懐かしのバレエ

バレエ、パフォーミングアーツ等の感想、及び、日々雑感。バレエは、少し以前の回顧も。他、政治、社会、競馬、少女マンガ。

男子FS観戦

2013-03-17 01:24:32 | Weblog
世界選手権の男子フリー、去年も充実してたけど、今年も夢中で見てしまうような2時間半でした。

◆第3グループの最初と、早いタイミングで登場した羽生選手の演技。

私は、こんな羽生結弦が見たかった!
と思うような演技でした。

4トーループからの技術をあの身体で、転びもせずに、ひとつ、ひとつ決めていった感動は、他で記載あるだろから、割愛。

「ノートル・ダム・ド・パリ」は、特に解説されてはいないから、違うかもしれないけど、羽生選手は、主人公のカジモドを演じているのかな(?)、と思って見てます。
(或いは、群像劇的な要素もあるので、複数の登場人物のことを描いてるつもりだったりするかも?しれないけど。)別途情報入れば、自分の見方を修正します。

私にはこの原作は、よく分らない作品。ああ無常みたいな、かなり残酷な運命の話。
原作は、当時の時代背景、風俗等を描くことも作品の要素になってて、タイトルの寺院も含め、風景もキーになる作品だと思ってます。

ロミオはジュリエットの愛という、絶対欲しいものは手に入ったけど、カジモドはそうはならない。

羽生結弦の「ロミオとジュリエット」は、ストーリーの一部をストレートに演じてる気がするけど、「ノートルダム・ド・パリ」は、それとはアプローチが違うんじゃないか?と思って見てます。なにかこの、入り組んだストーリーの上澄みを掬ってる様な。或いは、イメージのコラージュみたいな。

今日は、怪我を押しての奇跡的な好演でしたが、カジモドもまた、思えば地獄を見るような人生。
こんな、こんな身体で、なぜこんなジャンプが跳べるの?4分滑りおおせるの?と、見るだけで手に汗握る舞台。この壮絶な在り方が、地獄を見たかもしれない、カジモドの半生に重なる部分もないわけでない、そんなことを感じながら見ました。

そして、思うに任せぬことも、ああ無常なことも、色々あった主人公の人生なのだけど、そういったことの果てに、

(羽生選手が困難を負いながら、からくも難度技を、ぎりぎりすれすれみたいに、決めていく、緊迫の滑りの果てに・・・、というリアルと、このフィクションが、私的には、一瞬重なって見ちゃってたりする。)

曲想変わって、最後に突き抜けた青い空が見える、ような・・・。
カジモドが過酷な運命の果てに、最後にたどり着いた境地。

そんなものを感じてます。(平たく言えば、長いトンネルを抜けたら、青い空が見えるようなイメージかな。)何か、突き抜けたような、吹っ切れたような表情を、最後の方で羽生選手がするのと、何より曲想が、そんな感じがするので。

そして、衣装がグラデーション入ってることもあって、差し色の赤、黒に半透明の白の衣装で、氷上を全身でしなやかな弧を描いて滑ると、人と氷が溶け合った空間に見える。音楽も一体となって、透明感を感じます。

向こう見ずな、恐いもの知らずのロミオ。対し、なまなかならぬ運命に翻弄されながら、その過酷な運命を、最後に受け入れるのかな、カジモドは。(?)

(全然違ってるかも知れないけど。でも、誰も解説しないし、私にはこの原作はよく分らないから、いいや。)

羽生選手が「演技」だと思ってるものは、私にとっては演技ではないのかもしれない。
鬼気迫る名演。
ほとんどふらふらになりそうな、血の気のない青い顔、SPから中1日、ぐっと細くなった身体。それなのに、気力で気丈にきっちり技を決め、演じてみせる。

その気迫の中にこそ、私的には、望ましい演技の芯があるように思って、触発されながら見ました。

技術的には、意外にもこの日の最高得点だったそうで。

★SPのチャン選手、冒頭の4回転ー3回転のコンビネーション、4回転の着地でバランス崩したのを、あの脚力で強引にぶち切るようにして、第二ジャンプへ持ってった。

逆に羽生選手の今日のは、あの、転びそうで転ばない4回転サルコゥだったかな。ついた手で地を打った力も利用してたけど、さらに振り上げた腕も使って、浮力使ってるみたいな、小さい力でも上手く利用して、ふっと上に上体を引き上げるようにして、立ってて。

二人とも崩れそうなジャンプをとっさにバランスとって崩れずにまとめてるんだけど、筋力に頼ったチャン選手と、今日は体力減少なので、浮力みたいのを上手く使って上がった羽生選手の修正の仕方が違ってて、ちょっと面白かった。

各選手みな技術でポロ、ポロ、と取りこぼし、ジャンプの転倒とかも合ったから、この二人の妙な修正ワザは、ミスした選手たちが、修正法教えて欲しい位なんじゃないか?と、冗談にも思いました。

羽生選手の演技は、感動しすぎて上手く感想がかけないですが。

カナダの外人のお客さんたちが、ホ~、とかオ~、とか感嘆の声をあげて、羽生選手が終わった後、氷上に膝を折り地に伏し、(倒れたというより、リンクにお礼言ってるのか?と思った。なお、まねしたのか、2位のテン選手は、同じポーズとってリンクに感謝のキスしてたかな?)ている後ろで、お客様が次々と興奮気味に立って、オールスタオベになってるのも、非常に嬉しかったです。

◆ジュベール選手の演目は、グラディエーターだったのかな?
体躯逞しく、ハンサムで優しそうな英雄で、よく知られたストーリーながら、役者としてはバッチリ、キャラがあってて、作品として見れば、納得でした。順位的には奮わずでしたが。(今の採点方式では、同じ種類のジャンプが、一部カウントされず、大崩ないわりに9位。でも、エンターティーナーとしてはよかったのでは?)

◆羽生選手は、怪我とか体調不良とかなのに、技術きっちりだったけど、逆に他の選手は、ほぼ全員位、「あれ?」と思う技抜け・とりこぼしがあって、他の選手みてると、フィギュアスケートって難しいんだな~、と思いました。

◆一見、大きなミスはなく見えたレイノルズ選手が、4回転3回跳んで、そのうち2回は回転不足とかで、ジャンプで転倒等出た高橋選手と、FSの点が変わらなかったのは、現在の採点方法の特徴を表してると思いました。
一見、体調不良なようでも、羽生選手はレイノルズ選手に比べ4回転をきっちり廻る回転の型ができてるということか、はたまた、4回転3回は、やっぱ難しいということか。

って、言い出せば色々。

◆順位奮わなかったアモディオ選手の演目も、羽生選手の後だったこともあって表現が心に沁み、また、音楽をよく表していて私的に好印象。ジャンプ主体で見ると、ダメだった選手の一人だけれど。

◆フェルナンデス選手。チャップリン・メドレー、今まで見たこの演目の中で、演技は一番、この日の出来が良かった。

でも先に、おとぼけな面白いフェル氏を何度か見たから、今更見方が変えられず。やっぱりまともに演じるナンデスよりも、4回転3つ全部飛べて、「やった~!」「できたできた~!」みたいなノリで、悲しい演技でも全身に喜びがにじみ出ているハビエル、或いは前回世選で、ジャンプミスして、試合中なのに、しょぼ~んとへこみまくって消えそうなハビの印象が強く、やっぱり私的には面白系の人。

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