二百二十三面目 花柄の筆箱を包む物は その十一 い

“北京を襲う力の主の居所を、難波で探している。
その者の政治意思と、力の存在を許さん。
北京が浴びている、無より突如沸く、硝酸水蒸気被害の規模はこれ程で、その数学的執拗さとは、恒常維持を噛む歯茎。”
このように難波の奉行所官権へ、北京、在るがままを明かし伝えたとして、北京が“医療診察及び措置表”を発行を済ませし医師からは京、上京へ至る線は何も拾えません。
一団は難波での滞在と、路上誰何(すいか)沙汰、攻撃的詰問を暫く続けた後に、北京へ引き揚げていきます。
程なくすると、上海と北京の間を動く貿易商社が奇怪な指標物と遭遇します。
数学的規則を頬に描画し、容易咀嚼を待つ奇怪果実は世に存在し得ず、目的は指示の発揮の筈と疑われていました。
貿易商社の本社へ郵送されて来たこれは郵送緒元曰く、郵送相手を、分社と本社で、間違えたようでした。
貿易商社にとっての取引相手を装っていた送り主は、本社が取引相手へ、次の取引に関する書類を発送する前の段階とやら、これも間違って選んでしまっていたようでした。
貿易商社が、奇怪な指標物を、輸送緒元曰く“間違えて郵送され”、存在を知るに至った事態の背後は、健全慄然の回帰の相でした。
上海、難波交易との、言わば往来激しき駅に、ふと掲示板の走り書き、激しい往来に紛れ潜む算術式を見詰める人数が立つに至ったようです。
北京が、上海の貿易商社を操る事で、没我の相である上海、難波交易から、体を背けさせた後の事でした。
奇怪な指標物に載る、上海の貿易商社への地下指示は、人、物、いずれへの堂々相対を認めておらず、無明知略の相でした。
“抜け難し網の深みへ陥らせていくべし。
北京と上海の間の、民生商品取り扱い業者を。
人間へ、商品選別という、迷いの網を掛けようとする生業共を。
抜け難し、と仄めかす網を、業者に握らせ、人に、掛けさせていく事で商品選別という、迷いの網の卸屋としての立ち位置を認めさせ、抜け難し業の深みに、落とし込むべし。”
北京市政が送り元を追っていくと、難波に存在するなる、物流関節機能提供企業へ辿り着きます。
“ここの生業は、網掛けだ。
まず、何かを追おうとする人間の選別状況を、迷いと侮蔑する。
こうして募る輩は、上品さを、世に提供能う企業、商品、サービスの蒸留、結晶化、上場を企てる、業界での売り抜け予定属性。
食品選別は、高尚なる迷いの時か、と嘲笑、侮蔑される、魚のように、網を掛けられたくなくば、我のように、唯一の下品を邁進すべし。
即ち、選別状況に立つ貴人女性数を原資と頼っての、確実なる美肌商品構想を。
こう、ほざいている筈だ。
この企業にとっての、いつでも投げ捨てられるとの自認の対象は、無言、満面の笑顔なる、若い美形女性、無数だ。
清潔長文、清潔文明構想原稿、筆記意欲、これらと抱擁し合う日々、これのみが、選別を、迷いと、侮蔑したがらせた、異常な知的性欲を正解告白する日記の筈。
誰何(すいか)すべしの路(ろ、大通り)の名は判明が近い。
路に沿い並ぶ家屋の窓は、異星文明由来文物、小物象限、容易手筈式流入を平然呼吸精神にて眺望する筈。
この路に、網掛け企業は立地している。”

二百二十三面目　　　花柄の筆箱を包む物は　その十一　う