ROSE POSYのハンドクラフト・ブログ

”手仕事”の楽しさをお伝えできればと思います。ROSE POSYオリジナル作品もどうぞお楽しみ下さい。

サービス業について思うこと (2) 医療編

2007年06月08日 | ROSE POSYのひとりごと
サービス」としてのビジネスに思うこと、その続き、医療編です。

ラ・ヴァーグに通う度に、「なんだかどこかで感じたようなことを思ったなぁ、どこだっけ?」とずっと疑問に思っていたのですが、突然ふと近所の係りつけの病院を思い出しました。



私がホームドクターとして利用しているのは、プラタナス・ネットワークという診療所グループの、とある病院です。このグループは、サービス業としての医療をコンセプトに診療活動に取り組む病院の集まりです。

サービス業という観点から、医療施設のさまざまな慣習や常識を徹底的に覆したのがこのクリニックなのです。

ここでは「患者様」と呼ばれ、けして、看護師さんは「○○さーん、お入り下さあい」、とは呼びません。「○○様、大変お待たせいたしました」、です。診療が終わると、「お疲れ様でした。」と声をかけられます。なんとなく、いい気分です。


まず驚いたのは、待合室。真ん中には大きなアンティーク調のテーブルが据えられ、その周りにロココ調の座り心地のいい椅子やソファが配置され、まるでサロンのよう。ここが病院であることを忘れてしまうほどリラックスした快適な空間です。じっと待つことが出来ない小さな子供の遊び場所やおもちゃもたっぷり用意されています。

先生は白衣ではなく、色つきワイシャツにスラックスの普通のサラリーマンルック。(おまけに腕まくりしてたりして)これにはたまげました。白衣って威圧感があってなんだか怖いんで、お医者様のこの服装は意外性があってリラックスできるとともに、とても好感が持てます。

そして、普通の病院だと、医師が革張りのチェアで患者が粗末な丸イス、というのが相場ですが、ここでは逆です。患者のイスはとても立派なすわり心地の良いイスで、なんか偉くなったような気分です。

先生は、患者に沢山の質問をし、また話をじっくりと聞きながらも、手は猛烈な勢いでパソコンにカルテを入力しています。この電子カルテは、難しい医学用語やドイツ語ではなく、一般人にもわかるような平易な言葉で書かれており、帰りに印刷して渡してくれます。希望すればネットで閲覧もできるそうです。まさに開かれた医療です。 そして、漢方薬も取り入れた処方でとても体に優しい治療です。



診察が終わると、ほとんど待たずに会計→薬局処方へ進みます。 なぜなら、さっき先生が打ち込んでいたカルテは、すぐに会計と薬局に送信されるのです。処方箋をもらって近くの薬局に行く必要もありません。恐ろしく合理的・効率的です。

なにより嬉しいのが予約を受けていることです。もちろん直接来院も可能ですが、忙しい仕事の合間に自分の都合のいい時間に行ってすぐ診てもらえたらこんなに効率的なことはありません。

誰も病気にはなりたくありませんが、行くのが苦痛ではなく、なぜか「病気になったらここに来たい」と思わせる信頼できる病院なのです。 案の定、口コミで人気が広がり、この病院は大繁盛しています。(でも予約を利用する人が多いし、効率的なので、患者の滞留時間が短く、ほとんど待たされません。)


病院なのに、まるで患者をお客様のように扱う。これってすごい発想の転換だと思います。産院でセレブ相手に高級なサービスを提供しているところがありますが、こうした一般病院で、しかも診療費が高いわけではなく(むしろ他より安い)、こうしたプラスアルファのサービスを提供しているところはまだ少ないと思います。

どんな商売でも、儲けてやろうとか、お客を見下げるような態度をすればすぐにわかってしまいます。経営者は、えてしてビジネスが成功してセレブの仲間入りした途端、高みから物を見る態度になりがちですが、常にお客さんの目線に立って謙虚な心を持ち続けることで、この病院のように、もっともっといろんなアイデアが湧いて、ビジネスをより拡大・発展できるのではないかと思います。