スノーマン見聞録

ジャンルも内容も気の向くまま~“素浪人”スノーマンの見聞録

読書三昧 (28) 佐藤 優 著 『 私のマルクス 』

2015年10月14日 | 雑感
『 永遠の、究極の不変のモラルが何であれ、それを押し付けようとするあらゆる企てに反対する 』
                                                   ~カール・マルクス
『 我々は永遠のモラルを信じない。間(すなわち神の概念)、階級無視の概念から生れた
  全てのモラルを否定する 』 
                                 ~ウラジーミル・レーニン 

唯物と唯心(神)の葛藤は、モラルへの価値観・解釈の違いであって 実は≪経済≫ じゃなかったのでは。 

    

佐藤 優 の著書二冊を読んでみた。 以前中村うさぎさんとの対談集 『聖書を語る』 を読んだことが
あるが、どちらもキリスト教徒。
(佐藤氏はカルヴァン派、中村氏はパブテスト派と異なるがどちらもプロテスタント)

「キリスト教は思想でも世界観でもない。イエス・キリストを信じることで救われるという救済宗教なのである」

「しかしブルジョア文明と融合し過ぎてしまい、労働者階級の社会問題に目を向けなくなった。
 虐げられた、貧しき者に対する配慮を怠ってきたツケが回ってきた」


キリスト教の衰退をこう断じる。 著者は洗礼を受け神学を学ぶ傍らマルクスを研究。

 「 マルクス経済を学んでもマルクス主義者になる必要はまったくなく、資本主義システムの内在的論理と
   その限界を知ることが重要なのだ 」


として、キリスト教神学とマルクス主義との間の整合性をあえて思考停止させ、両者を並行して学んだという。

その凄まじい程の博識には驚愕するばかりだ。

次のフロマートカ(赤い神学者と呼ばれた)の言葉を引用しこう語っていた。 皆さんはどう思われます?

 ≪ 無神論はいわゆる宗教の名において、すべての不正・文化的後進性・保守的停滞性を伴う
   古い社会秩序を擁護する特定の社会・政治的形態としの教会に対する反対から発展した。

   共産主義者は無神論イデオロギーに関して、宗教と教会に対する自己の態度の真の意味と
   基盤を理解することを怠っている。

   共産主義が本質的に無神論であると断定して良いのだろうか。≫


ロシア人は冷戦に破れたとは考えていない。人類が背負うべき苦悩を、自らが率先して背負っている
と考えている。 「 一種の メシア思想というわけか 」 「 そうだ 」 
~ ロシアのある知識人との対話・抜粋
 

著者は元外務省主任分析官・高校時代、東欧・旧ソ連をひとり旅をしたり、モスクワ国立大学で教鞭を執る
などのロシア通である。 外務省時代、背任と偽計業務妨害容疑で逮捕、512日間もの拘置所経験もあり。
    佐藤優・Wikipedia

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