懐かしのバレエ

バレエ、パフォーミングアーツ等の感想、及び、日々雑感。バレエは、少し以前の回顧も。他、政治、社会、競馬、少女マンガ。

週末

2013-03-31 01:30:51 | Weblog
週末は、数年前の、コンテ作品についてのドキュメンタリー画像を鑑賞。

記録がのこるって、貴重だ。
リアルタイムの時と、年月が過ぎてからとで、微妙に感想が違う。

●さて、日曜の競馬メイン。

産経大阪杯で始動のオルフェーブル・・・。柏木集保の見解(正直に書くよね~)が、当たってるんじゃないか?と、この後の見通しに、敗北主義漂う自分。

こんなメンタリティでは、いけないかな。

姿を見るのが好き。オルフェ。

ジェンティルは、ドバイでソラ使ったりしてないかな?

(あ、何か、今日って、私、敗北主義モード。明日は逆になるかも。)

土曜の競馬番組で、井森美幸がお別れしてたみたい。彼女の予想好きだったのに。

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冒険

2013-03-30 01:45:30 | バレエ
4月以降のバレエ公演の宣伝を見ながら・・・。

自分の先々の予定が不確定で、チケットが買いづらい状況ではある。

・5月「マラーホフの贈り物」
一回前の仲間たち公演で踊られた、「ペトルーシュカ」は、衝撃だった。

同じ演目を、私は昔から何人ものダンサーで見てきたのに。
マラーホフと彼の率いる集団のそれは、ぜんぜん違った!

「上演する」って、本来こうあるべきなんだ。でも、そうでなく、こういう公演に比べれば、練習みたいな舞台を、私たちは常日頃、たくさん見せられている。

「バレエ・インペリアル」も、他の追随を許さない芸術性。
この2演目は、上演を通じて、作品を教えられてるようだった。

こんな調子だったから、今回も何かやってくれるんじゃないか、と思ってた。
でも、演目はベーシック。

ただ、友人はマラーホフの「ジゼル」、高評価だし、定番演目で、円熟期の 舞台を見せる行き方?とも思うけど。

ダンサー本人の意思ならいいけど。

ザハロワが、新国立客演してた頃、演目『ジゼル』の予定が、いつのまにか『白鳥の湖』に変わってた、とコメントしたことがあって、やっぱり日本だとどうしても、そうなりがちなのかしら?、とも思う。無難でおそらくお客さんが入りやすい、と主催者が思う演目・企画になりやすい。

ベルリン国立バレエで上演された、少し別の系統の作品なんかも、ちょっと見たかった気もするけど、未見なので、あまり自信を持っても言えない。
(友人の中に、ドイツその他でもバレエ見てきてた人もいて、ドイツのコンテについて、あれこれ言ってたので・・・。もし日本での上演に向かなかったら何だから、強くは言えない。)日本人が好むと言われる、端正な古典だけじゃなく、コンテ系とかも、全幕、幕物も、ほんとは見たかった。小さく、呟き。(でも、お客さん入らなかったら悲惨だし・・)

・5月 パリ・オペラ座『天井桟敷の人々』
元ネタは昔の高名な映画だから、それだけなら見たい所。しかし、新作で知人の中に誰も見た人もなく、振付ジョゼだし、ちょい冒険?と迷い。さらに2キャストのどっちがいいの?と迷ってたら、チケット売れてきてる。やば。

『スワン・マガジン』の舞台写真、写真だけなら、見たくなるような舞台衣装。写真写りの良いマチュー・ガニオ。

前回世界フェス、会場では、超受けってわけでもなかったコンビ、アニエス&ステファン・ビュリオン『椿姫』。私は、良かったと思った。この二人には、ドラマが感じられたから。大スタータイプじゃないし、私の好みというのではないけど、ビュリオンは、アルマンとしては、説得力あった。

(アニエスは、かつて知人にもファンいたし、キャリアも長いけど、スターの名声だけで押す演技じゃなく、地道に役・作品を育て練り上げてきた演技に見えた。その辺が、やはり競争の激しい大バレエ団のプリマ。女の悲しさとか、誇り高さを感じ。情熱だけでない、気位高さだけでもない、一つの正統的な椿姫像を見たように、自分は思った。

色んな椿姫がいるんだな~と思って。ギエム・ニコラ組の、可愛いげも脆さもある女と、情熱的な男の、愛だらけの椿姫も、定番とは違った良さがあったけど。

恋愛する女としては、ギエムに共感できる部分もあったけど、椿姫としては、アニエスの方が正統的かな?という気がした。あ、全く主観的感想で、パリオペラ座詳しい人から見たら、外れた感想かもだけど。自分が舞台でインスパイアされたのは、こんな感じ。)

ガニオもビュリオンも、パリ・オペラ座のダンサーは、全体は低調だった、あの回の世界フェスの中で、やはりパリ・オペラ座は格が違うと思った。腐っても鯛、舞踊スタイルのアカデミズムとか、アーティスティズムの面で、客観的に見て抜けてると。(私、パリ・オペラ座、ファンじゃないですが。)

そしてマチュー。スター性ならこの人の方がある?のかもしれないが。
清涼飲料水的な印象があって、もう少し、見てて胸ぐら掴まれる様なドラマティックさとか、+αがあれば、と欲が出てくるダンサーでもある。

マチュー・ガニオ&シアラヴォラだと、私生活上のカップル(現在形かどうか知らんが)特有の、格別の情愛表現が期待できるかも?という、希望的観測もあり、

結局、この2キャスト、1公演だけにするなら、どっちがいいのか、さっぱり決められなかった。(早く買わないと、少なくともマチュー・ガニオ&シアラヴォラの日は、無くなりそうな気が。)

正直、振付が愚作だったら、どうしよ~?という一抹の不安は、先行したのだけど。

・英国ロイヤルバレエ『白鳥の湖』
え?このバレエ団で『白鳥』?と思った。コジョカル一番人気。
このバレエ団では上演珍しい演目、たまにやって、かつ1日だけこのキャストなら、確かにチケットは売れると思うが。私がコジョカルで見たかった全幕は、例えば「マノン」だったけど、彼女は、そういう段階ではなくなりつつあるのかな。見る機会を逸したかも。

