみれば、魔法のようなすごい”ヤスリ”を手に入れたのですもの。楽しまなくっちゃ!

   



最新の画像もっと見る

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
第二の手 (norihito)
2008-09-19 07:08:05
CADが魔法のやすり?
まさにその通りです その通りだと思います。
営業先で求められるのは、
どんな手法だろうが、出来上がりが問題で
出来上がった商品?作品?が良ければOK!
立場上、CADで何でも出来ますって言ってるけど(^^;
地金を使ったり、ワックスを使ったり
適材適所ですよえぇ~(^^)

因みに、昨日から3日間 六本木のラフォーレミュージアムで
宝飾販売員やってます(笑)
人間も適材適所! 
返信する
CADだからって・・・ (chiz)
2008-09-19 19:45:37
CADでデザインすると線が硬くてよくないとか、
CADのレンダリングはリアル過ぎてグロテスクだとか
いわれの無い中傷がホントに多いですね。。。

CADでモデリングしても手作りっぽい
アールヌーボー調のデザインも出来るし、
出来上がりのイメージは出来るだけリアルに
完成品に近い方がいいに決まってると思うのですが。。。

世間の風評に負けず、私たちの手に入れた
魔法のヤスリを揮い続けましょう!!
返信する
悩むところは (ニーナ)
2008-09-19 23:08:53
悩むところはCADであろうが、手づくりだろうが案外おんなじなような気もします。

扱うのがヤスリがマウスにかわっただけで…

今がきっと過渡期です。
もうすぐ私たちの時代が来るはず!


と思いたいな(笑)
返信する
そうなんですよね~ (ROSE POSY)
2008-09-20 02:41:17
CADが普及しても多くの一般ユーザには何も代わらないと思います。すでにTiffany、Cartier、BULGARI、Diorなどの有名一流ブランドはすでにかなり前から積極的にCADを導入しているそうですから・・・。(造型機はなんとみな日本製だそうです!)そういうエンドの人たちは、ブランドそのものに最大のプライオリティがあって、大量生産だろうがプレス製品だろうが、おかまいないでしょう。

でも、『職人さんが1点1点丁寧に作り上げました』、というTVショッピングの決まり文句に惹かれる人たちには、今は、””CADで作ったとは言わなくていいというか言わない方がいいんだろうな、と思ったのも事実です。それに、原型作りにおいて腕に自信のあるプロの方々も、”自分で出来ないからコンピュータと機械にやってもらうんでしょ”、みたいな、見られ方をしてしまいますし。

chizさんの、アールヌーボーで思い出しましたが、アンティークジュエリーが全盛した時代の作品で、一子相伝のために後世の誰も技術継承できなかったような、精巧でしかも気が遠くなるような技巧も、全く同じとまでいかなくても、CADなら再現できるのではと思うのですね。

本物のアンティークジュエリーは希少だし、お値段的にもとても手に入りませんが、人類の残した最も美しい美術工芸品のひとつとして、後世にも残しておきたい素晴らしいデザインがたくさんあります。

私自身は、CADはまさにそういった分野で活躍させたいと思っています。
いつか、私の好きなビクトリアン時代の繊細で素晴らしいアンティークジュエリーの意匠を復刻版(レプリカ)としてCADで再現したいと思っています。
返信する

コメントを投稿