青龍神界鏡

次はまた首相してみんかお前。
https://www.youtube.com/watch?v=CsI7GSs4d1s

メンカウホル王の無頭ピラミッド

2013年11月22日 00時00分00秒 | 投稿

西郷は、無名である頃より大東流柔術を、こう捉えていた。
“藩上層部が、自己の肉体や身分を、服従せしめるが目的、と知らずまま全身を委ねるべき、黒き満月の光。
厳しき修養。
照る月は、必ず人を狂わせる。
抵抗は人に能わず。
詩編、学問の伝道営為で、人への仕え作務坊主を演じたところで、報酬への手の伸びは、天狗の縮地技。”
齢十七にして、会津藩の剣術顧問であった惣角と出会いし西郷は大東流の躍進を図っていた、のではなく、体得した合気という技術の在り様に従う形を選ぶ。
二人の顔はある時、暗くなる。
“柔術の本義とは、何ぞや
”との語りさえされずの謎の前に。
実践あるのみ、を二人は選ぶ。
互いは正座にて、向かい合う。
西郷は惣角に、両手首を握らせる。
全力で、畳へ、押し固めてみよ。
一度、西郷の手首は畳へ接着する。
惣角の上半身体重すら乗る西郷の両手首はしかし、造作も無く上へ浮いていく。
その際、惣角の両手首による力み痙攣は、消失してしまっていた。
互いに未知なる者同士、事前約束などは不可。
この意味の詠唱を、惣角は執拗に西郷により迫られていた。
惣角は西郷の意思を確信する。
お前に、この技を、伝授す、と。
惣角の頭には、この意思と、現在、眼前なる現象を問う何故、がこだましている。
“他者を、剣術発の風にて、斬り伏せる前後、それに要する約束事を自らに課し、実際実践する肉体人生を、求めざるを得なかった。”
故を、無に、する技が、運ぶ肉体を、己としゆく也。
西郷の顔は、こう語っていた。
柔術の本義は、歴史的に不明。
しかし、踊りくねる上半身は愚か、との嘲笑を避けたし。
そして、ここで今、正座を選び座す、二者は、そうした推移を、一切、僅かすら、失笑せず。
惣角は惣角の、西郷は西郷の。
それぞれは、剣術、合気と笑わざるべし、人を飛ばす烈風の根源を、技術を抱えていた。
柔術の本義
、不明との概括が、二者の対話にとっての、椅子と机だった。
そのいたたまれない、暗い指摘を知らずならば、惣角が、既に知る柔術をワラジに、西郷のそれへ接近し、藩最高標高なる剣術の腕前で喰ってかかる事態により、二者の対話は理解へは向かわずだった。
惣角は丁寧に、自己の剣術師範との立ち位置を西郷に伝え、技の伝承へ、能動的に応じるよすがの貧しさを告白する。
西郷は惣角を口説く。
頭を、押し出しての、貸し借りは当時、金よりも重きだった。
惣角が、西郷に、恩義を貸す、形で伝授の機会が成立していった。
西郷は早くから直感していた。
短期間の内に必ず、合気を体得するに至る筈、と。
道場で惣角の体操作を西郷が吟味する。
評価は、“類まれなる天賦(てんぷ)の才”、“時代は大動乱、この男は必ず人を斬り殺す、必ず”、“己が従う理力の素性を問えず家系、手癖荒き狂乱鬼、大量勃興と、これが既に欲望する固定資本の相関を断じる斬人”。
九カ月後、二人の座技は惣角に、現実物理を無視させ始める。
合気の片鱗だった。
それから一年後、惣角の合気は、西郷を上回る。
惣角は、西郷の教えの肝要点を、全て掌握していった。

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