本展は、キャメロンの生誕200年を記念した国際巡回展の一環である。
キャメロン(1815-79)は、英国の上層中流階級の女性写真家。48歳の時、子供たちからカメラを贈られたのをきっかけに、写真術を身につける。そして、記録媒体だった写真を、芸術に引き上げた。
「肖像」「聖母群」「絵画的な効果をめざす幻想主題」(アーサー王伝説など)のテーマ群がある。
「肖像」には、ヴィクトリア朝の有名人たち、またラファエロ前派の画家たちがいる。チャールズ・ダーウィン、アルフレッド・テニスン、ロバート・ブラウニング、ジョン・エヴァレット・ミレー、エドワード・バーン=ジョーンズなど。
19世紀、ヴィクトリア朝の時代の人物たちが、キャメロンの親族、使用人、近所の子供たちを含め、臨在感をもって撮影され、生々しい。
「聖母群」で、聖母のモデルを主に演じたのは使用人の女性。彼女は、母親とともに物乞いしていたが、あまりの美しさにキャメロンが驚き、使用人に雇い、教育も施したという。