スワートゥワーフェグは続けます。
「その連中の惑星捜索判断の基準をついに探る事が出来たのだ。
それはな、軍事力の弱さ且つ、進行中の軍事摩擦の存在の有無であったのだ。
お前達シュワクイレイーズダー星は連中の脅威に晒されていたのだ。
軍事力の譲渡はお前も知っている通り、双方に禍根を残すのだ。
宇宙の常識だ。
ならんのだ。
軍事部門への多大な外来血液の流入は科学力の溶血反応を起こし、その惑星はいずれ滅びてしまうのだ。
だから、上の状況下でお前達にとって最低限度の副作用で最大利益を齎す手法が必要だったのだ。
それがお前達への脅威創出による強制軍事同盟だ。
お前達シュワクイレイーズダー星を見捨てる事は出来なかった。
私達以上の暴虐さを誇る、惑星資本強奪主義者の連合、ヌァーズケイーングルダンの勢いがシュワクイレイーズダー星の吸収で増す事になるからだ。
弱き惑星達は連合してもヌァーズケイーングルダンには勝てないのだ。
私達は同じ力の帯で異なる衣を束ねる必要があるのだ。
ヌァーズケイーングルダンはかつてこう言っていた。
“私達への連合加盟が最大幸福を齎すのだ。
技術契約の安保は幻想だ。
宇宙とは究極の力に向かうべきなのだ。
私達は力の摂理に従っているだけだ。
即ち、弱き力は強き力に奪われ、その際言語介入や意志の決断許可は力が許容しないのだ。
私達とて、より強大な力には屈する。
私達はこう考える。
力の極大点に向かう宇宙の意志の群れは、弱き力同士の雑多で不要な摩擦の総数を低減する。
そしていずれ出現する、宇宙を束ねる強大な最小単位の力が招来する宇宙の形成は弱き力の惑星群に安保便益を最大量齎すであろう。
力の極大点への意志の群れは、弱き惑星群には演じる事は不可能なのだ。
そして、この宇宙安保形成法は現況の宇宙において、最大最速最大効率の便益を齎すと算定したのだ。
急ぐのだ。
力を求めるのだ。
力を奪うという事だ。
強奪を許容するのは力なのだ。
強奪が許容されるのは貧弱な力なのだ。
強大な力のみが相互脅威による拮抗を生むのだ。”
貧弱な力は摩擦により無となるのだ。
無となる前に力を収集するのだ。
急いで力を奪うのだ。
その時の民の涙は、子孫の笑顔で肯定せしめるのだ。
力で肯定せしめるのだ。
皆が一度は力に涙するのだ。
皆が力を求めるのだ。
力を求めても得られない者は死んで行くのだ。
だから代わりに力を奪うのだ。
力で力を奪うのだ。
その時流される涙の量は、滅びゆく星々ではいつも等量なのだ。
いつの時代も変わらないのだ。
ならば、宇宙の惑星相互摩擦が最大化し、滅んでしまう前に滅ぶ星の数を最小にし、全力で力を収集する意志を形成し、最大極点に向かうのだ。
我らに遭遇した惑星の民にこう告げよう。
弱き者のあらゆる涙は宇宙どこの誰にも伝わるのだ。
そして涙は恐怖と、力を生むのだ。
次に力は恐怖と涙を生むのだ。
つまり、力は力を生むのだ。
強大となった力によるさらなる恐怖はあらうる涙を、どうすると思うか。
相手は答えを促される。
相手は涙を拭うと答える。
そうだ。
だからだ、弱者は涙と恐怖を生めば良いのだ。
力のためだ。
即ち、未来の弱者のためだ。
お前達は力に泣かなかったか。
泣く回数を減らしたいだろう。
そうだ。
私達もだ。“
ヌァーズケイーングルダンはそう言っていたのだ。
ウェグネダーオズよ。
ヌァーズケイーングルダンをこれ以上のさばらせておけば、力の極大点において、力を統御出来ないであろうヌァーズケイーングルダンはいずれ宇宙を破壊し尽くすと見ているのだ。
あの連中に政治意思の統御機構は無いに等しいのだ。
高尚な哲理がありそうにほのめかして、強盗に耽る宇宙海賊なのだ。
私達は社会学理論を駆使してそう見抜いたのだ。
あの連中はそして既に強力な軍事力を持っている。
必要なのだ。
ヌァーズケイーングルダンに対抗する力がな。
分かってくれ、シュワクイレイーズダー星人よ。」
賊共の哲理
千五百七十八青字