一般的な傾向かどうか分らないけど、自分の周囲は「新しい演目」や、珍しいのに弱い。
「白鳥はもう見ない」、なんて言ってる知り合いも、こういう企画は見るでしょう。

そんなに人気じゃないけど、見ても良いかと思ってたマルケスが、マックレーと組むので、自分はパスかな。

『不思議の国のアリス』こっちの方が、英国ロイヤルって感じ。でも、ほんとに『白鳥』は、集客力あるらしいから(あれは謎)、自分らには、なんとも言えないな~。

・4月、マニュエル・ルグリの新しき世界

ヴィシ&フレンズ公演のタイトルが「華麗なる世界」。
ルグリが「新しき世界」か~。そ~ですか~、と思うけど、ルグリは、うまくキャリアチェンジに成功したっぽい。メンツの一部はパリ・オペラ座より格下だけど、チケットの売れ行きは、この位の企画の中では良いと思う。

それにしても、チケット買いに迷って、チケット購入サイトを見てると、人気公演、人気曜日、人気ダンサー、露骨に出るので、やる方は大変だな~と思ってしまった。

マラーホフのファイナル公演の案内見て、改めて思ったのは、日本だとやっぱり寄せ集めのガラ公演がパラパラ入るのだけど、ずっと見てきてるようでも、全く見られない全幕物の名の通った作品があったり、とか・・・。
それと、似通ったダンサーが別のよびやさんも含め、あっちこっちのガラに同じ人が出てくるのも、ちょっと気になってる。

何となく似てきて・・。

その意味で、以前のマラーホフのニジンスキー記念の企画とか、テーマを持った公演が以前打たれたのは良かった。

長くなったので、他の公演の話は割愛。偏りすまん。


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震災チャリティコンサートとか

2013-03-29 03:01:43 | バレエ
(グラン・ガラ)
東京では、20日オーチャードホールで、「グラン・ガラ・コンサート」が行われ、
仕事あって行けないし、と思ってスルーしたけど、休んで行っても良かったかも、と後悔。

実は私、この公演がチャリティだと知らなかった。チケットの内、1000円分が、被災地の義援金になるという企画だったので。(+企画者が、キエフで活躍したバレリーナさんだったので)
それなら、ちょうど1年過ぎて、何かした方がいいかなと思ってた所だったし。

仕事にかまけてるとダメですね。情報に遅れてしまって。

自分的には、キエフのハニュコワが出てたので(マニアックですが)、それが、未見のブルックリン・マック(ヴァルナのメダリスト、だったかな)と組んでたので、ちょっと見たかった。

(一般的には、目玉は、ボリショイのアラシュ、ボルチコフ、マリインスキーのエフセーエワ、コルプあたりかと思うけど。)
自分は、「ライモンダ」「スパルタクス」は、来日公演で、ある程度見たし。

ところで、出演者リストの、キエフのワーニャって、以前の表記がヤン・ヴァーニャだった人ですね。最初誰かと思った。

企画者の田北志のぶさんは、未見で、昔「ジゼル」の公演評を読んだ位の知識しかないけど。それと、「舞台監督・演出 アラ・ラゴダ」とあって、ちゃんと監督がいるのも良かったし。この人は前に名前見たと思うけど、詳細失念。

それと、「東京エレクトロンpresents」って冠ついてて、これって、あの東京エレクトロン株式会社?(私事ですが、昔、株やってた時、買おうか迷ったことがある会社なので、社名覚えてただけ。)

今までバレエで見なかった企業名も、こういう所で見られるといいですね。

バレエ公演は、一般のチケット売りが前より厳しくなってきてて、協賛企業とかの重要性が、増してきてるのかも?と、前回ボリショイ来日公演の時、思いました。

この公演は、東京と東北で行われてたのも、良かったのではないかと。
今まで震災復興のバレエコンサートは、どちらかになってたけど。

(フィーリン事件)
続報が時々入ってて、ワイドショーとかでうわべの話は報じられてるけど、結局良くわからないことに終始してて。一方、現芸監体制下の金銭の問題も出てるみたいだし、日本の新聞で報じられてるのとは、多少実際のポイントは、違うんじゃないかと思ってます。

大バレエ団は、露に限らず、昔から色々噂はあるのだけど、表面化したことが、今回の件は変わってるのかも。

ちゃんと生っぽい情報を出してくる報道機関はいいけど、中には、かなり古い情報や、外れた話を出してくる(ウェッジとか)媒体もあって、便乗派のやる事は、ちょっと迷惑。読んじゃった自分も間抜けだけど。

・とりあえず、例えば、オッシー&・ワシリエフのミハイロフスキー移籍の件は、今度の件とは、関連付けないで欲しい。(バレエマニアの独断偏見で言わせて貰えば、スターシステムで上がった若者のわがまま、Or やり手マネージャーの暗躍?)彼らが出たのをフィーリンのせいにされたら、フィーリンが気の毒。ギャラや待遇の良い所に移籍するダンサーなんて、色々いるのに。移籍直後の、ワシのダンマガ・インタビューには、引きました。

・ラトマンスキーも関係ないから!同じ話、いい加減にやめてほしい。彼のコメントは、もういい。その他便乗組の話も。(ラトマンに本件の情報が入るくらいなら、警察も苦労しないと思うけどね。)
ツィスカリーゼが完全に関係ないのか、少しはあるのか知らないけど、せめてツィスカリーゼに近いとか、或いは芸術監督の座を狙ってる位置の人とか、事件に関連しそうな所から話を持ってきてくれないと。海外で名の通った人の話を優先させてる媒体は、NG。
イクサノフ総裁のコメントなら、上記よりはましだと思うけど、ただ、何だかこの件、騒がれるだけ騒がれて、真相は藪の中か、或いは真相と違うことが、真相として語られて終わっちゃったりしそうな気も。

そうなってくると、結局、うちらには、舞台画像(入手しにくいもの)で何か出ないかな、ということに興味が帰着しそう。

・本題の新ネタ、もしくはレア舞台画像だけにしてほしい。
・ブログに書いちゃったけど、ネタとしては受ける「白鳥志望バレリーナの恨み」説も、どうも事件の根幹とは違うみたいで。

個人的には、出てきた話の中で、金銭の話は、あると思ってる。

・舞台の方は、マトヴィエンコが、スパルタクス役のゲストで名が出てたので、どうなのか~?と思った。良ければ見たいけど。フランス公演では好演だったとあったけど、少し年月流れてるし、ハードな役だから。彼は今、どの位踊れるのか?と思って。

出来にむらのあるタイプで、自分は、この人の最高の踊りの日に、当たったことがない。
でも、12月のジゼルでは、エンジン全開じゃなかったのかもだし。(芸術監督業してない時の方が、ダンサーとして全開しやすいのかも?と、疑ってる。)

・誰かがぽしゃれば、誰かが出てくる世界。スパルタクス役と、イワン雷帝役とか、次に誰か、当たり役にするダンサーが、出てくるんだろうか?

