クロード・モネ(Claude Monet, 1840-1926)は印象派を代表する「光の画家」。彼は1883年、42歳の頃よりパリから約80キロ北西の小村ジヴェルニーに住む。この村はモネが描いた睡蓮、積みわら、ポプラ並木などの作品で有名になる。多くの芸術家がジヴェルニーに集まり特にアメリカ人画家を中心に芸術家村(コロニー)が作られた。
Ⅰ 周辺の風景
セオドア・ウェンデル「花咲く野原、ジヴェルニー」(1889年):画面を上下に隔てる濃い緑の垂直の木々が自己主張する。印象派的に明るいが、同時に構成的な作品である。
クロード・モネ「ジヴェルニーの冬」(1885年)をモネは戸外で描いた。いかにも寒そう。冬のどんよりと曇った空、また一面の雪景色が光の中にひろがる。
クロード・モネ「積みわら(日没)」(1891年):夕暮れが不思議なくらい明るく赤い。非現実的な臨場感がある。
Ⅱ 村の暮らし
ジョン・レスリー・ブレック「積みわらの習作:秋の日1-12」(1891年)は12枚の連作。一挙に全作品が並べられていて壮観。異なる光・影・色が、同じ構図・風景において示される。(挿画は「積みわらの習作:秋の日7」)
セオドア・ロビンソン「婚礼の行列」(1892年)では斜めの筆遣いが動きを表現する。
Ⅲ 家族と友人
リーラ・キャボット・ペリー「自画像」(1889-1896年):リーラはボストン生まれの女性でペリー提督の甥と結婚した。夫が学者で慶応大学で英文学を教授した。1898-1901年、日本に滞在。1905-1909年、ジヴェルニーで絵を描きモネと交流。
Ⅳ ジヴェルニー・グループ
フレデリック・カール・フリージキー「百合の咲く庭」(1911年以前):印象主義的で明るい。多数の白い百合の花が緑を背景に装飾的。
フレデリック・カール・フリージキー「水のある庭」(1910年頃)は庭の緑が美しく鮮やかである。光が描かれている。
ピエール・ボナール「にぎやかな風景」(1913年頃):確かに、にぎやかである。異なる形の木々。様々なポーズをとる人々。犬もいる。ポスト印象派の絵画。
ブランシュ・オシュデ=モネ「ジヴェルニーの庭、バラの小道」(1926年以降):ブランシュはモネの義理の娘。花が美しい。特に小道に広がる花々の赤い色が鮮烈である。
クロード・モネ「睡蓮」(1897-1898年):モネは57歳のとき庭に大きな池を造る。そこに睡蓮が浮かぶ。幻想的で魅力的。
クロード・モネ「睡蓮、水の光景」(1907年):題名の通り主題は水である。睡蓮が水に溶け込む。水が中心で前面に出る。
クロード・モネ「睡蓮、柳の反映」(1916-19年)は眼が悪くなったモネが描いた世界。水面に映った柳が睡蓮を圧倒する。抽象的表現主義の誕生である。モネの情念が縦に描かれた柳の激しい線の動きに示される。柳は現実でなく情念を表現する。