懐かしのバレエ

バレエ、パフォーミングアーツ等の感想、及び、日々雑感。バレエは、少し以前の回顧も。他、政治、社会、競馬、少女マンガ。

扉は必ず・・・

2006-08-23 13:37:16 | バレエ
懐かしのバレエとタイトルした割には、今日は最近のバレエ公演話になってしまっています。でもリアルタイムの公演感想ではないので、ご容赦のほどを。

また、’06年世界フェスネタです。Aプログラムで印象的だった、キリアン振付のモダンバレエ「扉は必ず・・・」パリオペラ座のダンサー、M・ルグリ、オーレリ・デュポンが、プラゴナールの油彩画「閂」(かんぬき)の絵から抜け出たような扮装の男女が、宇宙遊泳の如きゆったりとした動きをベースに、男女の機微を表現する。

元ネタの絵も、バレエも、「扉は必ず」開くとでもいうのか?、どうもこの男女
には齟齬がある?らしい。絵の解説には、”男性は女性から半分逃げたがっているらしい”と示唆があり、バレエでも、時に片割れが片割れに花を投げ、時に女性が男性にやや白けた顔を向け、ユーモラスで異化をベースとしたダンスに、関係性のズレがほの見える。

が、決論部分を曖昧にしたまま、あとは、観客の想像力に任せる、ということか、と。

文章にすると、やや断定的になってしまうのが、この二人のダンスで示される関係性は、なんとなくビミョウで曖昧なとこがよかったりする。二人が、上手くいってるのかいないのか、どちらかが扉を開けてでていくのか、結局痴話ゲンカで元サヤするのかが、どちらともいえない感じがする。

さて。ここまでは、バレエ関係のブログ既出話。凡庸な感想ですいません。でも、DEMOでも。独創(?)は、ここから。

最初、あまり予備知識を入れずに、先入観なく観た。したらば、

フラゴナールの「閂」てのが、かんぬき、て読むとは判らなかった。「扉は・・」とタイトルあるし、登場人物二人が、密室空間に閉じ込められてもいるようで、その閉塞感を出したいのか?と。二人の部屋から、どちらかが出て行きたいような、いきたくないような、そんな内容かと思い、「扉」とあるから、「閂」って鍵の一種かと誤解した。

それが・・。バレエの前半に、腰をを低く落とし、ゆったりと二人が絡み合うダンスから、二人が、ちょうどやや腰を合わせたような姿勢の所で、「ギギギイイイ~!」というような、奇矯な(といっても耳に不快な音ではない。この効果音センスは、やはりキリアン)音響効果が入る。聞きようによっては動物の鳴き声かとも聞こえる。定かでなく、想像力を刺激する。

これが・・・。
私には、ですね、錆びた鍵穴に鍵を差し込む音を示唆してる???ように聞こえてしまい、二人が立ち姿勢で微妙に腰を合わせ、緩やかに動かすのが(といってもエロティックではなく、乾いてユーモラスなニュアンス)セックスの隠喩(だか明喩だか)?にも思えて、

これって、もしかして・・・・え?まさか、キリアンは、この二人のセックスが、錆びた鍵穴に鍵を差し込むような行為だと言っているの?この二人の関係性が、錆びた鍵穴に鍵を差し込む、それによってギシギシ軋み音がする、そんなようなものだと言っているの???うっそ~!なんという発想!!

というようなことをダンス観てたら頭が思いついてしまい、どしえええ~~!と思ってしまいました。半分は当たらずとも遠からず、なのでせうが。関係性の方はいいとしても、セックスが、錆びた鍵穴に鍵を差し込むってのは、なんとも想像の飛躍。でも、なにやら面白いことを思いついてしまったものです。(これもまた倦怠感の表現のようでもあり、官能的に見ることもできる曖昧なもので。)

「閂」が戸の間を渡す横木式のものと後で知って、なあんだ「鍵」の一種(機能は同じでも)じゃなかったのか~、と判って誤解がとけました。

オーレリ、ルグリ ペアは、ラブラブではなく、少しズレのある男女関係が、合うなあと思います。密室の男女の焦燥感という面で、前回フェスでのエック振付「アパルトマン」でのシルヴィ・ギエム、ニコラ・ル・リッシュ ペアのダンスを思い出しましたが、この二人は、オーレリ達よりも、もっとどこかシリアスに愛し合ってるカップルを演じるのが似合うな、とは今回もまた思ったことでした。

作品としても、「扉は・・」は発想の秀逸さで終わった気がします。「アパルトマン」の方が、最初の着想の秀逸さから出発して、ダンスに「展開」の部分が感じられた点でより優れていたと、改めて思い出しました。DVD買わないほうが、一回性の感想を大事にできるのかしらん。記憶はだんだんに薄れてゆくけれど・・・。


























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カルメン

2006-08-21 11:55:18 | バレエ
8月8日東京文化会館でのバレエ公演、「世界バレエフェスティバル」Bプロで、アロンソ振付「カルメン」を観た。と言っても部分の抜粋だけれど。

それでも数年前、美女タチアナ・チェルノブロフキナによる、究極のファムファタル、同版「カルメン」を見たことを、鮮やかに思い出すことができた。お客さんが少なくて、もったいなかったなあ・・・。


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