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『カラマーゾフの兄弟』 顛末

2013-03-27 23:06:56 | Weblog
このTVドラマの件で、2月にトラックバック貼って下さってた方があったことに、ずっ~と気づかなくって。(おいおい)もう1ヶ月過ぎ。

せっかく取り上げてくださったので、今一度、『カラマーゾフの兄弟』譚を。

<先週土曜の最終回>

・け、結末が、違う~~~!

原作では、「長兄ミーチャが無実の罪に落とされ、シベリア送りに!」って筋。

ソ連映画は、
判決にもめげず、ミーチャへの愛を貫くグルーシェンカ。真実の愛もいいけど、シベリアは寒すぎる。愛を得て、かつ流刑に落とされる長兄。天国と地獄が同時に来た、ああこのアップダウン!これって、運命の貸借対照表?!

みたいな感じ。筋だけならそんな話を、愛主体で原作よりシンプルにまとめてた。
原作は、もっと別の意図があるんでしょうけど。

映画は映画で好きだった。

長兄を救おうとする次兄の奮闘(その途中で発狂)も空しく、令嬢カテリーナが出した証拠によって、判決が決まる。

ミーチャを愛するグルーシェンカ、ミーチャの元婚約者カテリーナが、ミーチャを有罪にする証拠を出した時、カテリーナを悪し様に罵る、美女二人の火花散るバトル、とか。
また、美貌の令嬢が、激しくミーチャを糾弾しながら証拠を出して有罪を訴える等々、ドラマを面白くする要素も抜けたし。

そう、次男の発狂シーンなんて、役者がやりたがるシーンだし。これもなし。

ドラスティックな運命に翻弄される要素が抜けると、カラマーゾフ・ワールドでは、なくなっちゃうような気が・・・。

・ただし、自分は単純だから、てっきり原作どおりやると思ってたから、結末を無罪を180度変えちゃったのは、大胆な改変というか、自分なら思いつかん。

・でも、やっぱ、せっかく今までTVドラマらしくない異色な雰囲気で盛り上げたのに、最後にこじんまり小さくまとめてしまって、って、ちょっと勿体なかったような気も半分。ただ、TVドラマにしてはよく奮闘したし、最後のまとめとしては、こんなもんか?という気も、半分。

サブタイトル、「『カラマ兄弟』最終話、露文豪モノのドラマ化、その奮戦とTVドラマの限界。」ってな。

・最終2話は、鬼親父がいなくなって、末松さんが主役。とくに前半は独壇場。

前半の「心の闇」はどこへやら、最終話で、いい人ぶりっ子に豹変した3兄弟。

主人公たちの、えせ正義のつまらなさ。
真犯人、末松の歯切れの良さ。迷いなき確信犯っぷりを、「潔い!」と勘違いしたふりして応援したくなっちゃう、心のカラマーゾフ・ワールド。
っていうより、これはもはや、別ドラマの「サキ」の世界、みたいな?。

演出、どこを間違ったのか。見てると、悪のはずの末松がかわいそうで、善玉3兄弟が欺瞞3兄弟に見えてくる。どっちが主役?みたいな。

ま~、末松がちょっと面白かったから、い~のか?

元々原作のドストエフスキーが、昔のロシア階層社会育ちで、そういう欺瞞を内包してるんだろうけど、それにしても、次兄:勲の、正義漢ぶった顔の下の、心の冷たさには、引いた。末松に対しての。

三男:涼、一箇所だけだけど、”これで末松が捕まれば、満兄さんは釈放だね”とか、そういうセリフを、あまりにも無邪気に言ってのけて、引いた。涼は、前半の目がガラスみたいだったり、善良そうでも、実はそんな単純じゃないかも?、ってな描写の回は、演技も良かった。また杉卓工務店関係で、身に突きつけられるものが合った時は、良かったのに。

最終回近くなって、演技も全てワンパタで、かわいこぶりっ子の、やな男の子になってしまった。悪の華:父・文蔵が、「涼のいい人ぶりっこも、時々鼻につくな~」とかいってたけど、その通りの人に。

長兄:満。
末松に「能無し」呼ばわり。その通りの人物で終わった。

ソ連映画のミーチャは、最後に極刑・理不尽な現実と引き換えに、いい男に成長するのと対照的。これって、ドラマ演じてる俳優の個性も関係あるのか、台本のせいなのかは、よく分らなかった。

ミーチャは、グルーシェンカに惚れて、彼女が元彼に会えて幸せになれるなら身を引こうと思ったり、元彼が彼女の金目当てと分り、気丈な彼女が深く傷付いてると、ジプシーらに遊興費用を渡し、彼女のために場を歌や踊りで盛り上げて明るくして欲しいとたのんだり、恋の成就に、納得できるシーンがあった。女に惚れて、失敗もするけど、人間的に成長してるように見えた。

満は、最初の加奈子への思いやりと引き換えに,仲間にボコボコにされた箇所以外は、後半はダメ男で終わった。

この人って、結局、親の財力や女に頼るばかりで、自立できずに終わってたし。この人位暇があれば、無能でなければやる気あれば、自立くらい、夢ではないと思うのに。
くるみと別れてくれ、と鬼畜親父に頼んでも、彼女をちょっと蔑まれて単純に切れて深い考えもなく、親父を殴って執事を怪我させて恐くなって逃げるとか、戦略なさ過ぎ。

何も変わらず。

前回、刑務所で自分の弁護に来た次兄を、「お前、親父と同じだな」と、相手が最もダメージを受ける言葉で攻撃した所までは良かったのに。
ダメな兄なりに、コンプレックスや、人間的なものが滲み出てた。
こんなダメ兄でも、加奈子の件だけは勲に勝ってて(?)、この2兄弟のケンカのシーンは良かったのに。

