ギシオン・ベイのキャンプサイトに居る時に、インターネットでギリシャからイタリアへ行くフェリーの予約をしていた。オリンピアを去ったときには、フェリーに乗るまでまだ一週間も待たねばならぬ。フェリーポートはギリシャ本土のアルバニアに近いイグメニッツアで本土には11月に開いているキャンプサイトがほとんど無い。
オリンピアから真西の海岸にキャンプサイトが2箇所あるのを見つけそこらあたりで数日を過ごすことにした。オリンピアから65Km 西の海岸キリーニ(Kyllini)の港町で、一人でキャンパーで旅しているドイツ人のおじいさんに出会った。水の補給さえあればシャワーもトイレもキャンパーにあるからと、ほとんどキャンプ場に泊まらず旅しているという。町の広場に飲み水の水道があり、せっせとキャンパーのタンクに注入していた。
私たちはキャンプ場以外に泊まったことが無く、ギリシャ本土へ行けば数日は何処でも泊まらなければならない。今回は試しにと水をしっかり補給して、ドイツ人のおじいさんが言っていたカストロへむかった。
収穫したオリーヴの実で満杯の袋
カストロはその名の通りに丘の頂上に大きな城砦を抱いた小さな村で、村のオリーヴ集積場は出入りするトラクターでにぎわっていた。大きな袋が一面に積み上げられて、ギリシャ人はオリーヴだけで生計を立てているように思える。この日お城は閉まっていたので翌朝行くことにして、カストロの村の中心地の道路わきに駐車した。この夜は強風、雷雨で村は9時には人通りは絶え、一晩中吹き荒れた風雨以外には何の音もしなかった。
雨の上がったこの朝、城砦へ向かう村での一角で雨具を着込んだたくさんの若者を見かけた。この小さな村にこんなにたくさんの若者がいるかしらと思いつつ、城への坂道を登った。クレモウツィ城(Chlemoutsi Castle)は13世紀に建立された大きな城砦で内部はほとんど崩れているが、城壁と城の一部はいまだに健在だった。
城からの帰り際に一人の若者と出会い、彼がアルバニアからの出稼ぎ人だと知った。アーそれで今朝の若者の集団が・・・・と判った。アルバニアはまだEUには加入されていないしこのバルカン半島では一番貧しい国だ。見たところ大学生くらいの若者たちは、ギリシャのオリーヴ収穫のための助っ人として雇われているのだろう。
午後には開いているはずのキャンプサイトへ行ったが誰もいない。サイトは開きっぱなしで七面鳥の夫婦があたりを歩き回っている。オス鳥は私たちを威嚇するため羽毛を立てて膨れ大きく見せていた。本当にかわいくない鳥だ。