スノーマン見聞録

ジャンルも内容も気の向くまま~“素浪人”スノーマンの見聞録

モーツアルトに感謝

2013年04月19日 | 雑感
TUTAYA書店からモーツアルト・オペラのDVD(フィガロの結婚、ドン・ジョバンニ、コジ・ファン・トウッテ)を借りてきて観た。

他愛のない男女の生業を謳っているのですが、、、
特にコジ・ファン・トウッテなどは、永遠に人を愛せるものなのかを問うたもの、、人間の弱さを巧みに表現した作品。三作品ともユーモアに溢れた、これがなかなか面白いというか頷けるものがあるのです。

三本共 ダ・ポンテ(1749~1838)の台本によるものとのことを知りました。

(ヴェネツィア生れの詩人・台本作家で、司祭でもあり波乱万丈の生涯を送った人です。”音楽が悪いと詩の美しさがでないなどとのコメントを残しているが、唯一の例外はモーツアルトであったという)

モーツアルトを聴いていくと、どうしても避けて通れない領域がある。

それがオペラ曲と宗教曲。


音楽は、軽く聞き流し楽しむのが一番とは思うのであるが、なかなかそうもいかないのがこの領域。

オペラは悲劇的、オペレッタは喜劇的とよく言われますが、上記オペラなど喜劇オペラ的なものも多いようで、オペラはよくミュージカルと比較されますが、その発声方法やマイクを使用するかしないかが基本的な違いのようです。

他にヨハン・シュトラウス「こうもり」、プッチーニ「トスカ」、ヴェルディ「マクベス」「椿姫」等も借り、オペラに悪戦苦闘のこの頃です。

劇のストーリーを追いかけるのが精いっぱいで、肝心な曲を聴くまでには到らず、、残念ながらの現状ですが、もう少しアタックしてみます。


それともう一つ、モーツアルトの宗教曲、、、これがもっともやっかいな領域。

モーツアルトには魔笛・レクリエムの他ミサ曲20超等の宗教曲が数多くあります。

モーツアルトはカトリックに属していたのですが、ウイーンに戻って来てからの晩年、フリーメイソン(秘密結社)に入信していたこともあり、その宗教観はなんとも不可思議。

魔笛でフリーメイソンの秘密儀を暴露したため殺された、、なんて嘘みたいなことも囁かれたこともあったようです。

宗教曲を聴くには、信仰心がないと所詮無理なのかもしれません。

限界は感じつつではありますが、もう少し掘り下げてみたい、、そう思う二つの領域です。


今のところ、50曲(楽章)ほどを愛蔵曲として日々聴いているのですが、モーツアルトは実に清らかで哀愁に満ちたなんとも言えない曲ばかり。 飽きの来ない稀有の作曲家ではないでしょうか。

交響曲も有名ですが、ピアノ協奏曲やヴァイオリン、デヴェルテインメント(BGM)等の協奏曲が実にいい。


日々モーツアルトに感謝です。

一期一会(いちごいちえ)

2013年04月02日 | 雑感
これぞ”一期一会”といった、心あたたまるすばらしい文章に出会いました。

ノンフィクション作家・中村安稀著『食べる』という、食を通した世界旅エッセイ本の冒頭にあった文章です。


『老婆は 山道を行く私を呼び止め、家の中へ招き入れた』、、、

『それから、手垢ですっかり黒ずんだ茶椀を手に取り、ちぎりかけたぼろ布でその表面を磨き始めた。

何度も何度も丁寧に。

老婆は磨きあげた茶碗をそっとその台にのせ、そこへポットの湯を注いだ。 

光沢を取り戻した真っ白な茶碗を受け取り、私は軽く会釈した。

標高4千メートルの地で沸点に達した一杯の白湯は、乾ききった唇を湿らせ、喉もとを滑り落ち、あっという間に胸の奥へ消えた。

地図をしまい、私はバックパックを背負った。

ベルトをきつく締め直し、手を合わせ、もう一度深く頭を下げた。

そして老婆の家を辞すると、また、南に向かって山を歩いた』



短い文章ではありますが、なかなかだと思います。

”一期一会”の一期の意味は、てっきり”いち度っきり”と思っていたのですが、実は”一生”という意味だそうです。

人生思い起こせば、”一期一会”どころか、何度も何度もお会いし、長い間お世話になった人にも不義理ばかりの連続、、(あの人にもこの人にも)、、そんなことを思い浮かべる今日この頃です。

悔いることのない人生、、、嗚呼、夢のまた夢。