いい年して自立できない情けない男の部分は変わりなく、「俺にはお前たちがいる」で終わって、しらけた。

ミーチャは、自分から女を愛してるんだけど、満にとって女って甘える以上の存在ではないことも、最後は鼻についた。それというのも、彼が、これ以上にジゴロ型の色男でもなく、本質的にボンボンだから、なのだろう。

勲は、少し前の回で、満に同棲を解消されて悲しむ加奈子の傍にいて、慰める言葉もなく、「去った兄への復讐で、君は俺に接してるんだ」という意味の事を言ってて、(映画のミーチャと対照的な女への態度。)この時は、本質はエゴイスト、という台本の内容になってた。だから、「悪魔な親父を持ち、余裕のない心で生きてきた、その生育過程でエゴイズムをベースとした青年」というキャラ立てなら、最終回の勲の末松への冷たさも、演出として納得できるんだけど、しかし、最終回の勲は、善人として描かれてるんよね。

そこが、大コケ。

末松は、悪魔な父に捨てられた母の私生児として育ち、気の毒な境遇のなか、歪んだ考えをまっすぐ信じて支えにして生きてきたみたいだし。
(それに、満の無能に比べ、随分、目的遂行力では有能みたいだし(殺人計画実行力ではあるけれど)。有能な使用人だし。)

演じた俳優によっては、もっと怖い人に見えてもよさそうなキャラだけど。
結果的にかわいそうにみえて、おいしい役だったかも。

ま~、もっと別の俳優がキモく演じてたら、彼を怖いと思う勲の気持ちに同化して見れたかもしれないけど、とりあえず今回のドラマ上は、多少歪んだ性格でも考えでも、変な人でも、境遇が境遇だし、理解は出来る部分もあるし・・・。

少なくとも満や涼のようなつまんない坊ちゃんより、自分の力でなんとか人間的に誇りを持って生きようとしてる所とか、目を引く部分もあるし。

あんな鬼畜親父の私生児で、虐げられた生まれ育ちの中で、容姿端麗頭脳明晰、そして野卑な父に比べ、品のある勲に光を見出し、彼が自分の兄であることを自分の基盤にした半生。妙な思想性にせっつかれて父を確信犯的に殺したけど、こんなエキセントリックな人物が支えられてる基盤を、言下に否定し拒絶する勲。

人間的に、いまいち。
何となく、勲、(満も涼も)末松を自分と同じ、対等な人間とは思ってなさそうな(使用人だったから当然なのかも?だけど)所が見え見えで、そこが鼻につく。

末松に潜む残虐、冷酷、中が空みたいな所が勲には怖かったというなら納得できる。でも、そうじゃなく、勲たちには無意識に一定の優越感?があって、末松の立場になって考えれば、とか、そういう同じ地平に立っての人としての心の痛み、みたいのが、彼らには感じられない。歪んだ人でも、見るべき所が一つもない人には見えないし、彼が正しいというわけではなくて、もっと大きい心で、この人を見れなかったのか、と。

マリア様みたいな人が、死んだ末松の魂が静まるよう、お祈りしそうな人物だと思う。末松。

妙に有能なのに、反面幼稚な精神、かつ、高潔と見まごう部分もある。確信犯で殺人した彼の心をおもんばかって涙する、そういう感性が勲にはなく、そこが見てて辛かった。

★ほんとは主役は勲だったはず。
次兄イワンは、殺人教唆の罪の意識で発狂する。

ドラマの方は、次兄勲は悪くなく、空想小説と言うか、妄想の吐露に過ぎなかった作文を、歪んだ精神を持つ復讐鬼の末松が恣意的に解釈し、お前も共犯だと、勲に言いがかりをつけているに過ぎない。勲は悪くない内容。

原作は、そもそもイワンがインテリ病で、ついスメルジャコフに余計なこといっちゃって、(すべては許される)、真に受けたスメルジャコフが癲癇の発作にかこつけて、悪人フョードル・カラマーゾフを殺す、と、イワンの罪の意識の根拠がある。

それで、やっぱ半分はほんとに自分も悪いから、というより、イワンの近代的な?思想性と、キリスト教の葛藤?みたいな日本人には分りにくい部分もあって、イワンは法廷で狂う。

勲が罪の意識、或いは原罪の意識に苛まれるような展開があって、市原の狂気の演技が見られる展開があったら、彼もやりがいが、さらにあったんじゃないかしら?。

★俳優としては、文蔵役の人が最も印象的で、とても不思議な存在感に終始。悪役だけど、愛嬌もあって。設定は、原作よりもっと悪い男。
他の男優陣も適役だけど。
最終回は、殺人シーン、無表情に近く、迷いなく置物で殴る末松。逃げ惑う強欲な文蔵、この二人の場面が、演技的には一番良かった。

★加奈子は、原作のようになると思ってたから、あの普通のお嬢さんが、どう冷酷な女性に変貌するのか?と思ってたのに。「長兄を無実の罪に落とす女性」の部分が消えて、普通の可愛い娘さんで終わってしまった。

★3兄弟の描写は、前半に深さがあった。最終回ではライトになり、前半の印象を忘れそうで、惜しかった。くるみと満、加奈子の男女関係も、なかなかいい描写な時、あったのに。

加奈子は自分と他の女を比べてるけど、男女関係が壊れるのって、必ずしもそうじゃない事は、満の真情と露に出てた。彼女の欲しいものが、俺のポケットには無いと言ってた。
途中までは良い所色々あったのに。最後があれだと安い男に見える。

★涼も、有徳者の先生と紙ヒコーキ飛ばしてた回とか、良かった。あの紙ヒコーキ、どこでアイデア貰ってきたのか。

最後の浜辺での勲は、大学の学食のカレーで女を口説いてて、源氏の夕霧みたいな、くどき下手に見えちゃった。市原の芝居は、昔の映画の主役の人みたい。(高倉健とか)今風と少し違うかも。

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高松宮記念

2013-03-25 01:13:22 | Weblog
おっ、ロードカナロア、勝ったじゃないか~、すごいじゃないか~。レコード!
と言う深夜帰宅組。いや~、ど~なるかと思ってたけど。

