季節を描く

季節の中で感じたことを記録しておく

「東京の猫たち」展(目黒区美術館):小野木学《「ねこの王様」挿絵原画》(1974)、山下菊二《そこあさり》(1955)、柴田是真《猫鼠を覗う図》(1884)等々!

2022-06-06 11:43:37 | Weblog
★小野木学(オノギガク)(1924-1976)《「ねこの王様」挿絵原画》(1974)練馬区立美術館
怖い民話の挿絵だ。おばあさんは木こりのおじいさんのかえりを暖炉の前で待っていた。おばあさんの膝には黒猫のトムがいる。トムはまるで人間の言葉がわかるかのような賢い猫だった。やがておじいさんが帰って来て言った。「森の奥で黒猫が現れた。すると突然その猫が二本足ですっくと立ち上がると、森の奥から11匹の黒猫が柩を担いで現れた。『黒猫のチムが死んだ。チムが死んだら次はトムが猫の王様になる』と猫が言った」。すると今までおとなしく話を聞いていた黒猫のトムが立ちあがると「なんだって?チム爺さんが死んだ?だったら今度は僕が猫の王様だ!」と一声叫ぶと煙突を駆け上がり、そのまま戻ってこなかった。黒猫トムはチム爺さんの死を待っていた。  

★山下菊二(ヤマシタキクジ)(1919-1986)《そこあさり》(1955)豊島区
この画家は山村工作隊、小河内ダム反対闘争、松川裁判、安保闘争、狭山裁判などに関与した。また新潮文庫の大江健三郎作品の表紙を描く。 1975年に筋萎縮症と判断され、1986年死去。とらえがたい現実を超現実主義の方法で戯画化した。

★柴田是真(シバタゼシン)(1807-1891)《猫鼠を覗う図》(1884)板橋区立美術館
この画家・漆工は1873年ウィーン万国博覧会に《冨士田子浦蒔絵額面》を出品、進歩賞牌(ショウハイ)を受賞して以来、内外の展覧会で多くの賞牌を受けた。絵画では小粋(コイキ)な題材やユーモラスな内容の俳味ある作品を残す。