つばた徒然@つれづれ津幡

いつか、失われた風景の標となれば本望。
私的津幡町見聞録と旅の記録。
時々イラスト、度々ボート。

誰れそ彼 回顧の夏の 怖ろしさ。

2016年07月24日 23時34分47秒 | 日記
かつて、昼でも夜でもない時間帯は、精霊や魔物が跳梁跋扈するとされた。
満足な街灯などなかった当時、
日差しが翳る頃合いを不気味に感じてしまうのは頷ける。
薄暗い中、人々はこう問い合ってコミュニケーションを図った。
「誰そ彼?(たれそかれ/あなたは誰ですか?)」
その物言いが「黄昏(たそがれ)」になった。

情け容赦がなく強烈な真昼とのギャップからか、
四季の中でも、夏の黄昏は、取り分け禍々しさを募らせる。
…例えばこんな束の間がそれだ。

自宅近くの住宅街で撮影したこのスナップは、少年時代の記憶と符合する。
汗にまみれ、遊び呆けて過ごした、ある夏の黄昏時。
ふと気が付くと、辺りに闇が忍び寄っていた。
刻一刻と遠ざかる昼。
代わって、深く、濃くなる夜の気配。
程なく友人の顔すら判別し難くなってゆく。
得体の知れない不安に駆られ、別れもそこそこに駆け出した僕の顔は、
きっと恐怖に引きつっていたに違いない。
コメント
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