レース前、「土をつけてはいけない馬」とか、「???」なこといわれてて、

「競馬に絶対はない」、とか、短距離G1の圧倒的人気馬の勝率は弱いとか、・・・
内心思ったけど、そのわりに馬券はカナロアの相手探しにして、しょぼく馬連当てただけ。自分の予想能力では、3連単とかにしなくて良かった。

レース前、「(勝つ責任感で)胃が痛い」といってた、岩田騎手、勝ててよかったね。勝ってしまえば、さすが、で終わる。人馬とも実力だったとしても、「不測の事態もあり、」が競馬だ・・・・って思うのは、・・・素人?。

競馬番組の録画を見たら、休養中の後藤騎手が出演して解説してた。
あとで録画見よっと。

買いたくなる馬名の馬の多いG1だった。バレンチノもそうだけど。他もなかなか。
目線移せば、桜もきれい。

話変わるけど、私はG1位しか最近観てないんだけど、土曜の競馬をたまたまちょっと見たら、エビショーがメイン勝つのを見れて、ちょっと嬉しかった。(自分が競馬見られる時が限られてるので、この人の勝つのを、この頃見てなかっただけで、皆それぞれ私の見てない時、結果出してるんだろうけど。若者もいいけど、熟練組もそれぞれ順繰りに、チャンス巡って勝つのを見れると、楽しい。)

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バレエ雑誌とか

2013-03-23 01:56:13 | バレエ
「スワン・マガジン」というバレエ本を本屋さんで見たら、冬に見たキエフ・バレエ来日公演の特集が出てました。

マトヴィエンコ、フィリピエワ、シドルスキー、新星チェヴィキナ、ゴリッツァ等インタビューも6人位あって、舞台写真も、それぞれが見栄えのするのが複数写ってて(吉田都+パートナーもあった)、公演全体を俯瞰するには、なかなかいい記事でした。


★桜をとりあえず見た日。桜色の服の3姉妹がそばで遊んでて、可愛らしかった。
今年は来週の雨で散るかも、だって。花見は今のうち。

★今は投資時みたいで、投資家の人は、エンジンかかってそう。
自分は、投資やったのは昔で、今はやってないけど、
自分だったら、今のご時勢なら、儲かったら、小心だからすぐ売っちゃいそう。

不動産バブル再燃なんて、なるとは思ってなかった。
不動産関係の知人は喜んでるだろうけど。自分的には投資もしてないし・・・。

投資は、売り時見定めるのが、難しい。昔の職場の同僚は、「勉強すればそれは分かる」と言ってたけれど・・・?。


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僅かに

2013-03-20 02:56:28 | バレエ
19日朝のテレ朝で、ほんのちょっと、またバレエの舞台の画像が出たと、知人が言っていた。

例のゴシップで、一番気にしてたのは、内容じゃなくて、画像の出物はないか、なのだけど。
1月:日テレ、朝。ウヴァ様「白鳥の湖」
3月初旬:NHKと23時の日テレニュース番組。ドミトリチェンコ「ロミジュリ」(ネットで見られた画像より、新しかったと思う。
3/19 メルクリエフ&ボリショイのバレリーナ 演目不肖。

こんな感じで、僅かにTVに写った舞台の踊りの画像を、見れたら必死で見てたりする。
TVの大画面、高画質で見れると、ネットより画質がいいし。

ちなみに内容は、ボリショイの総裁イクサノフが、フィーリン事件の黒幕はツィスカリーゼじゃなく、別にいる。でも言わない、という話だったそうです。

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火の鳥が羽ばたく時

2013-03-18 02:37:25 | Weblog
男子より、女子シングルはレベルが低く、つまらなかった。

主観ですが、第四グループのバレエ曲使った2演目、
名曲を、ただの競技のBGMとして使用していて、振付作品としても凝ったものが多かった男子シングルと、大差がついた気がしました。

以下は、この2選手の演目に感動した人は、スルーして。

コストナー「ボレロ」。
いわずとしれた、ラヴェルのボレロ。

(逆の意見の人いると思うので、ゴメン。)

ここまで安直にやるなら、せめてバレエのベジャール振付とは、全く関係ない振付にしてほしかった。本質的には異質なのに、ちょこっとだけ、ベジャール振付を真似たパートがあるんよね。

はあ~、あれを見ただけで、もうダメ。
ついでに、最後の最後、決め所で転倒してくれて。すべてぶちこわし。

あそこは、バレエでは爆発的なシーンで盛り上げるので、何か、わざとやってるギャクみたいで、とっても悲しかった。

ごめんよ、コストナーに罪はないのか?ここまで言ったら言い過ぎと思う人もいるかも知んないけど、空しくて、切なくて、言わずにはおられない。

頭の中で、まだボレロの音楽が鳴っている。ショックすぎた。

※バレエ作品、ラヴェル音楽、ベジャール振付の「ボレロ」は、主演ダンサーは、前半は脚腰でリズムを刻み、手・腕でメロディを追うので、前半は、脚は同じ動きを繰り返す。これが、独創的な舞踊言語の礎になり、官能性、高揚感を密かに支えてる。

でも、フィギュアスケートの足は「滑る」と言う基本動作が入るから、この脚の動きでリズムを刻むのは、たぶん、ほぼ無理(?)。曲でボレロを使うなら、ベジャール振付とは全く関係なく、この曲でスケート技術に合ったものを作った方が、成功への早道と思う。

ベジャールの「ボレロ」は有名だし、一部の手の振りを分りやすく真似たのは、ヨナ選手の前回五輪「007」みたいな、猿真似系表現で、大衆化路線、俗受けするかもしれないが、ベジャール作品があるだけに、芸術的観点では、みてて辛かった。

フィギュアスケートの芸術性を上げるか、俗受け狙いで行くか、によって、見解は分かれると思う。反面、みずみずしい年頃の女性の肢体が、伸びやかに躍動する振付でもあり、選手も楽しそうだし、ベジャールの「ボレロ」に愛着がなければ、別立てで感動できる要素はあるかもしれない。

私には、これをよしとするには、ベジャール「ボレロ」は、重すぎた。


なお、コストナーのSP、腕にエレガントな表情があったのが好印象。普通にスカートの衣装じゃダメなのか?と思うけど、本人が飽きてて、目新しいものがやりたかったのかな?
スカートの演目似合うのに。

ダメ押し!オズモンド選手「カルメン組曲」

振付、何も考えてない感じ。コストナーもそうだけど、ジャンプ、スピン、ステップのことしか考えてない。そのバックグラウンドミュージックに、こういう名曲を使う必要、あるんか???

ひたすら悲しい。長洲未来選手の「カルメン」は、もっと音楽を分って踊って、もとい、滑ってた。別に好きな選手じゃなかったけど、サーシャ・コーエン選手の「カルメン」は、スケート技術を使って、この作品への愛を表現しているようだったと、今は思う。なりきりカルメンでしたね。最後、ナイフで腹を刺してた。

【火の鳥が羽ばたく時】
こんな所で何だけど、町田樹選手の「火の鳥」は、振付も優れていて、ただの競技のBGMじゃなくて、ちゃんと「作品」になってた、と今更なつかしんだ。

(町田樹の「火の鳥」は、中国大会で羽ばたいた、らしい。そして私が見たのは、その後の跳べない火の鳥だった。それでも演技は、ストラビンスキーの「火の鳥」を、よく理解して表現していることに驚いた。日本人選手でああいうのは、見た事がなかった。だからこそ、ここぞ、と言う所で、ジャンプが決まらないのを、悔しく見た。

いつか、見てみたい。あの火の鳥が羽ばたく時を。)

コストナー選手は、友人等と過ごす時間が欲しいので、スケートをやめようか、迷った、と言ってたそうな。キム・ヨナ選手は、長期休養明けだ。
こういう人たちが、1位、2位でいられる。
女子は、芸術性も、技術も、男子より水準の低さが目に付いたので、ちょっと「見る」事に冷めた。

浅田真央選手の「白鳥の湖」は、振付が優れていて、チャイコ「白鳥」として遜色ない。今日は、「ボレロ」「カルメン」があったために、「白鳥」がまともな作品であることが、本当に、本当に有難く感じられた。

みんなは、勝負の行方とかが気になったんでしょうけど、私は「ボレロ」「カルメン」で沈没してしまって。

バレエでも、「白鳥」は、選ばれた人が踊る演目、というか、ほんとは選ばれに選ばれたバレリーナしか、踊っちゃいけない位の演目。マリインスキー・バレエの人気プリマが、この演目を、なかなか踊らせて貰えなかったのは、有名な話。

最近でも、「お前のどこが白鳥だ」と言われたバレリーナの話が出てましたけど。
ま、差別的というか、残酷な位、人を選ぶ演目。それが「白鳥の湖」。

浅田選手は、生まれ持ったものに恵まれていて、(プロポーションとか、雰囲気とか)加えて全身の鍛錬が行き届いていて、音楽性もあり、この、例外的な「選ばれた白鳥」の条件に入る人。そのことを分っていてほしいな。

(って、ほんとに差別的な言い草になっちゃうんだけどね。)

選ばれた白鳥。優れた振付を、踊るべき人が踊る。
名曲にふさわしい演じ手なので、堂々と世界のひのき舞台で、この演目を披露してくれると、白鳥フリークの私としては嬉しい。

浅田選手、今までこの演目で見た中で、今日が一番固かったけど、ジャンプを決めるのが先決だから、それでいいと思う。

ただ、思うように生きて欲しいというか、彼女がこの演目やってくれると嬉しいけど、いつまでもトリプルアクセルを跳ばないと、という縛りが付いて廻る、この状態から、彼女がそのうち解放されたらいいな、と思う。
ほんとは、もう、充分「鐘」の時に、最高の演技をしたのだから。

やりたかったら、やればいいけど。コストナー選手みたいに、皆、やめたいと思うときもあるのが、選手生活なんでしょうね。
浅田選手が滑りたかったら、やればいいし。皆が期待するとか、そういうのに縛られず、思うようにやってってほしいですね。

白鳥の湖、好きです。

ボレロショックでぼーっとしてたけど、ヨナ選手のは、衣装が好み。
ロシアの選手が、やっぱりふがいなかった。

あ、佐野稔氏が、夜のTVに出てたので、そこだけ見ました。
この人は説明が分りやすく、ワイドショー向きなんじゃないかな。
素人に分りやすく楽しく、今のフィギュアの採点方法を解説できるので。見かけもTV向きだし。

今日は、ボレロショックで、他の選手のことが書けません。

荒川静香女史のヘアスタイル、今日の巻き髪が素敵でした。皆飾って出てきて。


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男子FS観戦

2013-03-17 01:24:32 | Weblog
世界選手権の男子フリー、去年も充実してたけど、今年も夢中で見てしまうような2時間半でした。

◆第3グループの最初と、早いタイミングで登場した羽生選手の演技。

私は、こんな羽生結弦が見たかった!
と思うような演技でした。

4トーループからの技術をあの身体で、転びもせずに、ひとつ、ひとつ決めていった感動は、他で記載あるだろから、割愛。

「ノートル・ダム・ド・パリ」は、特に解説されてはいないから、違うかもしれないけど、羽生選手は、主人公のカジモドを演じているのかな(?)、と思って見てます。
(或いは、群像劇的な要素もあるので、複数の登場人物のことを描いてるつもりだったりするかも?しれないけど。)別途情報入れば、自分の見方を修正します。

私にはこの原作は、よく分らない作品。ああ無常みたいな、かなり残酷な運命の話。
原作は、当時の時代背景、風俗等を描くことも作品の要素になってて、タイトルの寺院も含め、風景もキーになる作品だと思ってます。

ロミオはジュリエットの愛という、絶対欲しいものは手に入ったけど、カジモドはそうはならない。

羽生結弦の「ロミオとジュリエット」は、ストーリーの一部をストレートに演じてる気がするけど、「ノートルダム・ド・パリ」は、それとはアプローチが違うんじゃないか?と思って見てます。なにかこの、入り組んだストーリーの上澄みを掬ってる様な。或いは、イメージのコラージュみたいな。

今日は、怪我を押しての奇跡的な好演でしたが、カジモドもまた、思えば地獄を見るような人生。
こんな、こんな身体で、なぜこんなジャンプが跳べるの?4分滑りおおせるの?と、見るだけで手に汗握る舞台。この壮絶な在り方が、地獄を見たかもしれない、カジモドの半生に重なる部分もないわけでない、そんなことを感じながら見ました。

そして、思うに任せぬことも、ああ無常なことも、色々あった主人公の人生なのだけど、そういったことの果てに、

(羽生選手が困難を負いながら、からくも難度技を、ぎりぎりすれすれみたいに、決めていく、緊迫の滑りの果てに・・・、というリアルと、このフィクションが、私的には、一瞬重なって見ちゃってたりする。)

曲想変わって、最後に突き抜けた青い空が見える、ような・・・。
カジモドが過酷な運命の果てに、最後にたどり着いた境地。

そんなものを感じてます。(平たく言えば、長いトンネルを抜けたら、青い空が見えるようなイメージかな。)何か、突き抜けたような、吹っ切れたような表情を、最後の方で羽生選手がするのと、何より曲想が、そんな感じがするので。

そして、衣装がグラデーション入ってることもあって、差し色の赤、黒に半透明の白の衣装で、氷上を全身でしなやかな弧を描いて滑ると、人と氷が溶け合った空間に見える。音楽も一体となって、透明感を感じます。

向こう見ずな、恐いもの知らずのロミオ。対し、なまなかならぬ運命に翻弄されながら、その過酷な運命を、最後に受け入れるのかな、カジモドは。(?)

(全然違ってるかも知れないけど。でも、誰も解説しないし、私にはこの原作はよく分らないから、いいや。)

羽生選手が「演技」だと思ってるものは、私にとっては演技ではないのかもしれない。
鬼気迫る名演。
ほとんどふらふらになりそうな、血の気のない青い顔、SPから中1日、ぐっと細くなった身体。それなのに、気力で気丈にきっちり技を決め、演じてみせる。

その気迫の中にこそ、私的には、望ましい演技の芯があるように思って、触発されながら見ました。

技術的には、意外にもこの日の最高得点だったそうで。

★SPのチャン選手、冒頭の4回転ー3回転のコンビネーション、4回転の着地でバランス崩したのを、あの脚力で強引にぶち切るようにして、第二ジャンプへ持ってった。

逆に羽生選手の今日のは、あの、転びそうで転ばない4回転サルコゥだったかな。ついた手で地を打った力も利用してたけど、さらに振り上げた腕も使って、浮力使ってるみたいな、小さい力でも上手く利用して、ふっと上に上体を引き上げるようにして、立ってて。

二人とも崩れそうなジャンプをとっさにバランスとって崩れずにまとめてるんだけど、筋力に頼ったチャン選手と、今日は体力減少なので、浮力みたいのを上手く使って上がった羽生選手の修正の仕方が違ってて、ちょっと面白かった。

各選手みな技術でポロ、ポロ、と取りこぼし、ジャンプの転倒とかも合ったから、この二人の妙な修正ワザは、ミスした選手たちが、修正法教えて欲しい位なんじゃないか?と、冗談にも思いました。

羽生選手の演技は、感動しすぎて上手く感想がかけないですが。

カナダの外人のお客さんたちが、ホ~、とかオ~、とか感嘆の声をあげて、羽生選手が終わった後、氷上に膝を折り地に伏し、(倒れたというより、リンクにお礼言ってるのか?と思った。なお、まねしたのか、2位のテン選手は、同じポーズとってリンクに感謝のキスしてたかな?)ている後ろで、お客様が次々と興奮気味に立って、オールスタオベになってるのも、非常に嬉しかったです。

◆ジュベール選手の演目は、グラディエーターだったのかな?
体躯逞しく、ハンサムで優しそうな英雄で、よく知られたストーリーながら、役者としてはバッチリ、キャラがあってて、作品として見れば、納得でした。順位的には奮わずでしたが。(今の採点方式では、同じ種類のジャンプが、一部カウントされず、大崩ないわりに9位。でも、エンターティーナーとしてはよかったのでは?)

◆羽生選手は、怪我とか体調不良とかなのに、技術きっちりだったけど、逆に他の選手は、ほぼ全員位、「あれ?」と思う技抜け・とりこぼしがあって、他の選手みてると、フィギュアスケートって難しいんだな~、と思いました。

◆一見、大きなミスはなく見えたレイノルズ選手が、4回転3回跳んで、そのうち2回は回転不足とかで、ジャンプで転倒等出た高橋選手と、FSの点が変わらなかったのは、現在の採点方法の特徴を表してると思いました。
一見、体調不良なようでも、羽生選手はレイノルズ選手に比べ4回転をきっちり廻る回転の型ができてるということか、はたまた、4回転3回は、やっぱ難しいということか。

って、言い出せば色々。

◆順位奮わなかったアモディオ選手の演目も、羽生選手の後だったこともあって表現が心に沁み、また、音楽をよく表していて私的に好印象。ジャンプ主体で見ると、ダメだった選手の一人だけれど。

◆フェルナンデス選手。チャップリン・メドレー、今まで見たこの演目の中で、演技は一番、この日の出来が良かった。

でも先に、おとぼけな面白いフェル氏を何度か見たから、今更見方が変えられず。やっぱりまともに演じるナンデスよりも、4回転3つ全部飛べて、「やった~!」「できたできた~!」みたいなノリで、悲しい演技でも全身に喜びがにじみ出ているハビエル、或いは前回世選で、ジャンプミスして、試合中なのに、しょぼ~んとへこみまくって消えそうなハビの印象が強く、やっぱり私的には面白系の人。

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走り続ける君に ~2013 フィギュア世界選手権 男子フリー終了~

2013-03-16 15:56:37 | Weblog
私のような小心者の心配をよそに、羽生結弦選手が、また信じられないような底力を見せてくれた。見たらFS3位、総合4位に上がってた。

昨日、試合時間に一応お祈りしてみたけど、結果は9位だったし、やっぱ神頼みはアカンと思いつつ、今日も一応祈ってみたけど、状況厳しいと思ってたのに。

羽生選手、素晴らしすぎる集中力!大一番での強さを、またまた発揮・・。
気力、気持ち、って松岡修造入っても、気力だけでフツーは、こんなことできない・・・。凡人の発想です。

お疲れ様、Yuzu!ゆっくり休めるといいね。
・・TV録画ミスしないようにせねば。

以下新聞記事抜粋。

<満身創痍の羽生 意地の好演技で4位に 世界フィギュア>

 「とにかく気合だった…」。もう体に力は残っていなかった。満身創痍の羽生はフリーの演技を終えると、氷上に倒れ込んだ。

 大会直前に痛めた左膝は薬を服用しても痛みが完全に消えることはなかった。1日に1回の演技が精いっぱいという状態で、直前の6分間練習でもジャンプで2度転倒。このときに右足首も負傷してしまったという。

 しかし、いざ本番を迎えると、冒頭の4回転ジャンプを成功。続く別の種類の4回転は回転不足で着氷時に右手をついたが、転倒をこらえた。169・05点でSPとの合計で244・99まで引き上げた。

 羽生を突き動かしたのは、日本代表の責任感だった。五輪代表枠を前回のバンクーバー五輪と同じ最多の「3」を獲得するには、上位2選手の順位合計で「13」以内が条件。全日本王者の羽生にかかる期待は大きかった。「こんな状態で挑んではいけないと、すごく申し訳ない気持ちだったけど、最後までやりきろうと思った」

 左膝負傷前にインフルエンザも患い、直前に20日間も休み、練習不足を痛感させられた。ただ、「1年間やってきたことは、1カ月くらいではなくならないなと思った」。カナダ・トロントに拠点を移しての鍛錬の日々が自らの窮地を救った。

~以上産経新聞より~

他にも、毎日新聞の芳賀竜也氏とかのレポが出てました。記事見て泣きましたよ。
半分、ダメかと思ってたもん。

(選手コメントの、「1年間やってきたことは、1カ月くらいではなくならないなと思った」⇒私も、SPの羽生選手の身体見て、同じような事、思ってた。体調不良と後から伝えられたけど、今回、前より良く見える所も、何箇所もあったし、結果出せない身体で出てきたようには、見えなかった。上背とか、すっくと立ってたし。)

羽生選手の凄さに、なんというのか・・・、言葉もありませんでした。

【ファンは無駄に心配性】
実は今回、SPが始まるより前から、厳しいんじゃないかと案じてました。
似たようなローテの高橋選手が、前回四大陸惨敗。
連戦の緊張感とか、心身の見えない疲れとか、あるのでは?と。

また、四大陸のフリーは、うわべはよくても、いつもの、生き生きしたはしこい小動物みたいな感じがなくて、・・とか、色々と気になることは、あり。
それで、皆を驚かせた、SP9位出遅れ。(今の採点方法で、この状況なら、そんなにそこまで驚く点数でもないんだけど。)

そんな状況下で、この巻き返し劇。こんな超人的なことを、やってしまう人なんですね。

SPよりFSの方が、体力的にも技術的にも、ごまかしが効かないはず、なのに。
SP見た限りでは、私は、羽生選手が今試合で、4回転決められる状況なのか?と不安でした。それが、FSでは、最初の4回転トゥループ決めたそうだから。

【走ること、立ち止まることの話】
チャン、レイノルズ、フェルナンデス・・・、4回転の大技を決めてくる有力選手は、直近の大会で、順位を落とす時は落としてる。

ここずっと、1位、2位だけで来てるのは、羽生選手だけなのでは?
そして四大陸でレイノルズ選手が1位になった時、思ったのは。

羽生選手は、いつも全力投球で来るけど、細かい試合もあり、大会の格付けもあるし、どこかで抜き所を作って、大一番にエネルギーを貯めた方が、いいんじゃないか?と、ちょっと思ってました。

でも、彼は走り続ける人みたいですね。止まらずに、満身創痍のままで、ゴールまで駆け抜けてゆくのでしょうか・・・?。

(この人と運命が選ぶだけだから、それならそれで、無力ながら見守り応援していくだけですが。

もう充分強いのに、「強くなりたい」と言い続け正攻法で勝とうとするこの人に、平凡な大人の私は、「ずるさ覚えて、要領よく勝って」と思ってしまったけど。競馬用語に「ずるさ覚えろ!」っていうのが、あって。ちょっと意味違うけど、勝つためには、正攻法の強さとは違うものも、あるっていうか。)

こんな風に、ぎりぎりまで走り続けて、無理そうなことでも、最後の気力を振り絞って、やり遂げてしまう!

まさに恐るべき18歳。

この人、人気出るだろ~な、と思った。
(競馬でも、先行し順当に勝つダイワスカーレットみたいのより、強さは同じでも、もっとはらはらさせてぎりぎりの所で勝ってくるようなタイプが、さらに人気ありましたからね。)

勿論、私も大好きだけど。でも、
最初は1年前の世界選手権で、表現センスの良さで好きになった選手だったけど、こんなにここまで凄い怪物クンだとは、分ってなかった。自分の身の丈に合わない、凄い人のファンになっちゃってたな、と思ったけど、ま~い~か。

羽生選手に

【男子シングル順位】

チャン選手1位死守、なんと!カザフのテン選手2位、快挙!3位は、やっとあがれたフェルナンデス。(でも、FSは羽生選手の点が上。)私は、この人の表彰台見るの、初めて。
レイノルズ選手は小さいミスありで、5位。でも大崩なし。完璧でないと表彰台に上がれないのか?この人の立ち位置。

高橋選手、ミスが響き点が伸びず6位。7位 マックス・アーロン、インタビューでの自信のわりには、いまいち伸びず。
無良選手は、総合8位。FSの点は高橋選手(154点台)より上で、160点台。
9位 ブライアン・ジュベール、う~ん、こんなもんか順位って。ファンががっかりしてそうな二枚目。

残念賞ミハル・ブレジナ、コーチが金メダリストペトレンコでも、やっぱり伸びず、10位。この人も、見るたび、やりそうでやらない、いまいち順位が伸びそうで伸びない人で、いつか順位上がるのを見られるか?と思うのだけど。

他、自信ありげなコメントだった、アモディオ選手は12位。今頃がっくりしてそう。

アジアの力?ほんとにダークホースの、テン選手でした。前回は下位だったけど、四角く実直そうな表現が、印象には残ってたけど。こんなになるとは思わなかった。

四大陸は中国16歳、ハン選手が3位だったし。

これから、世界の勢力図が塗り替えられていくのか?、多士済々の男子シングル、五輪が楽しみになる、実り多い世界選手権でした。

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